「血管年齢を調べてみませんか?」という声に足を止めたのは二〇二一年九月のことでした。普段の私なら素通りしてしまう場面ですが、その日の私は何故か通り過ぎてはいけないという思いが強く湧き上がってきて立ち止まったのです。
今にして思えば、それは私の人生を大きく変える程の「運命の分岐点」だったと思います。
その時の私は五十九歳の誕生日を迎えて間もなくでした。還暦前だというのに体はヨボヨボ。ゆっくり歩くのも辛く、階段は手すりにしがみ付いてやっとの思いで上り降りする状態でした。長年続く体の痛み、特に股関節の痛みは年を重ねる毎に酷くなり、右足を引きずりながら歩く生活をしていました。
「杖を買おう。」と真剣に考えていたところだったのです。
そもそも何故こんな状態になってしまったのか。その原因は二十代の頃に遡ります。
まず一つは仕事。当時、重い荷物を運ぶのが頻繁にある仕事をしていました。重い物は二人で運ぶという規則があったものの、忙しくて誰もそんな決まりを守っておらず、私も重い荷物を一人で運ぶのが当たり前になっていました。あっという間に慢性的な腰痛持ちになってしまいましたが、周囲の人達もみんなそうだったので気にせず放置してしまいました。
もう一つはダンス。当時ヒットしたダンス映画に感化されて仕事帰りにダンス教室に通っていました。踊る事はとても楽しくて何よりもダンスを優先する生活でした。しかし熱中し過ぎて体も酷使してしまい、首・股関節・ヒザを痛めてしまいました。常に体が痛い状態でしたが、踊る楽しさの方が勝ってしまい、これも放置してしまいました。
仕事にダンスにと充実した日々を送っているつもりの生活は五年間程でした。
無理がたたり、痛みに耐えられなくなった二十代後半。病院で診てもらうと「事故にでもあったの?」と言われてしまいました。自分では真っ直ぐに立っているつもりでしたが、「立ち姿がぐにゃぐにゃ」とのこと。背骨が歪み骨盤が歪み、頚椎や腰椎の一部の椎間板が狭くなっていました。不幸中の幸いで、手術の必要は無くリハビリ(牽引とマッサージ)で様子見することになりました。
ダンスを辞め、仕事を変え、無理をしないことを心掛けましたが完全に痛みから解放されることはありませんでした。少し良くなったと思ってもすぐに痛みがぶり返します。
病院を変えたり、整体・カイロプラティック・マッサージ・腰痛ベルト・骨盤体操などなど...。痛みを柔らげたい一心で様々なものを試しましたが効果は一時的だったりサッパリだったり。
そんな生活を三十年も送ってきました。もはやヨボヨボ状態が通常となり諦めの気持ちで生活をする毎日。
そんな時にカーブスのコーチの声が天啓の様に心に響いたのです。
血管年齢を調べていだだきつつ、体の痛みに悩んでいる事をお話しすると、コーチは真剣に耳を傾けて聞いて下さり、筋肉の重要性について教えてくれました。
「そうだ!今大切なことを思い出した。」と心の中で叫びました。最初に行った病院で「自分の筋肉で骨を支えていくしかない。」と言われていたのです。
体調の良い時に自分なりに筋トレをしてみたりもしましたが、すぐに痛みが酷くなってしまうので、すっかりイヤになり止めてしまったのです。そんな経緯があった事も忘れていました。
改めて筋肉の大切さについてコーチから説明を受けながら自分の中で気持ちが固まってくのを感じました。
「今が筋肉を鍛える最後のチャンス」
「今、始めなければもう出来なくなる」
決心がついたのなら善は急げ。早速、体験の予約を取って行ってみました。体力テストでは何一つできない現実に打ちのめされましたが、だからこそやらねば!と決意を新たに入会しました。
始めのうちは、マシンは超ゆっくり。ボードは足踏みすらできないので腕を振るだけ。それでも私にとってはキツイ運動です。とにかく体を痛めないことを最優先にマイペースで取り組みました。
そんな「ゆるトレ」でも三ヶ月が過ぎた頃にはハッキリと体に変化が現れました。
いつの間にか歩く時の股関節痛が軽くなり階段の上り降りも楽になっていました。こんなに早く成果が実感できるとは思いもよらず、自分でもビックリです。
さらに入会六ヶ月目に入るとマシンを速く動かすことを意識したりボードで足踏みができる様になりました。元々体を動かすことが好きな性質なので嬉しくなって「もっと頑張ろう!」と気合いが入りました。
そんなある日、突然の腰痛に襲われました。ちょっといい気になって頑張りすぎました。すぐに病院で診てもらった所、骨には特に問題なし、痛みが無くなるまでリハビリに通う様に!との診断でした。
コーチにその事をお話しすると「おさらい」をすることを提案されました。初回と同じ様にマンツーマンで指導してもらえるのです。早速お願いすると、私には反り腰になるクセがある事がよく解りました。正しい姿勢を意識して慎重にトレーニングをすると驚くほど早く腰の痛みは治っていきました。病院
のリハビリ室で腰を揉まれるより治りが早いと感じました。
それ以降、正しい姿勢と無理をしない事を心掛けてトレーニングに励み、気付けば入会から一年半が過ぎました。
今では歩いてもどこも痛くないし、階段も気軽に上れます。お腹周りもサイズダウンして、気持ちも明るくなりました。入会前とは別人になった様な気がします。
一年半前のあの日。
コーチの声に立ち止まるか立ち去るか...。その分岐点でもし立ち去る道を選んでいたら今の自分はどうなっていただろうかとふと考える時があります。たぶん杖をついてヨロヨロと歩くことになっていたでしょう。
あの時、ちゃんと立ち止まって話を聞き、カーブスに入会できたことで自分の人生は大きく変わったと思います。良い判断をしてくれたあの日の自分に感謝。
そしていつも明るく元気なコーチのみなさんに出会えたことに感謝です。