カーブスマガジンエッセイ大賞の楽しい記事は、私に勇気と元気を運んできた。作品を綴られた方々のカーブス人生が香り高くただよってくるようだった。
通い始めた頃、「アップに耐えられない顔だから、入選したら困るわ。応募したいけどやめとく」なんてコーチに冗談を言っていたけれど、
思い切って書いてみたくなった。だってこの幸運を多くの女性に伝えない手はない、と張り切って書き始めた。
一昨年退職し、ほぼデスクワークだったため体力に自信はなかったが、それ以上にずっと気になっていたのが「猫背」だ。写真でだってわかる。
町でチラッとショーウインドウに目をやると何だか変な姿勢の私が歩いている。まるでおばあさんだ。お洒落をしてもちっとも似合わない。
すっきりと身体をシェイプアップしたいし、何より姿勢をきれいにして若々しくなりたい。退職し、時間はたっぷり。悩みも極端に減った私の脳裏に、姿勢の問題が最優先課題として急浮上してきた。
退職三か月目の六月。近くのスポーツジムに体験入学してみた。インストラクターが一通り説明してくれたが、あとは自主的にというか、ほったらかし。
仕方なく外を眺めながらランニングマシンを踏む。きつい。しかも単調で面白くない。そのうち慣れるのかもしれないが、その前に挫折しそうだ。
自主的に器械を選ぶということは、私のやる気元気に委ねられているということ。どちらかと言うと怠惰な私は続きそうにないと判断した。
ジムで体験したストレッチボールは気持ち良かったし猫背に効きそうなので、通販で購入し自宅でぐりぐりと背中を乗せていたが、それも長続きしなかった。
そんな七月のある日、新聞の折り込みにカーブスの体験案内が入ってきた。これは何だろう?市民講座のようなものだろうか?迷った末に電話し、
いよいよ運命のカーブス体験の日を迎えたのだった。
一時間ほどかけてじっくりと説明を受け、そしてマシンを触った。その間もマシンを次々に回る会員さんたちの姿が気になってしかたがない。
お歳は私ぐらいかな?いや人生の大先輩もいらっしゃるぞ。コーチからの丁寧な説明は具体的かつ科学的で、理論に裏付けされたシステムだと心底納得でき、すぐ入会を決意した。
入会後は五回も個人指導してくださるその親切さも素晴らしかった。筋肉の大切さを知らずに過ごしたこれまでの月日をとても損したような気がした。
猛暑の夏。毎日頑張って通った。身体は動かすだけ効果があるだろうと勝手に考え、マシンの合間のステップボードで、歩かずにランニングしていた。
すると「京子さん、走る余裕があるならその分マシンをもっと頑張りましょう」とコーチからのあたたかい助言と激励。全くその通りだった。
さらに集中してマシンを動かすと、腹筋が日だまりのようにほっこりと温まる感覚に驚いた。
こうやって二年目の今は、マシンをより効果的に使い、週三回体調に合わせたカーブス生活を楽しんでいる。カーブスの帰りは特に幸せ。
流した汗を窓から吹き込む風がさわやかに吹き飛ばしてくれる。代謝が悪くて汗をかけなかった体質が変化した。髪をなびかせて車を走らせるそう快感。
身も心も軽くなり、世界が明るく、青空がさらに透き通ってみえる。きっと脳や目の血液循環が良くなり、脳細胞も活性化してるんだと身体で実感できる。
片道二十分の距離も好きなラジオ番組と私のコラボで楽しい時間。300キロカロリー消費したからお昼はケーキのご褒美が待っている。
私は自分がいいと思うものを人に勧めたいのが性分のようだ。夫からは「小さな親切、大きなお世話」と諌められるが「いいものは、私だけじゃ勿体ない」といろんな人に勧める。
入会後随分たってから勧めた弟嫁は「人生が変わった」と喜び「姉さん、どうしてもっと早く教えてくれなかったの」と恨まれるくらいだ。
口の悪い夫は「今日もカオ・ブスか」と失礼なことを言うが、はつらつと通う私を内心喜んでいるのはちゃんとわかっていますよ、お父さん。
私の垂れ下がった二の腕(俗に「ふりそで」と言うらしい)を触っては楽しんでいた東京の娘はお正月に帰省し、もう垂れ下がっていない二の腕に
「触り甲斐がなくなってつまんなーい」と言いながらも感心している。
肝心の猫背は?というと、私の場合は「反り腰」からくる姿勢の崩れで、腹部もぽっこりと出てくるということをカーブスで初めて知った。
だから類人猿さんのような格好になるのだ。腹筋、背筋を鍛えるしか道はない。
弛緩していたお腹だが、今では意識しなくても腹圧をかけて歩けるようになり、ショーウインドーに映る姿もだいぶ颯爽としてきた。
しかし、油断は大敵・・・。先日娘と温泉に行った時のこと・・・。温泉の湯煙の中で心も身体も弛緩状態。
「ほらほらお母さん、背中のばさないと。また類人猿みたいになってるよ」
私は、はっと背中を伸ばす。娘の愛の鞭が耳に痛い。でも大丈夫よ美帆ちゃん。お母さんにはこれからもカーブスがついてるからね。
大切な家族に迷惑をかけたくない。できるだけ長く娘と女子会を楽しみたい。認知症にだけはなりたくない。家族との歴史を忘れ去るなんて悲しすぎる。定期的に運動している中年女性の認知症発生率は運動しない人の半分だそうだ。これは何より運動の動機づけになる。
六十五歳以上が四人に一人の時代になった。
老いの入口に足を踏み入れ、これから喪失していくものが多いだろう。そんな中で自分に合ったものを選択し努力するのは個人個人の役割だ。
カーブスは私の人生の中で、夫を生涯の伴侶と決めたことの次くらいに最高の選択だった(笑)。
「カーブス」は生き生きと年輪を重ねる女性の心の共通語。人生の先輩や同年輩の方々の頑張る姿、そして全力でサポートして下さるコーチの熱い想いに力をいただきながら、今日もいっしょに汗を流そう。
多くのお仲間とそして私のカーブス人生に、ますます豊かな日々が続くことを願って。
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