おうちでカーブスを始めて、早1年になります
カーブスに入会したのは、7年ほど前のことです。「このところ、体が重くなってきてどうにかならないかしら」とつぶやいていた時、里帰りしていた娘が、カーブスという30分だけの手軽なジムがあるので、行ってみたらとすすめてくれました。
新しいことを始めるのも、ジムというのも、少し抵抗がありましたが、30分くらいならと、軽い気持ちで体験会に行ってみました。お試しにやってみたところコーチの丁寧な指導のもと、無理なく続けられそうだと思ったので即入会しました。いつでも好きな時間に行けばいいということも、入会を後押ししてくれました。不定期ながら仕事をもっていたので、決まった時間に行かなければいけないのであれば無理でした。でも、カーブスは、自分の都合のいい時に行けばいいし、月に何回という制約もないというので、実にありがたいことでした。
それ以来、週2、3回のペースで楽しく通い続け、生活の一部になっていました。ただし頑張っている割には、結果はでず、体重の変化もなかったですが、現状維持できるのがいいのだとコーチに慰められ、運動をしないよりはした方がいいかと思って続けていました。
ところが昨年、世界中に新型コロナウイルスが爆発的に広がるという、思ってもいない大変な事態が発生しました。日本中に緊急事態宣言が出て、突然学校は休校、お勤めの人も、リモートワークに切り替えて、できるだけ出勤せず家で仕事をするようにということになりました。人と接することが一番危険なので、みんな自粛して家から出ないようにし、外出のときは必ずマスクをするという異様な生活が始まりました。
もちろんカーブスもお休みになりました。その後、緊急事態宣言が解除されると、カーブスは再開されましたが、私が参加することに一番反対したのは、連れ合いです。不整脈で心臓の手術を2回している夫は、私が外からコロナを持ち込むことをおそれたのです。都会では、ジムでクラスターが発生したという報道もある中、家族の反対を押し切ってまで続けようとは思いませんでした。コーチにその旨をつたえたところ、家で続けられる方法があると教えてくださり、「おうちでカーブス」が始まりました。
家でするのですから、運動途中で誰かが部屋に入ってくることがあるし、はじめのうちは家族のみんなが何をしているのかと、好奇の目で見ていましたが、そのうちに慣れてきて、それぞれ自由にふるまうようになってきました。
「おうちでカーブス」というのは、如何せんタブレットを使って行うので、電波の不具合で、画像が止まったり、音が聞こえなかったりとうまくいかないことも多々あり、十分な運動ができない日もありました。けれども、そのたびにコーチからの丁寧なフォローがあり、なんとか続けています。たんに動画を見ながら運動するのではなく、コーチが画面を通して見ていて、「腹圧いれて」とか「肩の力をぬいて」と適切な声かけしてくださるおかげで、自分ではいい加減になるところを指摘してもらえて、楽しく続けられています。日によっては、私一人で指導を受けることもあり、申し訳ない気がしていますが、とてもありがたいシステムです。
相変わらず体重は減らず、どうしてかと思う日々ですが、月に1回計測には行くようにしていて、現状維持がキープできていればよしとすることにしています。
ところが、つい最近大変うれしい、まさかと思うことが起こりました。それは、後期高齢者になった私が、テニスを再開することになったことです。これは私にとって思いもかけないできごとでした。もうかれこれ15年前、準備体操をいい加減なまま試合をしたので、てきめん足を痛めてしまいました。それを機にやめたテニスです。テレビで日本人選手の活躍を観戦するだけで、再び自分がラケットをにぎることなど考えてもいませんでした。
きっかけは、その1週間ほど前、ご近所の友だちとおしゃべりをしていて
「コロナでどこへも行けないけれど、あなたはテニスができるからいいな。テニスなら密にならないし」と軽い気持ちで言ったのです。この友人はテニスのコーチをしている人だったので、それなら一度やってみたらと、ラケット持参で誘ってくれました。いきなりコートに出るのは無理なので、住宅団地の中の車がほとんど来ない道路で、軽くラリーに付き合ってくれました。はたして、様になるかしらと思いつつでしたが、彼女のリードがうまいのでテニスラケットに球が当たった時の爽快な感触、楽しさが蘇ってきました。1時間足らずのお遊びでしたが、外で体を動かす爽快さは、やはり格別のものだとあらためて思いました。
すっかり満足してもう終わりにしようとしていた時、団地でテニスサークルをつくって世話役をしている人が、私たちを見つけてやってきて、自分たちのテニス仲間にならないかとお誘いくださったのです。びっくりしました。今日はただのお遊びで、もう15年以上もテニスをしていないし、第一この年でお邪魔になるだけだからと辞退しました。でもいろんな年齢の人がいて、初心者もいるし、バンバン試合をするような会ではないので、気軽に来ればいいと熱心にすすめてくださいました。そこで無謀だと思いましたが、思い切って仲間入りさせてもらうことにしました。
うちに帰って、ちょっと興奮気味に家族に報告したところ、みんなあきれ顔で「怪我だけはするな!」ときつく言い渡されました。怪我をすればみんなに迷惑をかけるので、これは気を付けなければと思いつつ、当日孫息子からラケットを借りて、意気揚々と出かけました。3月中ごろです。
メンバーの中には、ヘタッピイーの面倒をみてくださる奇特な人がいて、コートの中で、球打ちの相手をしてもらいました。耳の奥で、「怪我をするな!」
という言葉が聞こえてくるので、遠い球はパス、打ちやすい球にだけ手をだすという怠慢なやりかたでしたが、球拾いでコートを走り回るだけでも楽しいものでした。
しかし内心、翌日体のあちこちが痛くなるのではと恐れていました。ところがなんと、どこにも痛みはでませんでした。「きっと2、3日してでるのよ」と言う人もいて、そうだ若くはないから、痛みは遅れてくるんだと、覚悟していました。でも何日たっても何も起こりませんでした。
考えてみると、これは地道に「おうちでカーブス」をしていたおかげに違いないと思いあたりました。もし、日頃ストレッチも全く何もしていなかったら、たぶんテニスをもう一度やってみようなんて思いもしなかったでしょう。けれど、もう一度挑戦しようという気持ちになれたのは、「おうちでカーブス」をしていたからだと思います。
週末になると雨が降り、まだ1回しか参加できていませんが、いつでも行けるよう体調を整え、時間を見つけてはせっせと「おうちでカーブス」に励むつもりです。いつまで続けられるか楽しみです。
佳作
「おうちでカーブス。やっててよかった」
カーブスって
どんな運動?
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