「お早うございます」と入り口で挨拶をすると、スタッフの方が「お早うございます。さかえさん」と大きな声で挨拶が返ってきます。カーブスに来る日は目が覚めた時から、カーブスモードに入っています。でも同時に、二つの歓迎したくない病が待ち受けているのです。
一つは坐骨神経痛。最初は何故こんなに痛いのだろうと思い、整形外科へ行くと、大勢の人が同じ病気で苦しんでいることを知り、驚きました。MRIの検査でも原因は分からず仕舞いで、私は椅子にも長い間は座れず、友人達や夫にも大変迷惑をかけています。自分が出来ない事を諦めるのは仕方がないが、それによって人に迷惑をかけるのはとても心苦しいのです。私が座っていられるのは食事の時だけで、どうしても座らなければならない時は、ひたすら痛みと戦っているという状態なのです。後はベッドに横になって本を読んだり、テレビを見ているだけ。原因究明のため、姪が医師として勤めている、国際医療福祉大学三田病院に迄行って検査をしてもらいました。ですが、原因は分からず、私と夫は医師にそれを告げられた時「ポカン」としていたと思います。医師からは、「喜びもしないなんてパーキンソン病じゃないの?」と皮肉をいわれてしまいました。
その後は地元の整形外科医院で漢方薬を処方してもらい、我慢が出来なくなった時はお尻に注射してもらって、二時間位痛みから解放されるという事の繰り返しでしたが、我が家の二人の息子達の嫁さんのお母さんが相次いでガンで亡くなった時は、昭和大学病院の脊椎の医師に神経根ブロック注射をしてもらって、石川県の金沢と福島の郡山へ行きました。その注射の痛いこと。(雷に打たれたような感じ)といっている人がいましたが、まさにその通りでした。五回位神経根ブロック注射をしてもらったら、「もうこれ以上は神経を傷つけるのでお休みです」といわれガッカリ。
幸いなことに、自転車には乗ることが出来たので、買物には余り不自由しませんでした。が、夕食の支度は本当に辛かったものです。
そして横になってばかりいるので、だんだん体重が減り、筋肉がなくなっていく事に気付き、体重計と風呂場の鏡を見るのが恐ろしくなりました。その頃から手が震えるのに気づいたのです。
昭和大の脊椎の医師の紹介により、神経内科の医師にかかりました。色々な検査の結果、パーキンソン病と診断されました。やがては歩行困難になる難病と知り、目の前が真っ暗になりました。
丁度その頃、カーブスのチラシが目に止まり、歩行困難を出来るだけ先延ばしにしようと思い、入会させていただきました。運動をしたら、神経痛がもっと痛くなるのでは?と恐る恐るの入会でした。
カーブスのスタッフの方々は、本当に優しく明るく、まるで透明な天使の羽根が背中についているのでは?と思う位、私に元気と勇気を与えて下さいました。
カーブスに通い始めて、初めはゆっくりとマシンを動かして、ステップさえも今まで殆ど歩かなかったのですから、帰宅して昼食をすますと、三時間はぐったりと横になっていたものです。
しかし、スタッフの方々に丁寧に教えていただき、メンバーさん達と楽しくやっているうちに、だんだん通うのが楽しくなってきました。内心では毎日でも行きたいと思っていた位です。今まで痛い痛いの毎日で、ウツウツと過ごしていたのが一転、自分が運動をしているなんて想像もしなかったことでした。
その頃に、三年に一度の高校のクラス会がありました。「あら石田さん(旧姓)随分明るくなって見違えるようだわ。」と旧友にいわれ、自分では気がつかなかった「健康な体に健康な心が育つ」を身をもって味わい、本当に嬉しくなり、スタッフの方に「クラス会の時に友人に褒められたの。ありがとうございます。」と告げると、スタッフの方も一緒になって喜んで下さり、ハグして下さったのです。
パーキンソン病は、運動しないとだんだん筋肉が硬くなり歩けなくなるので、運動は続けた方が良いとお医者様にも言われたのですが、天気が悪くなると神経痛が出てきて、カーブスを辞めようかなと思う時があり、夫に言うと「痛い時は無理しなくても良いから、出来る限り行って、筋力をつけ皆さんと会話した方が良いと思うよ。」と、決して「辞めたら?」とは言わないのです。夫に「あなたには私の痛みは解らないのよ。」と八ツ当りしてしまうこともありましたが、彼の言っている事は正しいのですから、元気を振り絞って、出来るだけ週三回は行くようにしています。
私の趣味は旅行と水泳、読書と刺繍でしたが、二つは諦めました。旅行と水泳です。他に料理も長時間立っていられず、いつも手抜きです。おかげで喰いしん坊の夫は、自分で料理を少しずつするようになりました。
この頃は唇と舌がよく回らず、一日に一回は顔のマッサージと口の運動を心がけています。メンバーさん達にも話かけたいのに、舌足らず口調で話かけられて、相手に迷惑ではないかと思うと、ついためらいがちになります。でも心優しい皆さんは明るく朗らかで、そんな私にも気軽に声をかけて下さいます。
昨年ノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥先生のiPS細胞が、パーキンソン病も研究して下さっているようなので、一日千秋の思いで成果が上がることを期待しています。そうしたら私は寿命が尽きる迄カーブスにしがみついて、「さかえさん、もう辞めたら?」と言われても辞めないカーブスフェチのメンバーになることを誓います。