「月・水・金とディサービスに通っているの」三年ぶりに聞いた友の声であった。少しかすれている。えっ!あんなにスポーツウーマンでフットワークが軽い友。スポーツの大嫌いな私と違いハーフマラソンに出場し、コンサートに出かけて海外旅行に参加するなど退職後は充実した毎日を過ごしていたのに。まだ七十七歳。ディサービスは早いのでは。何か大きな病気をしたのだろうか。おそるおそる体調をたずねた。「何か不調でね」と詳しく話をしてはくれなかった。どうやら大病ではないようだ。
 コロナ禍があり皆が家にこもりがちになる。しかし、徐々に日常生活が元にもどってきて、それぞれ活動を再開しだした。そう言えば、友に何回か電話をしても「会えない」と断られていて、この二、三年は電話にも出てくれなかったのだ。少し、うつ状態になっているのかと思っていた。こんなに心身ともに急に弱まっていたとは。
 私は後悔した。スポーツ万能の友と言えどもっと気をつけて接していればよかったと。友にはもの足りないだろうと、私が勝手に判断してすすめなかったことを。何故カーブスに行こうと言わなかったのか。
 
 私は十年以上カーブスに通っている。長く通う中にはいろいろな人が入会、退会していく。気づいたことがある。長続きする人は、自分のペースを守り、コーチや仲間と軽くあいさつをして、楽しそうにしていることを。「だってここに来て話をするのは楽しみでしょ」と言う人がいる。「しばらく会わなかったけど、元気にしていたの」と聞いてくれる人。コーチの他に、深い会話ではないが、何げない会話がとびかう。入会した時は誰とも話さないでマシンを動かしていた人も、何回か通ううちにこの明るい雰囲気に包まれてくる。笑顔が増えてくる。それぞれのペースで通えるし、強制的でないのが良い。私も一ヵ月以上も忙しくて通えなくとも、必ず又、通い出していた。運動のみではなく、カーブスは何げない会話のできる場所でもあったのだ。
 今、私が友に出来ることは何回か連絡を入れること。一緒にカーブスに通いたかったなとマシンを動かしながら思っている。