朝起きて着替えをすませると、真冬でも家の窓を開けて朝の光と風を入れる。
玄関は開けっ放して、お風呂の水を洗濯機に入れ、残り湯はバケツで運んで、トイレと庭の草花にかける。風呂水の節約である。
カーブスに行く前の二年半は、俗に五十肩というのか、両肩から腕の痛みで寝起きや着替えなどがなかなかできず、一人暮らしで痛みに苦労してきた。
主婦はまめに動くのが一番だと、健康であることを過信し過すぎて、がむしゃらに働いてきただけに、思い掛けない病で、必死にリハビリに通いながら、あのときは、手が思うように動かない不自由さをいやというほど味わってきた。
いまは、こうして重いものでも持てるようになり、カーブスに通い始めてから九ヶ月、痛みが戻らないように、現在の生活が持続できることを願い、老いの身を労わりながら、カーブスに通い頑張っている毎日である。
なんといっても、本来の自分の生活にもどれたことがうれしく有難い。
夫が亡くなって、今年の夏で四年になる。
一人暮らしになって、夫の「早く、めし!」の催促も無いことをいいことに、私の食生活はいい加減になり、
夫が生きているときは、夫が便秘がちだったので、毎朝、ゴーヤやバナナ等、季節の野菜と牛乳を入れてジュースを作り、栄養にも気を付けていたが、一人暮らしになって三食きちんと食べることもせず、あり合わせですませることが多くなった。
ある日、足がスカスカしてきてびっくりした。栄養失調? 腕が痛いのに足まで歩けなくなったらどうしようかと、不安になった。
毎日、五千歩から一万歩歩くことにしたが、カーブスに通っている娘が「歩くよりカーブスに行くといいよ」と、勧めてくれた。
「でも、腕が痛くては......、いまさら運動なんて、億劫だし」と、躊躇した。
娘は私が動けなくなっては困るので、何度もカーブスに行くことを勧めた。
腕は痛くても雨の日も風の日も一日も休まず、半年間、歩き続けていたら一キロやせた。
だが、ポッコリお腹がへこんだわけではなく、肩の筋肉が落ちたような気がした。
歩いてさえいれば、と、思っていたが、歩くだけではバランスの取れた体は保てないと感じた。
その頃、奇跡だ! 腕の痛みが消えたのである。
歩いていればいいわけではないと、自分でも、何か運動したほうがいいと自覚した。
近くにスポーツクラブがあるが、私にはちょっときつい運動をしているように見えた。
カーブスに行くには少し遠いので、徒歩で行けないので迷いもあったが
「お母さん、車に乗れるんだから、絶対カーブスがいい」と、娘の強い勧めもあり、娘の通っているのは違う町であったが、いま、私が通っているカーブスを紹介してくれた。
長年通っていて年を取った方はいるが、この年齢で(八十三歳)で入会なんて気が引けた。教室をのぞくと、私のようなおばあさんは見当たらない。それでも勇気を出して、マシンに挑戦してみた。
コーチの方は、とても親切でしばらくは体験のような形で、付き添って教えてくれた。
娘が心配して「どう、やっていける」などと、電話をよこした。
元気で長生きしたい思いで、健康第一を考えると、これしかないと納得して、カーブスを続ける覚悟ができた。
次々とマシンを移動していくので、三秒間の勝負だなぁと、思いながら、もたもたしていては次の方に迷惑が掛かるので、集中して動作をしなければならない。
運動に集中することで、他人のことをあれこれ詮索する余裕なんてない。
集団の中で趣味でもスポーツでもそうだが、人間関係で悩みを持つことがあるが、そうしたことを感じさせない、運動のみに集中できる、いい雰囲気、コーチの対応の良さが気にいった。
特に年寄りと言う意識もなく運動ができるのも有難かった。
男性がいないので変な緊張感をしなくてすむので、女性だけというのが魅力であった。
自由な時間にいつでもできることは、本当に有難い。無駄なおしゃべりをしない。終わったらさっさと帰る。この習慣はとてもいい。
行き帰りコーチの方が名前で声を掛けて下さるのも"明日も来るぞ!"と、元気がでる。
「この年で入会する人ってある」って聞いたら「八十八歳の方が入会しました」と、教えてくれたので、お仲間があって安心できた。
娘に毎日行かなくてもいいのにといわれるが、カーブスに行くことが、いまは生活の一部になってしまった。
家事が済むと、午前中にカーブスに足が向くので、いままで一週間に五~六日も通っている。
慣れてもきたし、年寄りがあまり張り切ってもと思い、これからは三~四日にしようかなと考えている。
毎月の計測の時「腰回りが三センチちぢんだ」なんて、いってくれたので「ええぇ」なんて、びっくりしたが、確かに体が引き締まってきた感じがする。
体重が目に見えて減るまでにはいかないが、コーチの指導で「お腹に力を入れて」と、お腹を押さえてもらったりしているが、ポッコリお腹のお肉を取って、もう少し体重を減らしたい。
筋肉を動かすので、蛋白質をたくさん取るように、栄養のことを重視してくれているので、一人暮らしでもバランスの良い食生活をするように、この頃では自分のための料理作りまで楽しんでいる。
これも、カーブスに行っているお陰だと、教室の壁に掛けてある料理のメニューを見ながら、料理作りの参考にしている。
朝食にたくさん蛋白質を取るようにしているので、朝からサバの竜田揚げなどを食べて、サバのげっぷが出たりする。甘いお菓子や間食はほとんどしないで、朝しっかり食べて、夜は早めに夕食を食べ量は控えめにしている。
食生活をきちんとすることの大切さをカーブスに通っていることで自覚できるようになり、一日十二点蛋白質を取るように心掛け、カロリーオーバーにならないために、牛乳が好きなので、低脂肪牛乳に変えた。
私は背が低いのに、年を取ると背がどんどんちぢまっていくので、貧相にならないように背筋を伸ばし、自分の姿勢を意識して、道を歩くときも白線の上を真っすぐに歩くように気を付けている。
マシンで運動しているときも姿勢にはとても気を遣う。
この頃、コーチから「姿勢がいいね」と、よく褒められる。褒められることがうれしく、それが励みになっている。
私は八十歳になってから糖尿病になり、糖尿病がすべての病気に関連しているだけに、カーブスに通いながら、血糖値を下げるのが今後の目標である。
これからもカーブスで心身共に育みながら、日々、健康で穏やかに過ごしていきたい。
カーブスは健康で長生きするための、私にとって一番大切な居場所になった。
入賞
「勇気をだして挑戦」
カーブスって
どんな運動?
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