私は現在66才、カーブスには当時92才だった母と一緒に入会しました。母は80才で脳梗塞を発症し、左半身麻痺、家の中は手すりにつかまって伝い歩きができますが、外に行く時は私が車椅子を押して出かける毎日でした。
一方私は生涯独身で幸い仕事に恵まれ海外部に所属し、外国語で仕事をする忙しく、はりのある毎日を過ごしておりました。ところが60才で定年退職をしてからは、同僚と話をすることも無くなり介護ひと筋の生活になりました。
そんな時カーブスを知り、さっそくふたりで入会しました。
母の筋肉を付けて家の中での転倒や骨折を防ぐ為です。私は介護者に必要な体力をつけることと気分転換の為です。
他のメンバーさんに迷惑をかけないように比較的すいて来た十二時半に、母はコーチに両手を引かれてコースを一週するのです。
そして私のワークアウトが終わるまで椅子に座って待っているのです。
そんな母に多くのメンバーさんが声をかけて下さいました。
「お母さんは車椅子で来ているのだから私も休んでいられない。」
「お母さんのがんばっている姿を見ると勇気が出て来る。」
「お母さんはアイドルよ。」それが母には嬉しく
「週に一度行っているデーサービスは年寄りばかり、ここに来ると若いお姉さん達が声をかけてくれて若返る。」
「私若かくないわよ。」
「若い。若い。若くてきれい。」
「あらありがとう。」とメンバーさん達の会話を楽しんでおりました。」
外出好きの母なので、カーブス主催のバス旅行は必ずふたりで参加して楽しい毎日を過ごしておりました。
母の趣味は旅行なのです。とりわけふるさと新潟県妙高市赤倉温泉には毎月二泊三日で行っておりました。
その次に好きだったのが北海道です。北海道の大自然、空気、食べ物、全てが好きで毎年行っておりました。
二〇一五年は九月に行って、少しも疲れなかったので十月にまた行くことにしました。ところが、三日目の朝阿寒湖温泉で急変し、一時間離れた釧路まで救急車で移動し、十八日間の闘病の末、十一月三日に九十六才十ヶ月で亡くなりました。
一般的には、ぴんぴんころりがいい。」と言います。
母もそう言っておりました。ところが突然旅先で旅立たれてしまった私にとっては喪失感・虚脱感が激しくて、現実を受け入れることができませんでした。
そんな時カーブスの皆様に頂いた言葉です。
「人は永遠には生きられない。」
「お母さんは天寿を全うした。最髙の生き方よ。」
「お母さんは自分でトイレに行っていたので人間としての尊厳を守った。」
「あなたがどんなに一生懸命介護していたか私達は見ていた。他の人にできることではない。」
「あなたは人生の大きな目標を果たした。今度は自分自身の人生を生きる番よ。」なんというありがたいお言葉でしょう。
「家でひとりで落ち込んでいないでカーブスに来るのよ。気分が変わるから。」本当にその通りです。
母の為に建てたエレヴェーター付きの二階建ての家は母の思い出で一杯です。おしゃれな母の洋服の一部はメンバーさんの方がもらって下さいました。
そして私は去年の一月から二十年間休んでいた社交ダンスの個人レッスンを再開しました。踊り終わった初日に先生が聞きました。
「以前はどの位ダンスを習ったのですか?」「ちょっとです。」
「ちょっとと言っても十年以上ですね。」
実は十五年習ったのですが、仕事と介護の為ダンスどころではなかったのです。
「二十年振りとはとても思えませんね。何か運動をされているのですか?」
「はい 週に3回カーブスに通っています。」
「ああそれでですか。踊りに切れがあり動きに対処できていますのでがんばりましょう。」とのこと。ほめられたのは自分の先生だけではないのです。ダンス教室のオーナーとA級の先生にも
「きれいな姿勢を維示して踊っているのでとても20年振りとは思えない。」と言われました。これもカーブスで筋力を付けて体力・体感を鍛えているからでしょう。
ダンスは週に一時間、その他にドイツ語と英語の授業も再開しました。そして半年達った頃先生に言ったのです。
「先生私ウイーンでウインナーワルツを踊るのが夢なんです。」
「夢じゃないよ。僕の生徒で舞踏会の旅行業をしている女性がいるから紹介しましょう。」とのこと
今までばく然と思い描いていたことが現実になり二月にオペラ座の舞踏会に行って来ました。
オーストリア大統領の御挨拶のあと、世界中から集まったまばゆいばかりに正装した男女が夜の十時から朝五時まで踊りあかしハリウッド映画のような夢のひとときを過ごしました。
お相手はウイーン大学法学部ザルツブルグ出身、公爵のTさんです。
これまで、ドイツ語・英語・ダンスとそれぞれ続けておりましたがそれがひとつにつながった感動的で、人生最良の日々でした。
ドイツ語で語り合い、姿勢を維示したまま二晩踊り続けてもカーブスで筋トレを続けていたので、疲れることなく、二〇〇年以上も続くオーストリアの文化、伝統を直接肌で体験し言葉では言い尽くせない興奮と感動に包まれました。
「あなたは自分の果たすべき役割をひとつづつこなして行って夢を実限させたのだから素晴らしい。」と言ってくれるカーブスの仲間に支えられて身体の続く限り踊り続けようと思っています。
ありがとうございました。