今から約一年半前の夏、私は一人で草津、渋、善光寺を回る温泉ツアーに参加しました。その時、福岡からやはり一人で旅好きの女性が参加していて、自然と親しくお話するようになりました。私はあと四ヶ月後には八十歳になる高齢者でしたが、彼女は六十代の後半といったところで、だいぶ年齢は離れていましたが、お互いに旅好きということもあって、話が合いました。しかし彼女の「旅好き」は半端ではなく、年上の私がいろいろ話を聞かせてもらう有様でした。
その方は、四十歳まで常勤で仕事をしてこられたのですが、体が弱かったので、このままだと旅行にも行けないし、五十歳台で死んでしまうと本気で思ったため、その仕事を辞めて、その後はパートで働きながら、収入全部を旅行につぎ込んで、思う存分旅をつづけているのだそうです。ただ生活費はどうしているのか聞きましたら、それはご主人の働きで賄われているそうで、幸せだなと思いました。そしてついに南極まで行ったとのことでしたが、それを聞いて私には南極までは行けないと、本当に驚きました。そうこうしているうちに彼女の体は健康になり、今では健脚を誇っているということでしたが、それにしても旅行だけでこんなに健康になるものだろうか、と思いながら、私は話を聞いておりました。
ちょうどその頃、私はといえば、一年前の夏、六、七年間痛みを我慢していた左足の股関節の手術を受けた後、初めての旅行に出かけてきたときでした。その旅の最後に長野の善光寺へ行き、幾段もの階段を上がり、登れたうれしさを彼女に話したりしておりました。しかし股関節の手術は成功して痛みはとれたものの、年齢的にも高齢だし、このままでは筋肉が落ちてまた歩けなくなるかもしれないと思われるが、どうしたらよいかしらと彼女に相談してみました。そしてふっと「私の家の近くにカーブスがあるから、行ってみようかと思うんだけど、決心がつかなくて...」というようなことを話しましたら、彼女が「実は、私はそのカーブスへ六、七年間通っているけど、そのお陰で健康になったのよ」そして「私は体調が悪かった時、カーブスのコーチや仲間の人たちに助けられて、本当に感謝している」というのです。私は全く予想していなかったことを言われて、びっくりしてしまいました。すると彼女は「ぜひ、行きなさい。絶対良いと思うよ。私が持っている無料体験の券を帰ったらすぐ送ってあげるから」と言って、彼女は帰宅後、間もなくチケットを郵送してくれたのです。
私は、もちろん彼女の言葉とチケットに背中をおされ、家の近所のカーブス弘明寺へ通い始めました。最初の頃、多少疲れましたが、そのうちに筋トレしたあとは、体が喜んでいるように、気持ちが良くなるのが感じられるようになってきました。そして最近はご近所の人でもろくに挨拶をしないような人間関係の世の中になっているのに、カーブスでは出会う人たちが皆さん気持ちよく挨拶をしてくださるし、何といっても元気のよいコーチの方々の愛情あふれるお声掛けに毎回励まされ、気持ちよくトレーニングできるのをうれしく思っています。幸い、時たまうっすらと痛みを感じていた手術後の股関節はほとんど完治したようで、不安はなくなってきました。その上、もうすでに完全に八十歳台となりましたが、体で痛いところはなく、かなりの山坂も長時間歩けるようになりました。本格的な登山でもないかぎり、行きたい所へはどこへでも旅することができます。また一方、昨年三月には、長いこと面倒を見ていた孫娘が私の所から親元へ戻ったため、私は生れて初めて一人暮らしをしています。自由な一人暮らしは大変気楽ですが、とかくけじめのない生活になってしまいがちです。でもそんな生活の中でカーブスへ通っていると、生活にリズムができてダラダラ過すことがなくなり、大変ありがたいです。
カーブス弘明寺で私より年上の方はそう多くはいらっしゃらないようですが、高齢の方たちが一生懸命筋トレに励んでおられるお姿を見かけますと、私も何歳までがんばれるのかわかりませんが、まだまだやれそうな気がして、幸せな気分になる今日この頃なのです。
準賞
「思いがけず旅友に背中を押されてカーブスへ」
カーブスって
どんな運動?
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