カーブスに入会して、六月で三年になる。"石の上にも三年"と言う諺があるが、この年齢になって、よくまぁいままで続けられたものだとあきれる反面、三年近く毎日のように通っていることは、自分にとってカーブスが、健康で長生きするためにはかけがえのない大切なことだと気付いたからである。カーブスは、これからの私の人生にとって生活そのものになってしまったのだ。
 
 結婚して六十二年、愛知県・奥三河の山林のある家に嫁ぎ、まさか、女性である私が男性と同じようなきつい山仕事などするなんて思いも及ばなかったのに、他人を雇いながらも、山の持ち主が先頭に立って働かなければならないことを、姑にこんこんと説教された。
 ハチに刺されて顔が腫れ、木にかぶれたり大嫌いなへびに出会い、どっきり!なんて嫌なことばかりだったが、なれない仕事を姑に扱かれながらも山仕事を覚えていった。
 後に、山仕事は私の宿命的ライフワークとなった。仕事をだんだん覚えて行くと余裕も出てきて、自分が植林して育てた木に愛着も沸き、いまでは外材の輸入で日本材は売れず、山林からの収入は無いが、山仕事をしてきたことに後悔はない。
 
 仕事の傍ら、田舎の古い慣習に溺れることなく、書くことが好きなこともあって、新聞への投稿をはじめた。新聞への投稿が人の目に留まり、青少年の健全育成の委員や審議会などのお役もさせて頂くことができた。男女共同参画社会の学習やボランティア、趣味で創作童話の同人のグループに入り、山仕事をしているので、野生動物との触れ合いを種に、童話を書き続けている。「留守番タヌキ」「お玉ばあちゃん」絵本「ぼくと大ばあちゃんでたんけんだぁ!」と自費出版もした。
 
 若い時には、ずいぶん欲張って色々なことをしてきたが、なぜか、スポーツだけは贅沢な意識もありご縁がなかった。夫が五年半前に認知症で亡くなり、山仕事や田舎の古民家のかたづけなど必死で働き、それまで肉体労働をがむしゃらにして、食べ物も田舎育ちで粗食に耐えながら育ってきたので、栄養のことなど考えずに、甘いものなどともかくお腹いっぱい食べてきた。そのために、一人になったら食事の支度も略して、高血圧や糖尿病など両肩の痛さなど、思いもしない病気が次々と襲ってきた。
 友だちからカーブスを誘われたが、その時は肩の痛さでそれどころではなかった。それからよその町でカーブスに通っている娘に、それこそ強引なくらいに「お母さんは運動しなければダメ。カーブスがいいよ」と無理に教室に連れて行かされた。私にとって、スポーツ教室なんて贅沢で自分には縁のないものと思っていたので、教室の中では、みんな溌溂としてマシンを動かしており、私のようなおばあさんは見当たらなかったので、場違いな所にきたみたいで恥ずかしく、気遅れていたらコーチの方がやさしく寄り添って下さり、抵抗なく手足を動かすことができるようになっていった。
 はじめは仕方なく通っていたが、体を動かしていると気持ちもいいので、やり始めるとむきになる性格もあって、毎日のように通い続けている。そんな私に娘から「ばあさんが飛び跳ねなくても」なんてアドバイスされた。この頃はマシンからマシンの間は、ゆっくり足踏みして休息する方が筋肉を疲弊しなくて、体脂肪も減ることが分かり、自分のペースでできるようになった。
 
 通い続けていると、カーブスは生活の中に組み込まれてしまって、カーブスに行かないと生活が落ち着かなくなってしまった。月に一度の計測は、努力の成果が現れたり、食べ過ぎに反省したり、自分の体のバロメーターを周期的に図ってもらえるので、計測は体の状態を知り、次の目標もできるのでありがたい。糖尿病や高血圧でお世話になっているかかりつけ医に報告すると、カーブスのことも話してあるので喜んでくれる。
 この間の計測の時、順番を待っていたら、隣に座った方が、七十歳近くなり仕事を辞めて何もやることがないと思っていた時、カーブスのCMを見て、入会して二週間で「何も分からないから......」と言ったので「すぐなれるわよ」と言ってあげたら安心したみたいだった。年を取ってから、知らない場所に飛び込むのは勇気がいることなので、コーチの入会者への心遣いが細やかで、私も最初はとても助けられた。
 
 カーブスは個人的なおしゃべりは慎んでいるので、他人のことを詮索することも無く、女性だけで、異性に対して余計な気遣いもしなくていいのでありがたい。活動時間三十分というのもちょうどいい時間だし、予約なしなので好きな時間に行かれることが、気ままに生活している者にとっても、長続きするコツでもあると思われる。それで私もいままで続けられたのだと思う。蛋白質をしっかりとること。栄養のことを教えてくれたことで、今思うと、命拾いした。カーブスにきていなかったら、今頃、どんな生活をしていたかと考えただけでもぞっとする。
 私は結婚してからこの年齢まで、社会活動や、人との出会いに恵まれ、自分の努力以上に人に助けられ、充実した生活ができることに感謝している。人生の終着駅も近いこの年齢で、カーブスとの出会いが、健康を維持するために、私に幸せをもたらせてくれることを信じ、老いの身を奮い立たせながら継続していきたいと思っている。その意味で、長生きさせてもらうために、カーブスが人生最後の居場所とも言える。
 コーチから、ときどき「姿勢がいいね」なんて言われると、若返ったみたいで嬉しくなって舞い上がったりしてしまう。コロナも少し治まってきたので、グループ活動や知人・友人など積極的に会って「私を見て!」と言えるように、おこがましいが、カーブスで磨きをかけ、みなさんをお誘いしたいと思っている。