デイサービスで看護師の仕事をしている私は、利用者の方に「家でも転ばんようにせないかんよ。」といつも声をかけている。高齢者にとって転倒は、いつもどおりの日常を送れなくなるかもしれないからだ。場合によっては寝たきりの生活を送ることになってしまうこともある。しかし、あの出来事が起こるまで私は、転倒は高齢者に限ってのことではないということを十分理解していなかった。
 
 おととしの十一月、私は自宅の階段を降りている途中に靴下が滑り、階段下まで落ちてしまいました。あまりの痛さにしばらく動くことができませんでした。寝返りも打てず、ほぼ寝たきり状態で週明けに病院へ行くと、「右第一腰椎横突起骨折」と診断され、全治三か月と宣告されました。その瞬間、一番に仕事のことが頭に浮かび愕然としました。私の職場は人数が決して多くはなく、長期間の休暇となると迷惑が掛かってしまうからです。また、このところ、仕事に家事、離婚も重なり、心身ともに疲れていたと思うと情けなくて悲しくなりました。
 
 骨折の治療は、胸まであるコルセットを装着するものでした。コルセットを装着していても腰を曲げる姿勢をとると痛みが増しました。そのため、椅子に座ることやしゃがみこむ姿勢を避けて生活しました。徐々にコルセットをつけての生活にも慣れていき、痛みも日にちが経つにつれて軽減し、少しずつ動けるようになりました。
 
 三か月の療養期間は長かったけれど、ゆっくり休んで自分を見つめなおすいい機会となりました。そして無事、仕事復帰することが出来たのです。しかし、三か月の療養生活でほとんど動けなかったこともあり、筋力が低下し、体は重く、疲れやすくなっていました。
 
 そんな時に一枚の新聞広告を目にしたのです。それが、「カーブス」でした。広告の内容を確認すると運動するところのようでした。元々、運動が苦手な私は、「運動するところみたいだけど、できるだろうか。」と不安に感じていました。さらに、自宅から車で片道三十分の距離にあり、あまり外出をしない私には少し遠く感じられました。「勇気を振り絞り、一度行ってみようか。」そんなことを思いながら電話をしたのです。
 
 体験当日、店の前には行列が...その一番後に並びました。

 「○○さん、おはようございます。」

 コーチの元気な声で扉が開くと、メンバーの皆さんは慣れた様子で運動に取り組み始めました。「私にできるだろうか。」と不安になっていると、コーチが優しく声をかけてくれました。運動はマシーンを使用するトレーニングもあり、私のペースに合わせて丁寧に教えてくれました。私は頑張ってみようと決意し入会することにしたのです。
 
 最初の頃は肩や手に力が入り、体も思うように動きませんでした。「はい、肩の力をぬいて。」「おなかに力を入れて、いいですよ。」コーチの元気な声に励まされました。まわりを見渡すと私よりも年上の方が大勢いらっしゃいます。その方々の頑張っている姿に、私も負けてはいられないとやる気と元気をもらいます。運動後は、何だかすっきりして体が軽くなったような気がしました。しばらくすると腰の痛みもあまり気にならなくなり、母から「何か前より姿勢が良くなったね。」と言われ、「やったー!」と心の中で叫びました。気分的にも以前より、明るく元気になった気がします。カーブスまでの道のりも好きな音楽を聴きながら楽しく通っています。
 
 カーブス通いが習慣になったある日、息子が「運動頑張っているね。」と言って、白いスニーカーをプレゼントしてくれました。私の古い靴を気にしてくれたようで嬉しかったです。また、時々家に来てくれる母も「仕事帰りに運動行ってきていいよ。晩ご飯作っておくから。」と言ってくれます。娘も休日は、晩ご飯作って私の帰りを待っていてくれるようになりました。家族の応援に感謝、感謝です。
 
 カーブスが生活の一部となってもうすぐ一年。「今日どうしようかな。」と思う日もあるけれど「美幸さん、今日も来れましたね。」とコーチの明るい一言に元気になる私がいます。
 
 夢は娘二人と海外旅行です。おいて行かれないようにこれからもカーブスに通いつづけ、筋トレに励み、心身ともに健康でいたいと思います。