2018年、プロ野球広島東洋カープが3連覇を達成し、広島の街は歓喜に満ちていました。このまま日本一までつき進むと信じて、マツダスタジアムでの初の日本シリーズ観戦を楽しんでいた時のことです。トイレに行くため立ち上がろうとすると、膝に力が入らないのです。さすったりもんだりしながら何とか立ち上がり、階段を降りようとすると、今度はカクンカクンと体が左右に揺れてスムーズに降りられないのです。膝が十分に曲がっていないのだと気付きました。痛みもあります。心配になり、翌日すぐに整形外科を受診しました。レントゲンを撮って、先生から告げられたのは、変形性膝関節症でした。加齢によって膝の軟骨が擦りへり、関節が変形して痛みが発症するのだそうです。元通りには戻らないと言うことでした。「ただ、膝周りの筋肉をつけることで症状が軽減されます」この日先生から聞いた言葉で唯一希望の光が見える言葉でした。それにしても治らないのかと、落ち込む私に引きずられるようにカープも元気がなくなり、その年の日本一を逃してしまいました。
 
 スタジアムの観戦席は、すり鉢状になっていて、観戦するためには、長い階段を昇り降りしなければなりません。こんな状態ではもうスタジアムに行けなくなるかもしれないと、不安になりました。家でテレビ観戦をすればいいじゃないと言う人もいますが、スタジアムでの楽しさは格別なのです。ボールを打つカキーンという音、選手のスパイクから土が舞い上がる瞬間、そして応援歌の大合唱。赤く染まったスタジアムの熱気とどよめきは、胸躍るものがあります。
 このままではいけない、筋肉をつけなければと思い、地域のコミュニティーセンターの体操教室とヨガ教室に入会しました。家では毎日スクワット50回を自分に課して継続しました。膝は一進一退ではありますが、少しずつよくなっていくようでした。
 
 ところが2020年、コロナが蔓延して、教室がすべて中止になってしまったのです。いつ教室が再開するか分からない中、ただじりじり待つだけではだめだ、何とかしなければと思っていると、友人が「カーブスは、やっているよ」と教えてくれました。少し迷いましたが、とにかく自分の目で確かめてみようと思い、無料体験に予約を入れました。そうしてついにカーブスにたどり着いたのです。
 恐る恐るカーブスの門をくぐると、元気の良い挨拶とともにコーチの方が優しく迎え入れてくれました。ほっとすると同時に、私より年配だと思われる方がたくさんいらっしゃることに驚きました。そして皆さんイキイキと楽しそうに運動されています。カウンセリングでは、私の体のことを細かく聞き取り、筋肉がいかに大切かと言う事を教えてくれました。そして、マシンの体験では、腕や足の使い方から姿勢、目線、腹圧と丁寧に指導して頂き、即入会を決めました。
 
 初めのうちは足を使うマシンが苦手でした。「痛かったら無理しなくていいですよ」コーチの優しい言葉に甘えて、膝の状態を確認しながら恐る恐る動かすといった感じでした。こんなんで筋肉がつくのかしらと半信半疑でしたが、前回より回数多くマシンを動かせた日は、嬉しくて達成感がありました。今は、腹圧を意識してやることと、チャレンジハード(大きく速く)に重点をおいてやっています。すると、少しずつですが体脂肪が減ってきたことも嬉しい成果です。
 たんぱく点数も、プロテインを飲むようになって、毎日二桁を維持できるようになり、毎日コーチにたんぱく点数を報告するのが楽しくなりました。きっとどや顔で報告していることでしょう。コーチからはいつも前向きな言葉で優しく声をかけて頂き、元気をもらっています。
 
 そして、ワーク中の楽しみがもう一つあります。カープが勝った次の日は、「カープ勝ったね」「〇〇選手がよう打ったね」と、あちこちからカープ談義が聞こえてきます。負けた次の日は、手厳しい意見が飛び交っています。広島あるあるだなあと、くすりと笑ってしまいます。カーブス会員の中にもカープファンがたくさんいるんだと思うと、不思識とやる気が湧いてきます。
 
 スタジアムへは今でも年に2~3回行っていますが、あんなに辛かった階段の昇り降りがだいぶスムーズになりました。筋肉がついているのが実感できます。カーブスに出会って本当によかったと心から思います。
 これからもスタジアム観戦を続けるために、カーブスに通います。筋肉がつけば明るい未来が待っていると信じて、今日も気合を入れてマシンに向かいます。