今から24年前、突然、くも膜下出血に見舞われた経験があります。直後は完全に左半身がマヒし、一生寝たきりか車いすか、と思われましたが幸いにも回復しました。1ヶ月の寝たきりで、左半身の筋肉はきれいさっぱり失われました。日々の生活と市営体育館のトレーニングルームでのマシーントレーニングでさして不自由のない程度に回復しました。
しかし脳の運動野に傷があるので、けいれん発作のリスクがあるとのこと、万が一でも事故を起こしてはいけないと退院した後、運転免許は更新せずに失効、20代の頃からずっと乗っていたオートバイはあきらめました。(その後けいれん発作は結局一度も起こすことなく現在まで至っています。)
日々の生活はやはり忙しく、トレーニングルームはせいぜい月に2回くらいしか行けず、じわじわと体脂肪も体重も増え、筋肉の衰えでひざなどに少々の痛みを感じ始めたころに、駅のそばにカーブスができ、コーチが仕事場に無料体験の案内をしに来てくれました。すぐに行ってみました。
体験した感想は「物足りない」でした。こんな軽い運動で果たして筋肉、増えるんだろうか。でも、トレーニングルームはなかなか行けないし、カーブスの30分プログラムならちょっとがんばれば回数行けそう、と思い、とにかく週3回を目標に1年続けてみよう、と入会しました。
体重は少しずつ減り、ウェストのサイズダウンはありました。そんなに効果があるとも感じていませんでした。でも、コーチが教えてくれる筋肉の増え方の仕組みや、運動をしないことで身体がどのように変化していくか、などを知り真剣に自身の身体と健康のことを考えるようになり、3年半を超えて通い続けています。
カーブスにはママチャリで通っていますが、15年くらい乗っているのでそろそろ新しい自転車に換えようかな、と思った頃、自転車好きの年下の知人に勧められてあるマンガに出会いました。高校の自転車競技部の少年たちがインターハイで競う話です。レースの描写のおもしろさもさることながら、登場人物それぞれにドラマがあり、新刊の発売を心待ちにする程ハマってしまいました。マンガを読んで初めて「ロードバイク」という性能の高い自転車や、ロードよりは街乗りに適した「クロスバイク」という種類があることに気づいたくらい自転車には無頓着でした。
件の友人は某有名メーカーのクロスバイクに乗っていて、
「精度の高い軽い自転車って気持ちいいよ」
というし、クロスバイクに乗っている息子も
「クロスバイクなら乗りやすいし、いいんじゃない」
というので、新しいママチャリでなくてクロスバイクを買おうと値段やメーカーなど調べているうちに、ふと
「(マンガの子たちが乗ってるような)ロードバイクに乗ってみたいなあ」
と思いついてしまいました。
「ロードはけっこう大変だよ」
「値段も高くなるし」
「街乗りやポタリングならクロスで十分」
という話も聞き、やっぱりクロスバイクのほうがいいかな、と迷っている時のこと。
カーブスの3ヶ月に一度の体力測定で「20代前半」という結果が出ました。最初の測定では40代半後半だったので大した進歩ではあります
「20代前半なら新しいこといくらでも始められるよなあ」
とチャレンジ精神というか無謀な冒険心が湧き上がってきたのです。
自転車屋さんで相談し、ショールームを回り、ネットで情報収集をし、新製品が出て古いモデルの値段が下がる時期を見計らい、ついに自転車を購入。
ドロップハンドルのロードバイクです。
夫には
「いい年して危ないよ」
くらい言われるかと思っていたのに、
「ヘルメットプレゼントしてあげるからちゃんとかぶってね」
と言われ、息子はリュックサック、学生時代の友人はグローブをプレゼントしてくれました。
慣れるまでは少々怖かったのですが、軽い車体、的確なギアの選べるロードバイクはペダルを踏むたびに軽く進み、実に快適で、独特のポジションが慣れてくると快感です。正直「ロードバイクに乗ってるおばさん」になったのは悪くない気分です。
「ロードバイクは、無理」とあきらめていたら、多分今ほど自転車を楽しんでいなかったかもしれません。
カーブスのコーチも私がロードバイクに乗り始めたことを知っているので、
「最近どこか行きましたか?」
「どこかに行く予定はありますか?」
などと声をかけてくれます。
トレーニング中には
「ほづみさん!がんばって!!自転車のために」
と応援してくれます。
要介護の母のいる私は週に一度の休みは基本母のために使っているので、なかなか出かける機会はありません。でも月に一度の連休のどちらか一日はロードバイクででかけます。
自宅から片道30km程度のところなら、さして疲れることもなく行けるのがわかったので、江の島や津久井湖などに行ってみました。次の連休には今まで出かけた先に比べ上り坂の多い宮が瀬へ行く予定です。
まだ、坂道の上りがあると腰が引けてしまいますが、初めて乗った頃に比べるとずいぶん、楽にのぼれるようになりました。(上れない坂は降りて押せばいいので気楽)技術が向上すればもっと行動範囲は増えるでしょう。
オートバイと違ってエンジン音がしないので、小鳥のさえずりや、川の流れる音などもよく聞こえ、お花の匂いを感じたり、コーナーを曲がった先に開ける景色などを楽しんだり、行った先でおいしいものを食べたり、五感が刺激され、素適なリフレッシュタイムになります。
弱虫ペダルの登場人物の一人が自転車に乗って坂道を上ると「オレ生きてるって感じする」といいますが、私もそんな気持ちを味わう瞬間が多々あります。
さて、自転車に乗るときはサイクリングジャージが最適ですが、身体にぴったりとしたものなので、まだ着る気になれません。次の目標は体脂肪を2%落としてサイクリングジャージを着る自信を持つことです。
佳作
「カーブスが押してくれた私の背中」
カーブスって
どんな運動?