私は58歳までフルタイムで勤めていました。朝8:00に家を出て帰宅は夜の8:00という生活でしたので、家事をするのが目一杯で、趣味などとても出来る状況ではありませんでした。主人が定年になったのを機に元気なうちにセカンドライフを楽しみたいという気持ちが湧き上がって、私も仕事をやめました。

 子供の頃から絵を描くのが好きだったので、絵手紙と水彩画教室に通い、パソコン、ボウリング、カラオケ、コーラス、蕎麦打ち、海外旅行と本当に充実した日々を送ることができました。

 主人が生死を彷徨うような大きな病気をした時期もありましたが、今は元気に町内会の仕事や麻雀を楽しんでいます。埼玉県春日部市の家の前は江戸川の土手で、春には一面黄色の絨毯を敷き詰めた様に菜の花が咲きます。川向うは千葉県で美しい日の出や満月、筑波山も一望できます。毎日沢山の方が土手の上を、ウォーキングやランニングをしていますが、私ときたら今日は「寒いから」「暑いから」「風が強いから」「雨が降っているから」などと歩かない理由をつけてはさぼりがちでした。

 そんな時に友人からカーブスを勧められて入会したのが、2015年9月の67歳の時です。カーブスなら天候に左右されずに筋トレと有酸素運動が出来ると思い、週3から4日、午前中は習い事、午後はカーブスに行くという生活スタイルが出来ました。名字で呼ばれる生活をして来た私にとって、皆さんの名前を覚えて気持ち良く声掛けしてくださるコーチが新鮮でした。それまでは年に2回位風邪をひいていた私は薬のアレルギーがあり、ただ寝ているだけで苦しんでいましたが、カーブスに入会してからは、免疫力がついたのか風邪をひかなくなりました。

 比較的平穏に送ってきた私の人生に、思いもよらぬ事が起きたのは、令和を迎えた2019年9月7日の事でした。東京で一人暮らしをしていた長女が卵巣がん手術の2日後、血栓が心臓冠動脈に飛んで、心肺停止状態になり、蘇生できましたが低酸素脳症という大きな後遺症が残ってしまいました。それからは主人と交代で、毎日片道1時間半をかけて病院に行く日々が始まりました。あんなに明るかった娘が目を開けるだけで、何も出来なくなってしまった姿を、ただ見守っているだけの日々はとても辛いものでした。

 趣味の教室を全て辞めて、精神的にも肉体的にも落ち込んで行きました。そんな中でもカーブスだけを辞めなかったのは、健康の大切さを身にしみて感じていた主人が、週1回でもカーブスに行って体力を維持した方が良いと勧めてくれたからです。車で15分程の千葉県ウニクス野田店に行っているので、知人も少なく、マシンを動かしている間は、辛い事を忘れて無心になることが出来ました。友人が心配してくださって「娘さんの具合はどうですか?」と、聞かれる事も多く、元に戻る見込みの無い患者を抱えている家族にとっては、その度辛い思いをしていました。コーチが私の身体と心の変化に気付きつつも、そっとしておいて下さったので、カーブスでは心がやすらぎました。

 2020年になり、近くの病院に転院して間もなく、ダイヤモンドプリンセス号からコロナ感染者が確認されました。その後パンデミック宣言で、病院の面会が出来ず、カーブスに行ける機会もめっきり減ってしまいました、その頃は不眠症になり、食欲も落ち、お化粧もせず、ヘアカラーもしなくなり、何もする気力がありませんでした。70歳を過ぎて運動をしないで急激に痩せたので、膨らんだ風船がしぼんだように、顔や首筋がしわだらけになり、急に老けこんでしまいました。こんな私の姿を娘は望んでいないはずだと思い直して、悩んでも解決できないことはあまり考えない、くよくよしない、落ち込まない、何とかなるの精神で闘病生活に付き合って行こうと決心しました。

 あまり面会が出来なかったことが心残りですが、一生懸命に生きた娘が、2022年2月27日に47歳で力尽きて亡くなりました。コロナ禍でもあり、家族葬でひっそりと送ってあげるつもりでいましたが、友人がフェイスブックに娘が亡くなった事を載せてくれたのをきっかけに、闘病生活の2年半の間会えなかったので、最後のお別れがしたいとお通夜と葬儀に50人以上駆けつけて下さいました。

 賑やかなことが大好きだったので、沢山の友人とお別れが出来て旅立てたことに感謝しています。

 時が癒してくれる事を関西では「日にち薬」と言うそうですが、日時が薬となってどんな悲しみも治してくれます。

 今は趣味も復活して楽しくカーブスにも通っています。食欲も戻り甘いものが大好きな私ですので、体重が少し戻ってしまいましたが、肌の張りも戻り、パンツとスカートのウエストは詰めたサイズのままで大丈夫。友人やメンバーさんに、カッコいいネと言われることが多くなりました。娘が残していった洋服も、楽しんで着ています。

 2022年11月に「金婚式の記念旅行にでも使って」と、息子夫婦から頂いていた祝金で、3月に延期していた沖縄八重山4島めぐりツアーに行って来ました。旅行が大好きだった娘のスーツケースを持って、疲れる事もなく久し振りの楽しい時間を過ごすことができました。幾つになっても旅行が続けられるように、これからも楽しく筋トレに励みたいと思います。医者から「運動していますか?」と聞かれると胸をはって「週3回はカーブスに行っています。」と答えています。多少腰など痛い所もありますが、健康的に身体を維持して、元気な後期高齢者になれるように、カーブスを続けて行きます。