さあ、新しい一日の始まり、前向きな気持ちでいたら、きっといい事に巡り合える。夢もきっと叶う。そう信じて、日々の暮らしに追われながら、カーブスで気持のいい汗を流している。汗は流すが、涙を流すのはやめよう!そう心に決めた。
カーブスに出会ったのは、今から二年前。ある事がきっかけで、七年続いた仕事辞め、毎日食べては寝る、ゴロゴロ過ごし、だらけた生活をしていた。元々、太り気味だったが、さらに体重は増え高血圧、五十肩も悪化し始めていた。無気力なまま、月日だけが流れてゆく。私は五年前成人式を迎えたばかりの、次男を天国へと見送った。元気な姿で帰宅、おやすみなさいと、眠りについたまま、別世界へと旅立ってしまった。原因不明の突然死だった。これは夢なんだ、そう思いたかった。辛く悲しい現実を素直に受け取める事が出来なかった。いつも好奇心旺盛な、やんちゃな子だったが、衝突した事はなく、反抗期も知らぬまま通り過ぎいつも笑顔で明るく、周りを盛り上げてくれるような子だった。ひと通りの儀式を済ませると、さすがに、夢から覚め、この辛く悲しい現実を、受け取めるしかなかった。悪い事など、何もしていないのに、何故私だけが、こんな辛い目に合わなきゃならないの?!一生分の涙を使い果たし、自分の運命を呪いたいとさえ思った。こればかりは、経験者でないと、本当の気持ちが解らない。周囲の人達は良かれと思い、色々な助言をしてくださる。「この世に生を受けた時から、その子が何年生きられるのか、すでに寿命が決まっている。」「三人産んでおけばよかったねー。」「時が過ぎれば、気持ちも薄れ、忘れられる日が来るよ」「カラオケで気分転換しようよ」「早く元気になってよ」申し訳ないのだが、一つも当てはまらず、神経を逆なでするだけ。こんな状況で、元気が出るわけがない。最初から短い命と知りながら、愛情をふり注いで育てたわけじゃない!気持ちは、ますます不安定になっていった。 成人を迎え、やりたい事、やり残した事が、まだ沢山あっただろう。自分の命を犠牲にし、代わってやりたかった。ただ、泣いている夫、憔悴しきっている長男を置き去りにしてまで、後を追うつもりはなかった。
元気を出すには、美味しい物をお腹いっぱい食べる事しかなった。当時一度だけ「カーブスに来ない?」と誘われた事があった。まだ新しい事にチャレンジする余裕もなく、保留のまま、数年が過ぎてしまった「K子さん、ゴメンナサイ」食べては、ゴロゴロする生活のまま、息子の三回忌を迎えた。このままでいいのだろうか?!自分自身に、疑問を感じるようになった。気持ちの変化が、少しずつ見え隠れし始めていた。天国の息子が、こんなだらけた生活を見ていて、果たして喜ぶだろうか?!悲しい現実を、しっかりと受け取め、背負いながらも、何か自分のために、やれる事があるのではないか?と考えるようになった。先ずは息子の思い出話を沢山してあげる事。お金もかからず、いつでも出来て、何よりの供用になると思い、実行した。どんな時も笑顔を忘れる事なく、何事にも積極的にチャレンジし、努力していた息子の姿を見習い、私が代わりに受け継ぐ決意をした。三月のある日、誰かに背中を押されたような気がし、いきなり、カーブスの扉を開けてしまったのである。もちろん、増え続けていた体重、降圧剤を飲んでも下がらぬ血圧。ひどくなるばかりの五十肩。体は悲鳴を上げていた。予約もせず、いきなり飛び込んだ私に、Y子さんは、一つ一つに、耳を傾け、親身になり話を聞いてくれた。ありがとう。自分で何を語ったのか、緊張しすぎて、今でもよく覚えていないのだ。その日に入会手続きを済ませ早速開始した。毎回、心地良い汗をかく、何とも言えぬそう快感だった。メンバーさんや、コーチとも、すぐに打ち解け、世間話をしながら笑い合える事が、とにかく楽しい。すっかり心の拠り所になってしまった。
体にも成果が現れ始め、順調だったある日、突然腹部の激痛と、四十度の高熱に襲われた。以前から胃腸に異変を感じていたのだが、虫垂炎から腹膜炎を起こし、危険な状態であり、緊急手術となった。あと一日遅かったら、命の保障はなかったそうだ。幸い二日後には歩けるほどに、順調な回復ぶりで、一ヵ月後にカーブスに復帰する事が出来たのだ。筋トレの成果と、天国の息子のおかげだと思った。長い人生の間には、予期せぬ事が突然起こり壁にぶつかり、道に迷う事も、「悩んでもいいが苦しんじゃいけない!諦めない自分があれば、希望の光は必ず見える。時の力を信じ明日の風に向かい生きよう」お気に入りの言葉。
世の中には、私と同じ体験をされた方や、色々な悩みを背負い、抱えながらも、負けずに強く生きている人達が沢山いるのだと思う。私一人だけが悲劇のヒロインになるのは、もう辞めよう!カーブスには、いつも暖かく私を迎えてくれる、仲間やコーチがいる。沢山の元気と勇気をもらって、前向きな気持ちになれた事、自然に笑顔になれた事に感謝をし、これからもずっと、健康な心と体を維持しながら、一歩一歩進み、そして、カーブスの仲間達が、ずっと健康で幸せでいられるよう最高の笑顔で恩返しをしていきたいと思う。
準賞
「私を変えたカーブス」
カーブスって
どんな運動?
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