私が2年前「カーブス」に入ったのは、数々の体の不調から、何とかしなくてはいけない。このまま病院通いばかり、薬に頼る生活からぬけ出さなくては体がどんどんダメになる。と思ったから。
 「ひどい肩こり」「数日続く頭痛」「冷え症」...と、すべてこれが更年期障害とひとまとめに考え、誰でもが通る道、いつかは治るであろうと思っていたが、長かった。なかなか、その出口は見えなかった。
 体調が悪い時、もうあたり前のように「今日も肩こりか、頭痛か...」と言われる。家族から心配される事などなかったと思う。きっと私は、誰かに気づかってもらいたいと思っていた。
でも、カーブスはちがっていた。コーチの方に声をかけてもらうだけでも、楽になる。「よし、頑張ろう」と思うのでした。

 去年、3月8日も、午前中いつものようにトレーニングへ。しかし、その3日後の3月11日に、あの「東日本大震災」。ちょうどその日は、母の87歳の誕生日で「忙しくて行けないから、お花送ったよ。ちゃんと届いた?」と電話をし、その約2時間後、震度7の地震。ものすごい恐怖で、体がふるえた。それから毎日、余震との心の戦い。「緊急地震速報」がいつ来るか...携帯ラジオが手離せない生活。
 ひと晩、車の中で夜を過ごし、早朝6時、家族のおにぎりをもらうため小学校の体育館へ並んだ。ただ無言で順番を待った。
 「今の自分は何?」
いつだったか、こんな光景をテレビのニュースで見た事がある。
「えっ!!」それは今のこの「私?」
「お水下さい」「おにぎり下さい」信じられない現実に無表情で。
もらった大切な食料を落とさぬように、大事に持ち帰った。
「これから、どうしよう!」と思うと一人悲しくなったのでした。
たった一台の石油ストーブで暖をとり、お湯をわかす。
生きると言う事は食べる事...それが出来ない時は...不安しかなかった。
 洗たく物も、もちろん「手洗い」。洗ったのはいいがしぼれない。どれだけ洗濯機におまかせの生活をしてきたのか。見ればシワシワの手には、いつの間にかひび切れが。
 生活がすっかり変わってしまった。メチャクチャの部屋のあと片づけ。体がとてもとても疲れた。
ずっと化粧もしていない。鏡に写った自分の顔を見て「老けた」その一言。笑顔さえどこかに消えていた。

 そんな中、カーブスのコーチから電話をいただいた。
「大丈夫でしたか?」「ケガしなかった?」と。そのやさしい声に何だか安心した。でも、「まだトレーニングへ行く気持ちにはなれないんだ」と答えたのを覚えている。せっかく電話して下さったのに、「ごめんなさい」...
 それから、落ち着いて考えてみた。「トレーニングのシューズがない!!」
そう、家中の荷物が床に落ち、ガラスが割れた時、カーブスのトレーニング用のシューズが、いつもクローゼットの中にある事に気づき、それをはいて外に逃げたこと。シューズの底にはガラスがいっぱい刺さり捨ててしまったんだと。シューズもないのに、カーブスに行けないなどと思っていたのです。
 あの時「1足のシューズ」があったことで、私は家の中から外へ出られました。厚底のシューズに感謝しなくてはいけなかった。カーブスに通っていたおかげだったんだと。

 そして、4月はじめに、久しぶりにカーブスへ行く事ができ、色々と心配していただいたコーチの方々にお会いして、友達と話をしたり、聞いたりほんの少し心が軽くなった。体を動かさないと「錆びる」と本気で思った。
 自分は、こんなにひどかったんだ・・と長々と話した。コーチはそれを、いやな顔ひとつせず全部聞いて下さった。
「さあ久しぶりのトレーニングですから無理せず、ゆっくり体を動かしてね」と言われ自分だけ満足していたのでした。

 いつものようにカーブスへ行くと、壁にコーチの方々の自筆のメッセージが貼ってあり、何気なく読んでみた。
 びっくり!!しました。そして自分がとてもはずかしくなりました。微笑みをたやさないやさしく接して下さるコーチのお家は、震災で津波に遭い、大切な方を失ってしまった事を今の今まで知らなかった。「涙」が浮かんできて、どうしようもない。そして彼女の長いまつげがほんの少し光ったようで。
 「大変なのはあなた一人じゃないんだよ」って言ってくれたらよかったのに。いつもやさしくしてもらってるのに。かけた言葉は「大変だったんだねぇ」。次の言葉がさがせなかった自分が情けなかった。

 今日は久しぶりの青空のさわやかな月曜日です。
少しだけ早く家を出て、自転車をこいでカーブスへ行く。背すじを伸ばしてサーキットへ入る。「お願いしまーす」。やはり体を動かすと心もスッキリするし、冷えた体もあたたまる。
 「あれ、そう言えばずっと肩こってないし、頭も痛くない」
冬は両肩と背中にカイロを貼って、低周波マッサージをしたりして。肩こりのない生活って快適です。やっと解放されました。血流も以前より良くなったと思います。
 そして、いつでも笑顔が良く、細かい心くばりをしてくれるコーチの方々に「ありがとう」と言いたいし、その出会いの場に一歩家から出てみて良かった。
ずっと続けて行こうと思うのでした。