80歳になった。まさかこの年まで元気に生きられると思わなかった。父も母も兄も70代から様々な病気に罹り、入退院を繰り返し老いていったからだ。
 『年齢を重ねることは老化が進むこと』で肉体も精神も劣えることだと思っていたから、「年は取りたくない」と思っていた。退職後、私もあちこちが悪くなり、肺癌まで通告されて手術・静養を余儀なくされた。しかもそれがコロナウイルスの感染拡大で外出を規制される時と重なった。人との交流が途絶え、すっかり気力も低下していた。これではいけないと思いつつ、閉塞感を打破できずにいた。
 
 そんな時、2020年9月。友達に誘われカーブスに入会した。たった30分間の運動だったが気分転換にはなった。週2回程度通ったが、お喋りもできず知らない人ばかりでなかなかなじめずにいた。でも帰る時には爽快な気分を毎回味わえたのだ。来るまでは億劫で仕方ない気持ちでいるのに、筋トレの2周目頃になると『来てよかった』と思えるのであった。家に籠っていたらこんな気分にはなれない。夕方1人のウォーキングでは味わえない心地よさだった。
 何がこういう気持ちにさせるのか考えた。いわゆる筋トレの効果か?12種類のマシーンでそれぞれの部分が万遍なく鍛えられるからか?コーチの何気ない声かけの効果か?いずれにしても行くまでは億劫で仕方ない気持ちが一掃され、帰宅までの車中では、前向きな気持ちになっているのである。
 通う回数も増え、その日その時出会う仲間は違っても筋トレに励む姿から何らかの刺激を受けた気がする。いつの間にか意識が変わっていったのだった。
 月一回の計測も初めと比べると微妙に良くなってきた。体重減、筋肉量アップなどもあり、体が軽くなった気がした。頂いたTシャツの着用にも抵抗があったのに、500回を示す紫のTシャツをいただく頃になると愛用するようになったのだ。また顔馴染みの友もでき、お喋りするようにもなった。

 そのうちにいわゆる『成果』に気付くようになった。市役所に行った時、以前は階段よりスロープを使ったり、エレベーターに直ぐ乗ってしまった私が、階段を登ってみようと歩いてみたのである。いつの間にか歩くことが苦でなくなっていたのである。しかもコロナウイルスの拡大以前、何回か転んだ苦い思い出があったのに、『転ばなくなった』のである。
 体の変化は心まで変えていた。心が前向きに変わっていたのだ。カーブスで筋トレ中、様々な掲示を見るが、その中の文言に私を勇気づけたものがいくつかある。それを思い出してみると①『体が変われば心が変わる。心が変われば毎日が変わる。毎日が変われば人生が変わる』、②『明日のあなたはもっと輝く』、③『なりたい自分をイメージしてチャレンジする』などである。そんな文言も素直に受け入れられるのだ。
 70代も後半になり、明日の私が今より輝くなんて思わなかった。入会時の私は『現状維持できれば最高』と思っていたのに、80歳になった私が『これから夢を叶えるぞ』と思うのだ。『余生なんて思わない。人生まだまだ、私の人生はこれからだ。やりたいことがあるじゃないか』『老いてこそスマホ、スマホを使いこなし、生活を楽しもう』と思うのだ。
 こんな気持ちにさせてくれる『カーブス』。毎日通いたい気分。コーチの元気な声に出迎えられ、マシーンを操作。段々体が温まり元気が漲ってくる。笑顔もでる。心も浄化されて満足する。こんな日々がずっと続いたら私は百歳まで生きられる。

 『食』と『運動』『交流』を心がけ、目指すは「社会貢献」である。そんな夢を持ち続け『カーブス』に通いたい。