「メーン、メン、メン、メン、メン」七十歳を前に私は剣道を始めました。月二回ですが「ママ剣」(四十代、五十代、先生は六十代、全員有段者の女性)という名の仲間の集りです。大きな声を出し、気持を集中させる事は、ストレスの発散になりますし、本当にいい汗を流しております。
私は六年前、通っていたスポーツジムの閉鎖で近くにあったカーブスに行き、恐る恐る入店したら、優しい笑顔で迎えてくれたオーナーが懐かしい友人だったので即入会しました。いろいろな機械を使う事によって、あらゆる筋肉が目ざめさせられました。うれしかったのは、店内に七十年代のジャズが流れており、すっかり忘れていた四十年以上も前の青春の思い出と共に、自然に身体が動くのが何とも心地良い一時でした。
目標は週三回。我家は自営業(剣道具店)で年中無休のお店です。だから一時間のジムかよいは有難いです。もちろん仕事優先ですが、朝の一時間カーブスに行く為に家事を手早くこなしてワークアウトに行きます。
入会した当時は「ラジオ体操に毛がはえたようなものよ」「一日の内の一時間なんて何もしなくてもあっという間に経ってしまうし、何もしないでいるよりはね」なんて言っていましたが一ヵ月経ってウエスト、足まわりが一センチ減り、二ヵ月目も一センチづつ減りアレアレという感じでした。今まではいていたGパンも捨てました。仕事柄、毎日正座です。当時は長年の生活でひざに痛みがありました。コーチは「痛い時は無理しなくてもいいですよ」と言われましたが、逆療法と痛みを無視して続けていましたが、いつの頃からかひざの痛みがなくなっていました。そんな成果を実感すると、筋トレの重要さを確信しますます通う事が楽しくなりました。その為には、先にも言いましたように、仕事第一ですので週の始めに一週間の予定を、三回通う日を取り入れ生活のリズムを作ります。元来じっとしているのが苦手な性分、こういう風に自分を縛るのが好きです。
そして楽しみは、筋トレもさる事ながら、ジャズの音楽に合わせて身体を動かせる事のなんと素適な事でしょう。この歳になって踊れるんだもの。又、明るいお友達が沢山出来た事も、私よりご年配の方のお元気な生き方は、これからの私の指針になります。だから三十分のワークアウト「どうせやるなら、しっかり頑張ろう、そして素適なお友達と少ない時間有意義に過ごそう」と心がけています。
三年目のある日、長年気になっていた膀胱脱の手術を受けました。三ヵ月カーブスを休み、久しぶりに行った時、スタッフの方達をはじめ、顔馴染の皆様にお声を掛けていただき本当にうれしかった事を覚えています。三ヵ月休んでいた分を取り返えそうと以前より筋トレに励みました。膀胱脱の手術後一年半尿もれの手術も受けました。手術後二ヵ月、再び温かく迎えて下さったスタッフの方、仲間の皆様とワークアウトをして心身共に心地よく答えてくれました。
恥ずかしながら、手術前は激しい運動や、クシャミなどした時、おもらしする事もありました。術後、ナプキンのいらない生活のなんと快適な事。ルンルン・・・・・・。間もなく古希を迎えるにあたり、カーブスでの筋トレのお陰と尿もれの心配のない身体に変わったので、思いきり身体を動かしてみたいと思うようになりました。ゴルフは昔ちょっとやったけど面白くなかったし、水泳は泳げるし、今更・・・・。ジョギングは、学生の頃バスケットやっていて走る事大好きだったから、そうだこれにしょう。七十歳になったら実行しょうと決めていました。
そんなある日、我家の隣りの剣道場から、女性のかけ声が聞えて来ました。それまで 剣道という選択肢はなかったですが、その時「なんだ、剣道があったじゃない」即道場に行き先生に入門したい旨お願いしたら、さすがに先生もびっくりされておりましたが、入門を許されました。主人や子供達(全員剣道の有段者)もびっくりしておりました。あの当時、はやりの「いつやるの?」「今でしょう」(本当に今動けるんです。先に延ばせないんです。)その言葉に後押しされて入門しました。
剣道具店に嫁いで四十数年、お客様に剣道具、竹刀などお売りしますが、自分が竹刀を振るとは考えてもおりませんでした。カーブスのワークアウトのお陰で二時間の稽古も苦もなく出来ました。その日の日記に「左のケンがちょっと痛いだけ」と書いてあります。稽古を始めて九回目に「防具をつけてもいいですよ。」と言われ娘の使っていた防具をつけました。「これでこの世にやり残した事はない」と大感激をしました。
今、剣道を学ぶ事によって正しい礼儀作法を知り、素適な仲間達と一緒に、心も身体も鍛える剣道を選んで大正解でした。つけ加えるなら、私の好きな六十五歳の先生は「もう歳だから止めようと思っていたら晶子さんが入られたのでもう少しやってみよう」とおっしゃって下さいました。
これらのお話も折にふれ知人達に話しております。娘曰く「お母さんはカーブスの宣伝部長だね。」なんて。こんな事も言いました。主人がひざが痛いので「お父さんもカーブスへ行けば、女装して。」だって、一八五センチの長身の主人が女装してワークアウトしているなんて想像しただけでも楽しいですね。
私の姉も水戸備前町で、義妹は水戸姫子でそしてお母様(八十九歳)も一緒に行っているそうです。別の義妹は病後のリハビリを兼ねて水戸元吉田に入会したそうです。それぞれに身体を動かしていると思うとうれしいです。
「晶子さん、一、二、一、二」ヒップアブダクターでのコーチの声。「ちょっと早いんじゃない。年寄りいじめないでね。」と私。冗談を言いながらも、きちんとマシンの指導をしていただけるので楽しくワークアウトをしております。
これから先何年生きられるかわかりませんが、仕事は身体が元気なら、生涯現役を目標に、大好きな剣道も仲間に迷惑をかけるようになったら止めますが、長く続けたいし、忍び寄る老いは、一日でも先に送りたいしと思ってます。それも健康だからこその事です。カーブスの筋トレも一日でも長く続けたいと思っておりますので。スタッフの皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
佳作
「70歳からのハッピーライフ」
カーブスって
どんな運動?
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