寝転んで、スマホを見ていると突然出てきたカーブスの無料体験ボタン。ポチッと押して、はや二年。店長さんの説明を伺い、即入会。私が退職して一年が過ぎようとしていた頃だった。毎日の堕落した生活に区切りをつけたかった。規則正しいメリハリのある生活を目指した。丁度その頃、健康だった姉が突然体調不良で入院した。私は働いていた時は毎日職場へ行き、仕事ができていたので、自分の健康を考える事もなかった。
 入会してからの一年は、可能な限りカーブスに通った。行く前に簡単に家事を終わらせ朝一番早いコースに入るようにした。軽い運動だったので無理なく続ける事ができた。他の方との会話もとても楽しかった。カーブス終わりに買い物をし、帰宅してプロテインを飲み、シャワーをあびて着替える。きちんとしたルーティンができた。一応最初の目標は達成する事ができた。
 
 一年間を振り返り、エッセイを書いてみた。友人達からは、「がんばるね」「続いているね」とよく言われた。そして、その後は必ず「成果出たの」とたずねられる。「えー、この体型だもの、全然」とおどけてみせる。確かに他の方のエッセイを読んだり、カーブスの教室に貼り出されているポスター等を見ていると、体型、体重等に大きな変化が生じ、確実に成果をあげている方の紹介がされている。成果かぁと、改めて考えてみた。入会して一年、体型、体重は増えたり、減ったり。毎日通って運動し、まわりの方との会話を楽しむ事で満足していた。この年齢で現状維持も大きな成果だと自分に言いきかせた。ちょっと寂しい成果だ。体重を大幅に減らし、美ボディを夢見たりもしてみたが、叶わなかった。けれど本当に成果はなかったのかと嘆く自分と、いやいやそんな事はないぞと反論したい自分がいた。
 
 カーブスに入会するまで、たんぱく質の重要性など考えた事もなかった。どういう食品にどれだけのたんぱく質が含まれているのかも知らなかった。無理な食事制限や、激しい運動をやみくもにするのではなく、質の良いたんぱく質を摂る事の大切さ、表を見て計算しながら毎日の食事を考える。一つの食品でなく、数種類の食品から、バランス良く摂るように努力した。ついつい高たんぱくを目指し、高カロリーになると計測日にコーチから指摘される。
 筋肉をつける重要性。筋肉と言うと、ボディービルダーの方のようなムキムキマンを思いうかべてしまい、私には無縁のものだと思っていた。筋肉が脂肪を燃やすために必要で、筋肉をつけるほど基礎代謝がアップし、脂肪を燃やしやすくする事を知った。又、適度な運動をする事で筋肉の緊張を軽減し、腰痛やひざ関節まわりの痛みをやわらげ、筋肉がつく事で、痛みの再発予防にもつながるとの事。日々の生活の中で、筋肉について考えた事があっただろうか。このような知識を得た事も大きな成果ではないか。
 年に一度人間ドックを受診していた。長年受けていたので、結果が届いても軽く目を通すだけだった。カーブスに通うようになってからは、それぞれの数値をこまかく見て、少しでも異常がありそうなものについては、すぐに病院へ行くようになった。特別治療等の必要がないものについても、現状維持を心がけた。先生からも「カーブスでの軽い運動を続けているのが良いですね」とお褒めの言葉をいただき、少しうれしくなった。自分の健康状態を注視し、常に健康状態維持に努めるようになった事も大きな成果だ。
 働いていた時は、毎日ストレスの連続。たまったストレス発散のために、友人と会いしゃべりまくって、大いに食べる。食べた後に少し後悔、とのくり返しだった。最近は、カーブスで色々な年代の方と話し、楽しい時間を過ごす。軽く汗を流し、ストレスも感じない。これは大きな成果だ。
 
 私達は成果と言うと、ついつい目に見えるものだけを評価しがちだ。けれど、成果って何だろうと考えてみた時、決してそれだけではないのだと思えてくる。体型が変わらず、体重が減らず、あああと思う時もあるかもしれないが、成果って、それだけではない。さまざまな知識を得て、自分の健康を考え、ストレスを軽減していく。これって、目に見えないが、大きな成果だと思う。成果は人それぞれ。すでにカーブスに入会している方も、これから入会してみようかなと思っている方も、色々な成果を求めて、まずは軽く運動してみてはどうか。きっと、その人なりの成果が得られるはず。
 
 カーブスで運動している時、ロッカーの上の壁に貼られた大きな文字を見る。「みんな一緒に素敵な未来へ」この言葉を見ると、なぜかわくわくしてきて、ボードでの足踏みに力が入る。とても明るく良い言葉だなあと、感心させられる。私にとって素敵な未来とは、どんな未来なのか。少しロマンチック。
 「腹圧入っていますか」とコーチの手がお腹に当てられ、現実に引き戻される。腹圧を入れても、入れなくても常にパンパンの私のお腹。思わず、笑いがこみ上げてくる。
 さあ今日からまた一年。素敵な未来への第一歩をふみ出す。ずっとずっと、わくわくが止まらない。