入会から約半年、この間、カーブスには週に2、3回行けるかどうか。体も忙しいが、気持ちが忙しくて会場に行く余裕がないこともあった。その意味では決して褒められる会員とは言えない。色々なキャンペーンもなかなか日数が達成できない。それでも、今のところ辞めたいと思った事はない。カーブスにはそれだけの魅力がある。
思えば幼い子どもの頃からの長い年月、肥満気味だった私は、おしゃれに背を向けて、まるでそんなことには興味がないかのように装い、勉強に、仕事に、と我が道を突き進んできた。本音を言えば可愛い服も着たいし、お化粧だって頑張ってみたかった。『青春』は若い頃の私にはもったいなかったと思う。
しかし、さすがに還暦までのカウントダウンが始まってこれからの人生を考えると、このままではまずいと気がついた。オーバーウエイトで長いこと負担がかかって疲弊しきった内臓。医師からは、糖尿が出るかも、痛風が出るかもと色々な脅威を告げられた。重たい体に悲鳴を上げる膝や足の筋肉。2回も膝を痛めて治療に通った。7年前のガンの手術の時は、脂肪の鎧が凄すぎて、脊髄の麻酔は簡単に入らず、傷はなかなかつかず、再発したとしても今の体重だと治療に影響が出ますよとまで言われた。その後のフォローアップの度に先生に「体重だけが問題です」と言われ続けて来た。怖くなって無理なダイエットをしてリバウンドに泣いた。仕事が!家事が!やることが!と言い訳には事欠かずに来て、まがりなりにも食事には気を遣って来たつもりだが、自分自身はごまかせない。世間の誰も知らなくても、真の意味で体を労っていないことを私自身が一番よくわかっていた。
2017年春、念願叶って大学院に進学した。90まで現役だった母のように、新しい30年のキャリアの基盤となる資格取得を視野にいれた進学だ。仕事をしながら勉強を始めて見ると、にわかに体の衰えが気になった。老眼、肩こり、そんな事より何よりここぞという時にあと一時間の踏ん張りの利かない、疲れやすい体になっていたことがショックだった。
大学院の生活に慣れた頃、体を鍛えなくては、基礎体力をつけなくてはと考え、集めた自宅周辺のスポーツ施設などのパンフレットを見て、しみじみと考えた。私には完璧主義なところがあるから、普通のスポーツクラブじゃ、全力を挙げすぎて多分別な害が出るかもしれない。現にそれが災いして続かなかったことがあったっけ。今の本業は研究だ。学校と個人の生活、その間に挟める小さな運動習慣、その観点が大事なのでは?と気がついた。カーブスの特殊性がとても魅力的に見えた。決まった分量、決まった時間。工夫をして強度は変えられる。でも時間は延びない。これだ、と思った。
10月の月末に入会して、まず考えた事。どうやって日常に運動する機会を増やすか。家事で小まめに体を動かす。大学の一駅手前で降りて余計に歩く。荒川の土手の探検散歩に行こう。電車ではなるべく立とう。校舎の階段はまずは降りるのだけはエレベータを辞めた。毎日一万歩を目標に、体を動かす習慣を作ろうと考えた。
そして、それも落ち着いた11月の月末、カーブスでプロテインを勧められた。パンフレットを読み、カロリーと栄養素の本を買った。12点をコンスタントに取れるように、プロテインはもちろん、メニューを工夫し作り置きのタンパク質や海藻やきのこや貝の常備菜を作り始めた。野菜スープ、温野菜。野菜も十分に食べようと考えた。食生活もさらに改善を目指した。
体重を毎日測り、生活をモニターするノートもつけ始めた。負担にならない程度に、改善出来そうな所を見つけて少しずつ変えて行きたいと思ったからだ。あ、ここで、歩けたな、いや、ここでカーブスに行けたな、そんなことを意識するようにした。
私が模索していたのは、『毎日一人カーブス生活』だ。カーブスは、筋トレを通じて健康を増進し、毎日を健康に明るく過ごし、年齢に負けずに人生を楽しむという提案をしているのだと思う。コーチは努力が継続できるようにメンバーを励まし、努力を認めて褒めてくれる。時には叱咤激励も。当然のことだが、カーブスにいる時間は非常に短い。残念な事だけど、生活のほとんどは、カーブス以外で行われている。だったら、毎日をカーブスにしてしまえばいいのだ。健康で元気に溢れて筋肉を使って生活すればいい。自分を褒めてあげられるように頑張ってみようと考えた。
朝、ゆで卵をプラスしてプロテインを1点増やし、駅までは今までよりも早足で足を上げて歩く。電車は半分立って、半分座る。駅のエスカレータは登りだけ。お昼はお弁当にして、野菜とタンパク質をたっぷり。帰りは一駅先まで散歩をしながら帰る。積極的に体を動かし、自分に注意を払い、そして、頑張る自分を認めて褒めてあげる。とてもシンプルだが、この『毎日一人カーブス生活』は無理がなくて、継続が難しくなかった。
ふと気がつけば、整骨院で「この頃、何か運動してます?筋肉がエライ太くなったけど。別人みたいですね」と言われ、病院では血液検査の結果を見るなり、「運動してるね?いいことだ!!体重が落ちて筋肉がついて、免疫力もアップするからね、頑張って続けて」と褒められた。洋服を買いに行くと、サイズが一つ下がっていて、顔なじみの販売員さんがいつもよりフェミニンな服を勧めてくださった。褒められると嬉しくなって、でも、無理はしないでゆるゆると続ける『毎日一人カーブス生活』はなかなか楽しい。
先日、大学で新一年生用に在学生の自己紹介を作ることになった。今までだったら容姿に自信のない私は、後ろ姿だの横顔だのと自分を隠すことばかり考えていただろう。でも、今回は積極的に自分を表現したいと思った。そこで、今流行の動物メイクに目をつけて、ネットで調べて猫になって、自撮りしてみた。その写真には、元気になり積極的に行動できるようになった新しい自分が写っていた。
カーブスに通うようになって一番変わったのは、自分を肯定的に見られるようになったことだ。運動に費やす時間という、今までにはない自己研鑽は、他の概念的なものに比べて成果を感じやすい。体が軽くなったり、ウエストが細くなったり、頑張った自分を感じやすい。筋トレを続けることで、ガンの再発を恐れず、体力の低下も跳ね返し、社会に貢献できる日々を一日でも長く続けよう、そう思うことが次の試みのエネルギーになり、ブースターになる。カーブスのおかげでそれを実感したこともこれからの人生の大きな宝だ。
4月の新学期からは2年に進み修士論文の研究も佳境に入る。仕事でも新しいプロジェクトが始まるので、カーブスに行ける日は更に減るかもしれない。でも、私は『毎日一人カーブス生活』を、今まで通り楽しく続けていこうと思う。カーブスは、カーブスの会場にあるのではなく、カーブスの会場に置いておいては勿体ない。それぞれの心の中に取り込み、生活の中で活かすべきだ。私のMyカーブスは、運動習慣としての毎日出来る小さな筋トレの基本の場所として、私の中にあるのだから。そして、来年の今頃の修了式には、修士論文を書き上げて一段とはつらつとした自分で出席したい。
佳作
「毎日一人カーブス生活」
カーブスって
どんな運動?