「チェンジ・ザ・ステイション・ナウ」
 自動ドアが開くと、このアナウンスが聞こえてくる。「さあ、行くか!」と心に気合いがはいり、お店の入り口を入って行く。
 
 四年前、腰椎内の神経にからみついた良性腫瘍を摘出する、十一時間に及ぶ手術を経験した。
三年前、脳内聴神経にできた良性腫瘍の放射線治療をした。
その後、一年の間に、三回のふん瘤摘出手術をした。
「ねあか」の私もかなり落ち込み、六十才を過ぎて、とりあえず、男として、夫として、父としての努めに一段落を得たのだから、「七十才くらいまで生きれれば良しとするか。」などと、夢のないさびしい思いで毎日を過ごしていた。
 
 そんな時、「メンズカーブス」が都内で初めてできること、またそのお店が自分の地元にできることを、妻が知らせてくれ、入会に向けて背中を押してくれた。
 
 正直、女性の、それも年配の方々が中心のジムであることはうすうす知っていたので、甘く見ていたし、あの程度の運動でどれほどの効果があるのか、はなはだ疑問にも思っていた。
 
 しかし、いざ体験でマシンを動かしてみると、これがなかなかしんどい。四種のマシンをこなしたあとは、ストレッチ。コーチの方の指導に基づいてキッチリやると、これもまたまたかなりしんどい。こんな程度の体力が今の自分の現状であること知り、愕然とする中で、十二のマシンを三十分で2周するのかと思うと、「これはかなりすごい!なめていた」と思わざるを得なかった。と同時に、自分の残された人生に、一筋の光明を見い出したような「これに賭けてみよう!」という気持が沸き上がってきた。
 
 二〇二二年、十月十一日の本開店以降、よっぽどの用事(ほぼ飲み会であったが)がない限り、ほぼ毎日通いつめ、二〇二三年、二月以降は皆勤を続けている。

 最初は、運動と腹圧のバランスをとるのが難しく、うまくできないことが多かったが、コーチの方々の思いやりのある指導の甲斐あって、徐々にタイミングがつかめるようになってきた。当初の2ヶ月は、なかなか落ちなかった体重も、ここにきて、3~4キロ程落ち七十キロを割り込むのも、時間の問題だろう。
 
 体力の面では、常に心拍数を高くキープすることができるようになり、余力を持って対応することができるようにもなった。
 
 今は「カーブス」に通うことが、楽しくてうれしくてしかたがない。
ここでふと考えた。
今の自分のこの幸せは、何によってもたらされたのか?と。
 一、私の背中を押してくれた妻がいた事。
 一、私のようなものでも、親切に丁寧に指導をしてくれ、成果を共に喜んでくれるコーチの皆様がいた事。
 一、メンバーの方々と少しずつではあるが会話ができるようになり、共に励ましあいながら、トレーニングできる事。
 
 これらのことが、生きていくことにどれだけ大切なことかを心より実感している。
そして、今ある自分は、自分以外のすべての良好な環境の中で育まれていること。と同時に感謝と「おかげさま」の気持を決して忘れることなく、残り少ない大切な人生を、心ゆくまで楽しみたいと願っている。
 
 今、私は百歳の現役メンバーを目指している。今後、私人生においてどれだけの試練が待っていようとも、決してくじけることなく前を向いて生きていくつもりだ。
「ありがとう!カーブス」