私が変わったこと、それは三つあります。
1.体重が十五kgほど落ちて元に近い体型にもどったこと。
2.虚弱体質で月に一~二回風邪をひき、しかも必ずこじらせていた(子どもの頃は死にかけたこともあった)のが、人生で初めて風邪にかかりにくくなったこと。
3.うつ病が短期間で劇的に改善したこと。

3については、書くかどうかかなり迷いました。しかし、私と同じ苦しみを持つ人が、少しでも元気になるためのきっかけになれるかもしれない。そう願って書くことにします。
 まず、カーブスを始める前の状態を書きましょう。うつ病に罹ったのは二十年前、平成十年頃です。その後よくなったり悪くなったりしたのですが、十年ほど前に諸事情から病状が一気に重くなり、体が動かなくなりました。勘違いされている方が多いのですが、うつ病とは、単に気鬱になるのではありません。脳内の神経伝達物質がうまく伝達しなくなり、「生きるための活力そのもの」が低下する病気です。二、三歩歩くだけで息切れがし、「全身が苦しい」としか表現できない。判断力の低下っぷりといったら、風呂に入るかどうか聞かれただけでパニックを起こして泣き出すほど。薬の種類が増え、その薬のため食欲だけは異様に旺盛。病状が軽い時は太極拳などで体を動かしていたのに、一切できない。電話や呼び鈴が怖くて引きこもる日々。更年期も重なって体重は増えに増え、50kg前後だった体が、なんと67.7kgに!
家事全般も全くできなくなり、何よりつらかったのは、夫に何もしてあげられなくなったことでした。
「自分は何故生きているのだろう。こんな役立たずになって。もう消えてしまいたい。」
そんな状態だったので、さらに薬が増えました。その間、東日本大震災と父の病死があったため、なかなか改善せず、やっと「動いてみよう」という気持ちになれた時には、平成二十五年になっていました。
ところが!一念発起して、ウォーキングをしようと家の前の舗装道路を歩き出した途端、膝や足首がミシミシと痛む!増えすぎた体重を衰えきった筋肉がささえきれず、体が悲鳴をあげたのでしょう。
「これはダメだ。何か効果的に筋力を付ける方法を考えないと、体を痛めてしまう。」
その時、頭に浮かんだのがカーブスでした。悪くなる前、サーキットトレーニングの効果と、女性だけのサーキットトレーニング教室が人気だということは知っていました。その教室が、私の住む町にもあるらしいのです。
夫にも相談し、ちょうど新聞の折り込みチラシに書いてあったカーブスの無料体験に参加してみることにしました。
行ってみると、メンバーの方々は、皆さん楽しそうに笑顔で体を動かしていらっしゃって、明るい雰囲気です。音楽は私にとっては懐かしい七十年代・八十年代の音楽。聞くだけで元気になりそう。心配だった足への負担も、ステップのボードに適度な弾力があり、アスファルト上よりずっと足に優しくて、
「これなら続けられそう。」
と思いました。費用は私にとって安くはないのですが、
「もしこのまま何もしなければ、腰や膝を痛めるだろう。悪ければ疲労骨折するかも。糖尿病などにもなるかもしれない。そうなったら、月々の医療費がそれ以上にかかるだろう。病気はうつ病だけでたくさんだし!」
と思い、その場で申し込みました。
それからは、インストラクターの方々の声がけや適切なご指導、ご一緒するメンバーの皆さんの温かい励ましのおかげもあって、楽しく通うことができました。それだけでなく、日常生活でも少しずつ少しずつ、当たり前のことができるようになっていきました。
うつ病に運動が効果的なことは、読んだ本にも書いてありました(うつ病のかたに運動を強要するものではありません)。 私は体が弱くて週五日はできませんが、カーブスの運動を週三日のペースで続けて効果が出てきたのです。もちろん順調ではなく、何度も寝込んでいますが。
 主治医の先生も回復を喜んでくださり、カーブス開始から二年ほどで減薬を始めました。
 体重は、最初は一ヶ月に1kgずつ減りましたが、3kg減ったところでピタリとストップ。毎月の計測ではため息が出ましたが、病状や体調が明らかに改善しているのが嬉しく、それが励みになっていました。
 三年目になり、最も抜くのが難しいと思われた薬を止めることができました。薬による食欲が減ってくれるだろうと期待し、思い切った食事制限を決心しました。しかし、
「食事を減らすだけのダイエットを行うと、筋肉が減る。食事を元に戻すと減った筋肉の代わりに脂肪がつく。特に中高年はそれが顕著なので注意。」
と、複数の記事で読んだので、食事を制限した期間はカーブスに通う回数を増やしました。もちろんプロテインは欠かしません。月に一回一週間の節食期間を設けると同時に、毎日の体重・体脂肪とその日の運動・食事内容・便通・体調を記録し、体重の増減の理由をチェック。それを半年続けたところ、カーブス開始時67.7kg、節食開始時64kgあった体重が52kgになりました!以後、増減はあるものの、リバウンドはしていません。昔の服が着られたときは笑いが止まりませんでした。そして、家事もだいぶできるようになり、かなり「普通の生活」に近づきました。
 私がカーブスでの運動により手に入れた最大の恩恵は、わずか三年で病状が大幅に改善したことです。それなしには、減量も健康増進もあり得ませんでした。
夫も、「うつ病にかかってから、多少良い時期もあったが、今ほどじゃなかった。カーブスに通ってから一番状態が良くなったね。」と喜んでくれています。
あの時、思い切ってカーブスに入会して、本当に良かったと、心から思います。
 もっとも、カーブス四年目の去年は、体調を崩して寝込みがちになってしまい、また薬がわずかに増えました。でも、以前のような悪化はしていません。三月末に五年目に入りましたが、今は体調も落ち着き、また元気にカーブスに通っています。これからも浮き沈みはあるでしょうが、粘り強く、楽しく続けていくつもりです。
 長い間辛抱強く見守っていてくれた夫が、最近せり出してきた自分のお腹をさすりながら言いました。
「カーブスって、男は行けないのか?」