子どもの頃から、運動が大の苦手で身体を動かすのが嫌いだった私が、カーブスに通い出して3年になろうとしています。
小学校の体育の時間では飛び箱は箱の上に尻もち、鉄棒は逆上がりができず、まともにできるのは駆けっこするくらいでした。大人になってからも不名誉なことばかりでした。友だちに借りたスキー板持参でスキー学校に参加しても1日で脱落して宿のコタツで待機していました。また大学ではワンダーフォーゲルクラブに入って、新人登山では動きが少ないベース組であったのにもかかわらず、大きなリュックを背負ってどうにか上野駅につきました。そこで足の裏が痛くなり自宅までタクシーで帰るという始末でした。自分ができることもわからずに飛び込んでも、成功した試しがなかったのです。
そのような私が筋トレのために自発的にカーブスに通うようになったのです。それにはきっかけがあったのです。それは右手の人差し指が故障して診てもらっていた主治医がカーブスに通うよう勧めてくれたからです。
突然起った指の故障は一筋縄ではいかないものでした。何カ所かの病院を訪ねてようやく辿りついたのが、知り合いの医師から紹介された血管外科医のいる病院でした。珍しい病名を告げられました。その病気には治療法はなく、最悪の場合は指を切断した人もいるとの説明を受け、私は一気に落ち込み、絶望感にとらわれてしまいました。医師は対症療法として故障した指に包帯を巻いてから、このまま1日中過ごすように言われました。日常生活が一変したときでした。
午前中はNPO法人の事務所に顔を出すものの午後は家に帰って横になってビデオを見ながらうつうつとしていました。一生このような状態が続くかもしれないと思うと、絶望的になりました。
4カ月後くらい経って受診したら、医師からはさりげなく「包帯は外していいよ」と言われました。同時に私が前から手や足の指先がピリピリして気にしていたことに対して、それは筋力の低下に伴うものだからと、私をベッドに横にならせて腰の一部を押しました。猛烈な痛みが走りました。そうして医師からはこれがその証拠だと言われました。そして「筋力トレーニングのためにカーブスに通いなさい。それも週三回以上」と言われたのです。指のヒリヒリ感に効くかどうかはともかく、半年近く家でゴロゴロしていたわけだから筋力が低下していることはわかっていました。通うよりないなと思いました。指も布製サックをはめればよいので動きやすくなりました。
家の近くにカーブスがあることは知っていました。知り合いにも2、3回紹介されたこともありました。カーブスの前を通ることもよくありましたから、通りに面したガラス窓一面に張り紙がしてあるのを覚えていました。さほど関心もなかったので読むことをしませんでした。
早速カーブスの門をたたくことにしました。異空間に入り込んだ感じがしました。マシーンの周りをぐるぐると人が動いていく光景を見たとき、動物園にいるような違和感を覚えました。カーブスに出かけてもすぐにはマシーンに馴染めず脇の椅子に腰かけてカーブスに来ている人の様子を眺めていました。そのときの私の心情は脇目もふらずマシーンを動かしている人たちの姿に圧倒されていたのだと思います。その一方でその情景を冷ややかに眺めている自分がいました。いざ、教えられたようにやろうとしてもなかなか憶えが悪くマシーンの前に立っても、どう動かすのだったかとしょっちゅう戸惑っていました。それでも1カ月くらいして何とか間違わずにできるようになりました。
半年くらい経った頃、「始めの頃からみるとずいぶん良くなったわね」と声をかけてくれる人がいました。始めはずいぶんひどかったのだと思いました。周りの人は新人が気になるのだろうか、できの悪い新人を心配気にみていてくれたのだなと思いました。
また、コーチがファーストネームで呼びかけることにも戸惑いを感じました。なにか水商売の店にいるような雰囲気を感じさせられました。でもいまでは何の抵抗もなく耳に入ってくるし、コーチから歓迎されているのだなと思えるようになりました。
いまでは運動嫌いの私が毎日でも行きたいと思うほどカーブスにはまってしまっているのは不思議といえば不思議なことです。
私のような体力が足りない人でも特別な力を入れずにマシーンを操作できること、身体全体を動かしたりすることがないこと、二周りすれば手・足・腰・体幹と全身を動かせること、運動に馴染みがなくともマシーンを動かすことが機械的にできること、などに特色があるから続けられるのではないかと、自分なりに納得しています。
長時間、横になることしか考えられなかった生活でしたが、毎日のようにカーブスに通うことで、いまでは私の生活の一部になりました。マシーンを動かすと体と心がスッキリするというのが、1番の効能です。午前の軽い仕事が終わったら、カーブスにいってスッキリしたいと思うのが毎日の習慣になってきました。
ジョギングや散歩は、膝や足の痛みがあると、ついおっくうになりがちですが、カーブスは天候や体調、気分に関係なく継続できるのが強みです。私は身体計測をされるのが苦手ですが、カーブスに行けることが自分の健康のバロメーターと考えています。パワーアップを目指している方々とは違い、目標を高くもつことなく、自分流でカーブスを活用させてもらっているという思いです。
ある真夏の朝のことです。ひどい熱感で目を覚ましました。体温が37度近くありました。基礎体温が35度くらいの私には高熱です。直ちにクーラーを利かせて顔・首・脇の下をクーリングしました。少しずつ熱は下がりましたが、36度以下になることはありませんでした。その夏の間中、1カ月この熱に振り回されました。後で気付いたことですが、カーブスに通うことによって基礎体温が上っていたのです。血液循環が促されることによって体温が上っていったというわけです。熱が出たのは脱水症が起きていたのだと思います。
カーブスに決まったような時間に通うようになると、同じような顔ぶれに会うことが多くなります。それで目が会うと儀礼的にあいさつはするけれども、会話を交す人は少ないのですが、それでも何人か話をする人ができました。マンション住まいで近隣に知り合いがいない私にとってカーブスは人との触れ合いの場にもなっています。
今日もまたカーブスに出かけます。にこやかに迎えてくれるコーチや顔見知りになった人に会うために!このような日がいつまでも続くことを願いながら。
佳作
「カーブスによって蘇った私」
カーブスって
どんな運動?