今年の1月から、娘が認可保育園に移れることとなった。やっと保活も終了したと安心した気持ちの反面、通い始めてしばらくはどこか晴れない思いもあった。
昨年末に区役所から急な連絡を受けたのだが、1,2時間以内に返事をくれと言われ早急に決断したからかもしれない。たまたまその日は娘が早退して療育センターに行く日だったため、娘を保育園の前に連れて行き、
「どうする?」
と聞いたのだった。娘はすぐさま
「ここでいい!ここに行く!」
と言ったため、娘の意思を尊重したつもりでいた。ただ、4歳の娘だ。なぜ保育ルームを出ないといけないのか、意味もよく分からないようだった。私自身も通っていた保育ルームに不満はなかったものの、同じ年齢の子がおらず、年下の子としか遊んでいないのも気になっていた。あっという間に最終日がきた。保育ルームの方たちは慣れたもので、私の選択は間違っていないといい、笑顔で送り出してくれた。私は未だに急にやめたことへの罪悪感から、そのあたりを通ることさえできなくなってしまった。
「保育ルームのみんなに会いたいよ!」
新年が始まり、保育園に通い始めてから娘がそういう度、胸が痛くなった。保育園は楽しんでいるようだが、急に人数が増えたことに少し戸惑っている様子だった。どっちみち保育ルームには3月までしかいられなかったものの、私の選択は間違っていなかっただろうかと悩むようになった。
保育ルームに3月まで通い、4月から新設の保育園に通うという選択肢もあった。たかがあと2年とはいっても、子供にとっては重要な年月だったのではないだろうか。園庭もそれなりにあり、キレイな施設でお友達、保育士とも全て新しいメンバーで一から始めたほうがよかったのかもしれないとも思ったりした。
1月から通っている保育園は、ママさんたちからも大人気で評判もいい。保育士たちもよく気遣ってくれる。ただし、ママさんたち、保育士ともとにかく若い。同じクラスには、0歳の赤ちゃんを抱いているママさんが5人ほどいて、私の心は益々萎縮する一方だった。下手に話せば年齢がばれてしまうと考え、なんとなく自分から話すのを避けてしまっていた。
在宅で仕事をする私は、昼頃にカーブスに行き、買い物をして帰るという生活を送っている。こんなことを書いては大変失礼だが、カーブスには高齢の方が多く、いるだけで安心するし、話をするときも素のままの自分でいられる場所となっていた。
そんなとき、カーブスでTさんという70代の女性と仲良くなった。彼女に保育園のことを話すと、
「あなた40代?本当に若いよね。若いフリしてればいいのよ」
と笑い飛ばされた。彼女は週に3日、掃除の仕事をして、家計を支えているという。独身の息子さんのお嫁さん探しをしているというので、親同士のお見合いパーティの記事などを渡したりするうちに仲良くなった。
彼女と話していると、年齢ってなんだろうとふと思う。私の母も70代で、定年まで教員として働いていた。現在は働いていないものの元気だ。Tさんは、仕事が楽しくて仕方ないという。人間関係のわずらわしさがないし、身体を動かすのが気持ちいいという。仕事の後に自転車でカーブスに来るのもまた格別とか。
「そんなに働いて疲れないですか?」
と聞く私に野暮な質問とでもいうように、
「全然。身体が動けば、80まで働くからね」
と頼もしいお答え。職場の人からのお疲れ様メールも誇らしげに見せてくれた。そんな彼女の話を聞いているうちに、私のこんな悩みもあと10年もすれば笑い飛ばせるようになるのかな、と考えたら気が楽になった。
保護者会をきっかけに、保育園の人たちと話すようになったら、驚くことに同級生パパがいることが判明した。クラスの中では私が最高齢なのは確かなようだが、5歳ぐらい下のママさんが多いということも分かった。どっちみち一部の人たちには年齢を知られていると分かったら、更に気が楽になった。そして、保育ルームで仲の良かった一つ下の友達も2人、4月から同じ保育園に来ることになった。シングルマザーや、お母さんが育児放棄で私より若いおばあさんが子育てしているなど、みんな様々な事情を抱えている。
今は、いろいろな人との出会いと別れを繰り返しながら、次の人生のステージに進む準備をすべく身の引き締まる思いでいる。そのうち娘にも人との出会い、別れを含め、人生の機微を伝えていきたいと考えている。
佳作
「年配、万歳!」
カーブスって
どんな運動?