第2の人生へのスタートのキッカケに、「退職すると、体調崩す人が多いらしいよ」という噂を耳にしつつ、35年間の公立中学校を最後に定年退職をした。
 「これからは、オールサンデーの日々だ」と、まずは、今までの仕事で使っていた物、約段ボール10箱分を片づけることから始めた。片づけているうちに「ナンか、もう残り少ない人生だよなあ、これからは夢も希望もない老後が待っているだけ」という想いがフツフツと湧いてきて、単なる片づけから「身辺整理」へと変わってきた。そしてやたらと「老いに関する本」を買ってきては読みあさり、遺言状まで書いてしまった。


―体調を崩す-
 そうこうしているうちに、かぜをひいた。なかなか治らず、左額部分が赤くなり少し痛みがあるので、病院へ行ったら「帯状疱疹」だった。また、ほぼ並行するかのように「腹痛」と「下痢」で体重が4~5㎏減った。
 「もしや、大腸ガン?」と病院で内視鏡カメラを受けたが、異常はなかった。ひとまず安心はしたものの、水様性の下痢が続き、どうしても外出しなければならない時は紙オムツをして、着替え用の下着を持参した。そして、気分もだんだん滅入ってきて、ネガティブなことばかり考えるようになってきている私がいた。原因は今までの仕事の疲れやストレスからでしょうと、診断名は「過敏性腸症候群」だった。


―ラッキーな出会い―
 こんな私を心配した友人のKさん(市内の総合病院で助産師、保健師として働き退職された)が、「私も<カーブス>に通っていて調子がいいから」と<カーブス>に誘ってくれた。はじめは半信半疑。でも、なんせKさんは健康に関してはプロだし...。Kさんが日時と時間を予約してくれたので、当日教えられた場所へ行った。<カーブス>と書かれた外観が紫!パタパタ風になびいている旗には、「健康体操教室」「肩・たるみ」などと書いてある。ロッカーの壁には「筋トレは女性を救う」とか...。もしや一瞬「いかがわしいところ?」とか思うも、次から次へと人が入っていく。すでになかで私を待っていてくれたKさんがいたのでホッと一安心。すぐに若いスタッフが対応してくれ、なんと私が勤めていたT中学校の卒業生のAさんで、すっかりステキな女性になっていて驚いた。帰りにTシャツをもらえるというので、数ある色のなかから私が選んだ色は紫! 


―「行くこと」をモットーにして―
 スタッフのAさんと、中学校時代の出来事を「あの時はああだった、こうだった、なんであんなバカやったのだろうね」などと懐かしく話したりするのも、楽しみになり気晴らしにもなってきていた。そのうちに、<カーブス>に通ってきている人たちと自然に挨拶や声を掛け合うようになってきた。道でバッタリ会った時、スーパーで買い物をしている時などに立ち話をしたりして、元気をもらった。月日が経つにつれ、病院の薬(新薬とか)も効きめが出てきたようで、気持ちも明るい方向に向いてきたこともあり、紙オムツや着替えの下着を持たなくても外出できるようになってきていた。そして、病気でやせた分の体重も元にもどりつつあった。 


―コーラスに入って発声練習―
 そんなある日、大先輩のHさんに<カーブス>でお会いした。Hさんは<カーブス>ができてすぐ入会されたらしく<ゴールドカード>の持ち主で、体型もお肌もツヤツヤで若々しく、とても70才過ぎとは思えないほどバイタリティーに溢れている方だ。「中山晋平記念館でコーラスの発表があるから、それに向けて一緒に練習をしよう」と誘われ、さっそく合唱団に入会してしまった。
 まず、発声練習から始まった。指導してくださるI先生の口癖は、歌は「腹圧」でうたう、歌は「体力」だ、「気を確かに持って」うたう、の3つだ。自分のお腹に手を当てて
 腹筋に力が入っているかを確かめてみる。最初は、ブヨブヨの肉ばかりで「私の腹筋はどこに?」と思えるほどだったが、<カーブス>でしきりに「腹筋を常に意識して」とコーチに言われてやっていた効果がでてきて、最近ようやくブレス(息つぎ)や高音を出す時に「腹筋」を使えるようになってきた。


―初めてのドレスで合唱デビュー♪―
 さて、いよいよ発表に向けて、ドレスのサイズ合わせをやった。洋服は13号なのに11号のドレスがすんなり着られたのには自分でもビックリした。職場では大体Tシャツにジャージ、ズボンのいでたちで短い足で大股に歩いていた私が、別人のように鏡に映っていた。『馬子にも衣装』とはこのことなり...。そしてドキドキの本番を迎えた。ほぼ満員の文化ホールで一団員としてドレスを着て、ステージに立ち無我夢中で歌い(組曲・水のいのちより〈雨〉)、終わった時は達成感と感動で涙ウルウルの初舞台デビューだった。


―運動の成果がー
 「年をとっても、こうして運動をしていられることって幸せだね」と、<ゴールドカード>のHさんがさりげなく言われた。当たり前で、何気ない言葉だが、1年4ヶ月<カーブス>へ通ってみて、運動をすることが、からだはもちろん、ストレスのようなメンタルにも効果があるということを、この身で実際に実感することができた。数字で成果が出てくるのも嬉しい。入会前〈2011年3月〉体脂肪率30,7%→現在〈2013年3月〉27,8%骨格筋率25,7%→27,0%ウエスト
〈初回〉77㎝→72㎝


―つながりの輪が広がってー
 今、こうして考えてみると、職場集団から離れてひとりになり、自由にはなったものの、ガックリと落ち込んでいた私だった。展望もないまま体調を崩し、病院通いをしていた時が第2の人生の危機だったのだと感じる。
 こんな私のSOSに応えて<カーブス>を紹介してくれたKさんや知人、<カーブス>で知り合った人たち、スタッフの皆さんに感謝の気持ちでいっぱいだ。『人間まんざら捨てたものでもない』と...。
 ある会合に出た時、地域で幅広く活動をしているMさんに久々にお目にかかった。Mさん自身の体験から『人は助けたり、助けられたりして人は行動する』と言われたことが心に残った。震災の復興のボランティアに行こうと思いつつも、体調を崩した時期と重なってしまい、自分のことだけでせいいっぱいだった。自分の健康をとりもどしつつあるなかで、私に何ができるかを考えた。今コーラスで『花は咲く』を定期演奏会に向けて練習中なので、私はこの歌で、一緒に退職した友人たちは『南京玉すだれ』を披露しに、また震災の地へ行く予定もあるようなので、一緒に参加し、少しでも笑顔や元気がでるような支援をしたいという気持ちが湧いてきている。
 <カーブス>でもらったピンク(女性ホルモンが出る色とか)のタオル、カード入れや小物を持って♪ワクワク気分♪で今日も通う日々が続いている。