その頃、私は怒っていた。自分に、そしてこの痛みをもたらすすべての事に。
「手術した方がいいですよ。」
半月板損傷と診断した後、軽い感じで医師は言った。『他人事だと思って』と優しい医師にまで腹を立てながら尋ねる。
「手術したら元に戻れますか。」
「いや~、半月板を削るわけですからリハビリをきちんとして周りの筋肉を鍛えないと。本人次第ですよ。」
  結局、手術を受け整形外科でリハビリを続けていた私には、自分が良くなっているという実感が無かった。確かにズキズキと疼くような痛みは減ったけど、歩く時の違和感は手術前と変わらない。理学療法士の先生は「運動して骨をサポートしてくれる筋肉をつけないとダメですよ。ちゃんと運動していますか。」と宣う。
  自慢じゃないが、高校以来遊び以外で殆ど運動をしてこなかった私。かつてはジムに通ったこともあるが仕事が忙しかったこともあり、続かず。何もなければ一日中ソファに寝転がって本の4~5冊読むのは苦痛でない。
  しかし、クリニックの帰り、『ここは頑張るぞ!』と気合を入れ、健康指南本を買い、家でストレッチなどもしてみるが、自分に甘い性格が災いして筋肉までは至らず。このまま私は歩けなくなってしまうのかと弱気になっていた矢先、ネットでジム検索をしていると「カーブス」の文字が・・・。
『たったの30分。予約いらず。女性だけ。』という気楽そうな文言を見つけてしまう。
  体験ができるという事でネット予約。その日のうちにスタッフさんから電話をいただき体験に行く事になった。
  不安の多い私であったが
「膝や腰が痛いという方は大勢いらっしゃいますし、無理をせず、できるマシーンだけをなさってください。」と爽やかな笑顔で答えてくださる。
 ロッカールームもシャワー室もプールも無い。以前通っていたジムと比べて『なんだかこじんまりしてるな。』と感じた私だったが、スタッフの笑顔と「頑張りましょう」という呼びかけに『やっていけるかも。』と予感し、契約した。
  飽きっぽく三日坊主の私だが、歩けなくなってしまう恐怖から週に三日というノルマを自分の中に設けて通い始めた。マシーンとボードでのウォーキングを交互に行い、水分補給や脈拍測定をうまくサークルの中に取り入れたシステムの無駄のなさにまず納得。
  簡単なようで初心者には結構キツイ。でも他の人の頑張る姿が見える、励ましてくれるスタッフさんが居る。スタンプやドルなどのちょっとした仕掛けも私には楽しいものだった。
  以前通っていた設備の整ったジムでは味わえなかったやる気や楽しみが私の中に芽生えていた。
  あれから半年。私のカーブスの毎日はなんとか続いている。
  『面倒だな。やめておこうかな。』と思うこともしょっちゅう。でもいつも明るく声掛けをしてくれるスタッフさんや高齢でも楽しそうに頑張るメンバーの姿を思うと自然と足が向くのである。
  そして何より膝の痛みがずいぶん和らいだ。日常生活では問題無く歩けるし、筋肉がついてきた実感もある。これはカーブスでの一番の収穫だ。もしかして歩けなくなるのではという<不安>が大丈夫という<自信>に変わったのだ。いつのまにか怒りは笑顔に変わっていた。
  今の私はカーブスとの出会いを心から感謝している。マシーンや運動そのもの以上に、カーブスに流れるポジティブな空気が皆を包んでくれる。ただのスポーツジムでは無い温かさがここにはある。
 膝の痛みから下しか見ていなかった私が次のステージに一歩踏み出せた気がする。
MOVE TO THE NEXT STATION
 そう声掛けをしてくれたカーブスのおかげで。