私が五十歳代を過ぎた頃、下の弟が四十歳代で他界した。脊椎小脳変性症という難病だった。東京工業大学大学院修了後、官僚の道を選ばず、親元から通える高校教員に就いて間もなく発病だった。高校時代強歩大会でメダルを取ったり、穏やかで芯の強い弟だった。
時を遡り、東日本大震災のすぐ後、その弟を心配していた母を先に亡くした時は、多くの犠牲者が出た後だったので、周囲の励ましもあり、職場の中学校も新学期を迎えたばかりだったが、忙しかったせいか乗り越えた。
このように、家族を亡くしても、立ち直れたのは、アメリカ同時テロ(9.11)の時、夫がワシントンに長期出張で往来していたので、命があれば何とかなるという腹を括る思いと、同時に逆らえない運命を悟ったからだろうと自己分析できる。加えて家族と周囲に恵まれていたのだと思う。
時を経て、私は娘の中学受験が終わった年、中学校の現場に出ることになった。塾講師をしながらだったが、数年前から市内の公立中学校二校を兼務することになり、両立は難しく、塾の生徒の高校入学を見届け、学校現場に専念することになった。私生活では、娘も息子もそれぞれ家庭を持ち、家族が減る悲しみから、今度は孫達の誕生や成長を含めた、家族が増える楽しみへと変化した。
そんなある日、学校への通勤途中の信号で止まると、「三十歳過ぎたら筋肉は減る」というフレーズに衝撃を受けたが、朝から夜まで勤務の自分に、時間などあるはずもないと見過ごし続けた。ただ、夏休みに入り、ネット広告での言葉に促されるように、少し体験だけでもしてみようという気になった。土日や、夏休み冬休みなど休日には、硬式テニスやストレッチに通っていた。確かに若い頃のように動けず、膝や筋肉の硬さに不安はある。好きな趣味を継続するためにも、カーブスをやってみようと決断したのだ。
いつも通り過ぎていた室内に、初めて足を踏み入れた。カウンター、ロッカー、十二台のマシンとステップ、ストレッチポールなど、清潔で活気溢れる店内が目に飛び込んだ。その空間は私より若い方から先輩までのメンバーさんの、笑顔と活気に満ちていた。中には知ったお顔が何人もいらっしゃる。そう言えば、その中のお一人からは「カーブス、いいわよ」と言われた記憶が明確にある。何年か前のことだ。御近所の方、子供達の小学校のママ友がおり、一歩入って体験してみると、心地良く、快適な空間だった。前出の彼女から入会後もアドバイスを頂く。メンバーさんやコーチの皆さんの励ましや何気ない会話やアドバイスから、身体の可動域を少しでも維持や改善したい。健康診断の数値も一喜一憂し過ぎず、生徒の成績と一緒で、一直線にはならないと自分自身を秘かに励まし、「継続は力なり」と、生活の中のルーティーンにカーブスを取り込むと目標を立てた。
よく、カーブスの広告でも、私はこれだけ変わりましたと出ているが、計測や筋肉チェックでも、理想通りに行かず、めげることもあるが、結果は後からついてくるとの気持ちで、続けたい。何より室内に流れる音楽はアバや「ハレルヤ」等好きな曲にポジティブになれる。実は、強い味方なのが、離れて暮らす娘と息子の存在だ。娘は、小学校教員で現在は育休中だが、チアリーディングをやっていたので、何かと励まされる。息子は関西在住で遠いが、早大理工学部大学院で、ヘルスケアロボットを専攻し、メーカーで現在は商品の開発に携わり、筋肉についても詳しい知識もあるので、教わる事も多い。二人のチェックの目があり、怠けていると見抜かれてしまうので、気が抜けない。
更に今年は、中学校の同級会があり、同じテーブルに座った一人は「今後十年の過ごし方が大切」と、彼自身、体型維持に努めている。隣の彼女「私、カーブスに通っています」と、お互いに励まし合った。それから、一人一人のスピーチに耳を傾けていると、まだまだ皆様第一線にて御活躍の由、ピアノを教えながらCDを出したり、御両親の残した土地で農作業を頑張ったり、自分の技能を生かし続けたり。中でも驚いたのは、「生徒と一緒に走っている」と言った慶応志木高校のラグビー部の監督を続けている方のスピーチだ。そんな前向きに生活する同級生達にエネルギーをもらった。楽しい会を企画運営し、集まる場を提供してくれたスタッフの同級生に感動と感謝の会だった。
日々に感謝する言葉のメリットは、気持ちをポジティブにする。幸せホルモンと呼ばれる「オキシトシン」という脳内物質が出て、自律神経を整え、心が落ち着き、免疫力を高めて健康につながる。それでストレス軽減され、幸福感が出る。脳内の疲れも取れ、前向きな気持ちになる。カーブスで自分褒めもこれだ。私もカーブス二年目に入り、頭で考え悩むより、まず行動してみると、意外にできるものだと気づく。時間はないのではなく、自分で何とか捻り出すもの。人生はいろいろあるけれど、仲間やコーチのおかげで楽しく通えていること。おうちカーブスやプロティン等に、最初は欲張ってどうかと消極的ではあったけれど、何とかプラスαで励みに頑張れる。
この先、災害や、病気等予期せぬ出来事が起こる不安は誰にでもあるが、とにかく毎日を「ハレルヤ」つまり感謝と喜びを胸に、前向きに頑張る生活の中で、カーブスを続けたい。状況に関係なく、やるかやらないか、ただそれだけだ。先の見えない混沌とした不安もある未来だからこそ、気持ちと身体の切り換えに、カーブスは自分を見つめ直す時間として、末長く続けたい。
入賞
「カーブスとの出会いで得た変化」
カーブスって
どんな運動?