長年勤めた会社を退職したのは二年前。そこから私の生活は一変した。勤務時間の八時間と往復の通勤時間二時間、計十時間が、全て専業主婦としてフリータイムとなった。
とてもゆったりと楽しい時間を過ごせることで、うれしくてうれしくて、それまでの重くのしかかってくるような疲れを癒やす意味でも、良い時間を過ごす事ができた。
もともとお料理を作るのが好きだったので、時間をかけて、朝から夕食の準備をした。ただそれまで仕事帰りに買物をしていたものが,買物の為だけに外出する事になった。
あれこれと買い物が多くなり、手で持つには重たくなりすぎ、高齢の方が良く利用している、買物カートを購入した。作る品数もどんどん増え、どう見てもカロリーオーバーだなと気が付くようになった。
働いていた時は、バス、電車、エスカレーターをフル活用しても、最低五千歩はいっていた歩数計が、寂しい数字を表わすようになった。日中はほとんど横になりながら、外国ドラマを見たり、スマホでゲームを楽しむようになった。
専業主婦になったのだからこういう生活で良いのだと、自分に言い聞かせながらも、どんどん増えていく体重と、たるんでいく体、一日数百歩しかいかない歩数計をながめ、本当にこれで良いのかと、頭のかたすみをよぎっていくものがあった。
そんな生活が一年近く続いたある日、スマホのPR欄にカーブスの無料体験が出てきた。それまでも町中でカーブスの教室の看板等はよく目にしていた。「女性だけの」といううたい文句が思い出された。
ダイエット目的にエステサロン等には若い頃よく通った。最高二十キロ位減量できても、すぐにリバウンドしていた。今までマシンを利用したものの経験は全くなかった。どのような事をするのだろうかと興味がわいてきた。
無料なら、どんなものか見学を兼ね行ってみようかなあと、軽い気持ちでインターネットで申し込みをした。折り返しで教室より何度か電話をいただいたが私はそれに出る事ができなかった。
実姉が足の静脈瘤が原因で突然倒れ、病院に運ばれたのだ。コロナ禍であったため病院へ入る事もできず、退院に合わせ帰省した。それまで老いを感じることもなかった訳ではない。白髪が増え、目のまわりがたるみ、歩くのが億劫になってきた。
姉の話を聞き、健康とは何か ?と自問自答してみた。働いていた時のストレスから解放され、心は健康を取り戻していたと、実感していた。体はどうか?年に一度の人間ドックを受ける事で、何となく満足していた。良くも悪くも私の体。だれからも文句は言わせない。というような気持ちで受けていた。はたして、そうなのか。
東京に帰り、さっそくカーブスを訪れた。店長さんより、色々説明を受けた。もっともだという話をうかがった。分かっているけれど、それはそれという感じだった。すでに教室では大勢の方が運動していた。私のように太った体型の人はほとんどいなかった。みんなやせている人なんだなあと思いながらマシンを体験してみた。
一つ一つのマシンを丁寧に教えていただき、汗びっしょりとなった。なんとなく久々の感覚だった。学生時代、陸上、バレーボール、水泳等をしていたので、それを思い出し、スッキリとした。結局、その日のうちにすぐに入会を決めた。単純に気持ちが良かった。
正式に入会して一年、可能な限り通うようにしている。体型はあまり変わりないけれど生活にメリハリができた。どんなにダラダラしていても、カーブスに行くとなれば、タオルやお水を準備して、外出するぞという気持ちになる。
教室に行けば生徒さん達との楽しい会話に花が咲く。コーチ達の明るいあいさつ。私も大きな声であいさつを返す。三十分がむしゃらに体を動かす。すっきりとする。教室を出て買い物をする。タンパク質を考えながら献立を決め楽しく料理を作る。一年前とは大違いだ。
規則正しい生活をし、カーブスに通い体を動かす事を楽しむ。汗をたくさんかき、おいしいご飯を食べる。あいた時間には外国ドラマを見たり、ゲームをする。バランスが良く取れてきたと実感している。
軽い気持ちでインターネットで申し込みをしたカーブス、その時ポチッとできた事で、生活が大きく変わった。今は毎日の生活にメリハリができた。まずは経験してみるという事の大切さ、カーブスに入会して実感した。ほんの少しの勇気を出して大きく人生は変えられる。