カーブスマガジンで悲願だった「メンズカーブス」が始動していることを知った。嬉しくて空にいる夫に報告した。今日はあまりにも日差しがやわらかく暖かいので縁側に出て彼を想った。いつもそばにいてくれたね。4年前、肺癌を宣告され何度目かの入院の日、看護部長に聞かれた。「延命処置はどうしますか?」泣きながら答えた。「呼吸器はつけないでください」。一日一日愛おしいように命を刻んでいる彼に「しあわせだったよ。ありがとう」と言うとぎゅっと手を握ってくれた。その夜、不思議な体験(たぶん夢)をした。大きな真綿のような雲のようなフワフワしたものに包まれて幸福感に満たされていた。それから間もなく彼は静かに旅立った。きっと最後の力を振り絞り私を抱きしめてくれたのとしか思えない。
 
 6歳の孫が言った。「ばあば、僕が大人になったらじいじのアンドロイド3体作ってやるからね」「なんで3体なの?」「1体じゃさみしいだろ?」。4歳の孫は「じいじはお空にいって星になったんだよ。僕が大きくて長い網でじいじを取ってやろうか?」「星が多すぎてどの星がじいじかわからないよ」「一番大きくて赤い星だよ」。二人を抱きしめて泣いた。
 
 ずっと家に引きこもり泣いてばかりいた。お隣の奥さんがお弁当を再々作って届けてくれた。「しっかり食べて元気出して。できることがあれば何でも言って」。友人が何度も何度もメールをくれた。職場の同僚は「哀しいとは思うけど、やめないでね。一日一時間でもいいから出てきて」。たくさんの人たちに気にかけてもらえてとても嬉しかった。
 
 やっとの思いでカーブスのドアに手をかけた。いつもと変わらないコーチの大きくて元気な声、やさしくてあたたかい手。弱って干からびていた私の心に浸みていった。日々少しずつコーチの声に支えられ元気になっていった。職場にも復帰できた。そんな私を応援してくれているようなカーブスマガジンの記事を見つけた。『哀しい時こそ、つらいときこそ運動を』まさに目からうろこだった。カーブスの壁に貼っている記事を読んだ。『運動すると幸せホルモン、セロトニンがでる』『周りや自分をほめるとやる気ホルモン、ドーパミンがでる』つらい時を乗り越えた私をほめてあげた。頑張ったね、って。
 私に一歩踏み出す勇気をくれた筋トレと数々の言葉。筋トレって、言葉って人を救うことができるんだ。
 
 もうすぐ桜の季節がやってくる。桜吹雪の中、旅立った彼を想う。もう大丈夫だよ。カーブスのおかげで強く生きているから安心してと、呟いた。