「ゆうこさん、プラチナカードです」今年の1月にカーブスに行った時のこと。コーチが渡してくれた。(もう10年が過ぎたのか...)何とも言えない気持ちになる。
私は飽きやすい性格ではない。別に自慢ではない。意欲(特に運動)があまりないからだ。小さい頃から体を動かすことが苦手。学校の体育の時間は嫌でたまらず、やる気のなさは先生や周りの人達にも気づかれていたと思う。せめて、がんばる姿でも見せていれば良かったのに。体育の授業、運動会、球技大会、スキー教室など一度も楽しいことはなかった。一生、運動とは縁がないと考えていた。
今から10年程前に退職してからは、体調がすぐれない日が多くなる。病院受診といった深刻なレベルではないようであったが、ただ体が重く、肩こりがあり動作も鈍くなっていた。何か運動をしたほうがよいのではとカーブスに入会する。
初めてカーブスに行った日は驚いた。イメージしていたのは学生時代の体育の授業である。(全然違う!)まず雰囲気が良かった。コーチからは指導するという意識は強く感じられない。メンバーも初心者を冷ややかに見ることはなく、それぞれのペースで楽しそうであった。ここは優劣をつけたり、競争する場ではないらしい。通い方も時間内であれば自由で融通がきいて便利だ。私は指示されたり決められたことをするのが不得手である。コーチがメンバーを一人ひとり名前で呼ぶことも好感が持てた。人格を尊重していると感じたのである。これなら無理なく私でも通えるかもしれない。
だからといって、60年近くも運動嫌いの私が急に変わるはずもない。とりあえず、週1回を目標にする。義母や実母の介護に続き、兄の闘病を支えた後に3人を見送ったのが一昨年。少し回数を増やしていたのに、コロナが流行してきた。昨年の3月である。カーブスも休会となり、もの足りない日々が続いた。熱心ではなかったが何年も通ううちに、カーブスが生活の一部になっていたと気づく。このまま退会してしまうかもしれない。そう思い始めた時に、ふとカーブスで聞いた言葉が浮かんできた。
「運動すれば身体が変わる、身体が変われば心が変わる、心が変われば人生が変わる」だったと思う。運動は人生につながっている。特別なことではない。歩く、食べる、寝ると同じように人生そのものではないのか(勝手な解釈かもしれないが)。何か運動を家でしよう。三度の歯みがきの後に、かかと落としと片足立ちをすることにした。そのうちにやめられなくなった。カーブスが再開した今でも続けている。カーブスと同じく生活の一部になってきたようだ。
時々家でプラチナカードをながめている。私の70年の人生で初めてのたった一つの、運動をがんばったで賞。やはり嬉しかった。これで今後10年は続けられるような気がする。
佳作
「プラチナカードをもらって」
カーブスって
どんな運動?
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