「お母さん、おそいよ!」
当時小学校3年生だった次男が私の背中を押し、ともに走っている。中学生の長男はとっくに駅に着き、私たちを待っていた。次男に背中を押されながら、私は愕然とした。私は小3の息子より走れない・・・。
たまには電車で、と買い物に出かけた日のことである。電車の時間がぎりぎりで私たちは駅まで走った。余裕だろうとたかをくくっていた私は子供たちの身体能力の高さと自分のからだの老化にはじめて気づいたのだった。
私は喘息の持病があり心肺機能に自信がない。検診でうけた呼吸機能の結果も正常値以下だった。運動も得意とはいえない。子供たちはみな卓球をしており、まずまずの成績を残していた。子供たちまではいかなくても、まさか自分がこんなにひどいとは思わなかった。仕事でも動くし、太ってもいない。「でも、きっとそれだけではだめなんだ、なんとか心肺機能を高めたい。」喘息のような持病は将来的に家で酸素を使っている人も多い。でも、呼吸器のリハビリが効果的との文献をよみ、何をしようか真剣に考えていた矢先だった。
何か、運動でもと思ったが、生来の運動オンチの私では、スポーツクラブは無理だろう。仕事も忙しく、休日は家族のために使いたい。そんな時、カーブスオープンのチラシが入った。30分で終わり、しかも女性だけ。それなら、仕事帰りにもいけるかも。子供たちの卓球の試合にも差し障りはないかもしれない。しかも、無料体験もできるという。
はじめたい気持ちが半分、デモできるかと不安な気持ちが半分、「でも何か始めなくては・・。」そんな思いを持ち続け、2ヵ月たった頃、無料体験を受けることにした。
やってみてびっくり。これなら、私にも続けられそう。こんなに簡単で本当に効果があるのかな。
何度か通ううち、だんだんに階段の上り下りが辛くなくなった。少しは効果みえてきたころ、私は手術を受けることになった。手術自体は簡単なものだが、全身麻酔の手術になるという。担当医師は手術より、全身麻酔のほうを心配した。喘息の持病があるためだ。麻酔中発作が起きたり、術後に発作を起こすケースがあるらしい。発作を起こすと手術は中止になる。でも今のままでは日常生活に支障があるため、私は手術を受けることにした。
術前の検査で、私はまた呼吸機能の検査をした。とうぜん、私は以前と同様の結果だと思っていた。しかし、結果は意外に「正常」だった。もちろん、肺活量もそんなにない私は、ぎりぎりのせんだっが。それでも、「正常」との結果に驚いた。麻酔科医も「呼吸機能が正常なので、大丈夫でしょう。」といってくれた。おかげで心配された喘息発作もなく、私は無事に手術を終え、退院した。
術後10日ぶりにカーブスをおとずれ、計測したときのこと。結果は「運動不足型」だった。いつもは「標準」なのに。一週間の入院生活とはいえ、寝ていることが多かった生活では筋肉はすぐおとろえてしまうのだ。道理で階段が辛いはず。妙に納得して、私はカーブスの効果に驚いた。カーブスのワークアウトは知らず知らずに私の心配機能をたかめ、筋肉をつけてくれていたのだ。30分の効果はしっかりあったのだ。
それからの私は以前より熱心にワークアウトに通った。今まで、子供たちや仕事のことに精一杯で自分に目を向ける余裕がなかったが、もっと自分を大切にしようと思うようになった。運動嫌いの私がジョギングをはじめ、いつかマラソン大会に出ることが私の目標になった。もちろん、何キロも走ったり、毎日続けることは難しいけど。今年は二キロ走れるようになりたいと思っている。からだ年齢も若返り、これをキープしたい。
子供たちが「お母さん若いね」といってくれる。長男は最近、「お世辞だよ」の一言がつくようになったが、いつまでもそういってもらえるように、頑張りたいと思っている。