私は昨年から恩返し運動を行っている。
私ももう還暦を過ぎた。人間は長く生きても120歳までというから、人生の折り返し地点を少し過ぎた所に居る計算になる。だから、もう半分の人生で少しずつ私のできる恩返しをしていこうと決めた。
まずは、所属している医療系団体が発行している冊子への投稿を始めた。この冊子は所属専門家集団に対して意見を述べたり情報提供したりするもので、この冊子に投稿するからには、様々な講演会を聴講したり調べ上げたりしないといけず、骨の折れる作業である。私は苦労して書いた文章を大学時代の友人達へ送っている。友人達は毎日多忙で、疲弊し、講演会を聴く時間もないから、私の文章が少しでも役立つよう願ってのことである。
次に、恩師も含めて高校の同級生達とZOOMでミニ同窓会を開催した。少し前から興味を持って調べていた病気の話をし、ラジオ体操、オリジナル音楽クイズ、楽器演奏と盛りだくさんなプログラムを考え、恩師にも同級生にも充分楽しんでいただけたようである。
私は60歳になるまで絵も文章もほとんど書いたことがない。私の文章はわかりにくいと言われることもあり、落ち込むこともしばしばある。それでもなんとか続いているのは、カーブスのHコーチの言葉があったからである。Hコーチは「自慢していいのよ。」と言われた。
私達の世代は嬉しいことがあっても、ひけらかしてはいけない、自慢してはいけないと言われ続けてきた世代である。だから何か思うことがあっても言葉を飲み込んで大人しくしていないといけなかった。でも時代は変わった。カーブスがその一端を担ってきたと感じている。カーブスに行くとコーチだけでなく名前の知らないみんなが声をかけてくれて、お互い自分の自慢をしあい笑ったり泣いたりで忙しい。カーブスのお陰で大人しくしていた私も徐々に自分を出せるようになった。私は大人しい私からアクティブな私へと大変身を遂げた。
しかし悲しいかな、この大変身を遂げた私に戸惑い距離を置こうとする友人がいるとも感じている。でも、Sコーチはいつも変わらず「ここは茂子さんの居場所です。」と言ってくださる。カーブスはいつでもどんな時でもどんな私でも受け入れてくれる。
人を楽しませようとする時、まず自分が楽しまないと人を楽しませることなどできない。そして自分が楽しいと感じる健康な心には健康な体が必要。恩返し運動を続けるためにも、健康な心と健康な体を保ち続けるためにも、私は一生カーブスを続ける。私は一生カーブスと共にある。
佳作
「カーブスと共に」
カーブスって
どんな運動?
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