「和子さ~ん、おはようございま~す。お会いできて嬉しい」この言葉に迎えられ私の全身に幸せホルモンのドーパミンが一瞬に駆け巡る。そして輝く和子さんに変身するのです。これが"カーブスの魔法"なのです。

 思えば八年前七十五歳の時、突然振りかかった禍い。注意をしていたにも関わらず転倒し、右手首骨折、右膝靭帯断絶。何で私が?怪我をしたことよりも今起こった事実にショックを受けました。何しろ右手首右足ですから家事全般ができず、気分も下向きになる一方でした。しかし持ち前の好奇心で禍いの三日後には左手でハンドルを握り、近くのスーパーへ向かっていました。そこで最初の福が待っていたのです。「既製品や出来合いの食べ物はまずい!」と思い込んでいた観念が一度に吹き飛びました。その品数の多さ味の良さ。しかもすぐに調理可能なカットした野菜まで‥‥。宝物を探すようにワクワクしたのを思い出します。嫁曰く「不味ければその情報はすぐにネットに上げられるのよ。だから今はみんな美味しいわよ」と。あの禍いがなかったらこの気づきに出会うことはなかったでしょう。今では献立の助けになっています。

 それから三ヶ月「これで手首の新しい骨が育ちました。膝の靭帯は筋肉が代用してくれますよ」と医師からの説明を聞き、即、頭に浮かんだのがカーブスでした。何年も前から買い物のたびに目にしていた看板、「女性だけの健康体操」という文字が脳裏にインプットされていたからでした。「もう身体を動かさなければ、筋肉をつけなければ」七十歳を過ぎた頃からこう思いつつ、五年の歳月が過ぎていたのです。早速電話で予約をしました。不安な気持ちで扉を開けると全てがとても明るいのです。部屋の明るさもさることながら、空間を流れる雰囲気も、コーチの声も、筋トレ中の方達も、エネルギッシュで温かいのです。決して圧倒されたというわけではなく、その雰囲気に優しく包まれていつしか不安な気持ちは消えていました。そしてカーブスに通い始めることを決意しました。地域のカーブスなので知り合いの方に何人もお目にかかることもあり、一層心楽しく筋トレをさせていただきました。
 
 気づけばアッという間にカーブス歴八年目になっていました。その八年の間には、山ほどの役立つ知識を教えていただきました。筋トレの他にも、たんぱく質のこと、体のしくみ、食べ物からレシピまで、広い知識が身につきました。現在、主人と二人の生活にカーブスレシピは欠かせません。また月一度の計測では体調の変化が良くわかり、頑張った結果にはご褒美をいただけるのも楽しみの一つです。
 
 実はこのエッセイを書こうと思ったことは、一つの動機がきっかけとなっています。ある日、本箱を開けた時、足元に数冊の日記帳が落ちてきました。一冊を手に取りパラパラとページを繰ってみて驚きました。それは十年前の日記だったのです。目を通してみると、たくさん目に付くのが「シンドイ、ヤル気がない、体力ナシ」こんな言葉の羅列でした。年を取ってからの十年といえば、心身は相当に衰えているはずです。ところが今の私は十年前よりはるかに元気なのです。それまで正直、知識では筋トレの効果を良く理解していたつもりでした。しかし今、目の前で知った事実こそが私を突き動かしているのです。この元気はカーブスのおかげとしか言い様がありません。この事実を一人でも多くの方たちに知っていただき、体験してほしい。そして伝えたいとの思いに駆られたことがこのエッセイを書く動機になりました。もし八年前の禍いがなかったら、もし背中を押されていなかったら、と考えるとゾッとします。

 十年前はライフワークとして音訳のボランティアをしていました。マイクと対峙する日々でしたが、身体のケアは一切していませんでした。今考えると、認知症が当時の私を狙っていたかも知れません。今では週三回のカーブス通いが、私の大切なライフワークとなっています。その他にも、週一回の太極拳、月二回自治会館での手芸サークルと、十年前よりも活発に活動しています。この手芸サークルでは八十代の仲間十人で、折り紙など手先を動かしながらのオシャベリを楽しんでいます。これはとても脳を活性化してくれます。老いのこと、病気怪我のこと、手抜き料理のお話と、経験に基づいた情報交換は、今や大切な私のルーティンとなっています。

 最近もう一つの福をいただきました。昨年右膝を捻挫したことがありました。でもカーブスレディー?の私は、筋肉のことも心の持ち方もカーブスでたくさん勉強していました。だからこそ落ち込むこともなく、三日後から杖をつき、ビッコを引きながらもカーブスへ通いました。元気印の私を見て沢山の方から温かい励ましの声を掛けていただきました。"痛みのある所は避けて他の筋肉を鍛えましょう"と教えられていたことが、その時の励みになりました。気分も下向きになることもなく通い続けてその一か月後のことです。杖をつくことはなくなっていましたが、まだビッコをしながらの私に、今まで話したこともなかった方が声を掛けてくださったのです。その方は私の手を取り「杖が取れたのですね。良かったですね~」と涙まで浮かべて喜んでくださったのです。それはそれは優しい愛の言葉のプレゼントでした。その時気がついたのです、私は週三回のカーブス通いに喜んで楽しんで通っていただけだったと言うことに。「そうだ!これからはカーブスに来たら必ずどなたかに明るい言葉の声掛けをしよう」と思い立ちました。これもカーブスとその方にいただいた愛の福です。実践すると誰よりも私自身が優しく幸せな気持ちになるのです。八十三歳の今でも学べる場所があるカーブスにとても感謝しています。
 
 私には身体的に一つだけ誇れることがあります。それは今の歳まで身長が若い時と変わらず160センチをキープしていることです。毎年の健康診断では「今年も同じ身長を保てていますね」との言葉をいただきます。カーブスに出逢えたことで、禍いを福に変換できることを知りました。これからもカーブスの魔法を周囲の方に伝えてゆきたいと思います。そして神様から「天国へ転勤~」とお声がかかるまで、カーブスのキャッチコピー「明日の自分に驚く」の通り、驚き続ける日々を過ごしていきたいと思っています。「和子さ~ん、お疲れさま。また待っていま~す」の魔法の言葉に今日も見送られながら‥‥。