振り返れば、まだ太って71キロくらいはあった頃、息子に太っていることを気にされて、「足が悪いのに、太っちゃダメじゃないか! もっと痩せろよ、運動しろよ。新しいカーブスとかいうのが、福生に出来るぞ。そこへ入いって、トレーニングしろよ。」と、もう、ものすごく怒られて、つい「一応は私の足のことを気にしてくれているんだなあ」と。それでは息子オススメの、カーブスとかへ行ってみるかと思い、入ったのが約6年前のことだった。


 スタッフさんは皆若い人で、元気がいい。「河上さん」とか、「オバサン」なんて言わず、名前で「美智子さん」と呼んでくれるのが新鮮で、なかなか中高年になって来ると、そうそう名前で呼ばれることは、日常ない。一女性として扱われているという実感がして、嬉しかった。
 主人は九州男子で熊本の人。男の強い土地柄で、家でも亭主関白なタイプだが、あまり黙して、多くを語りたがらない。故に多少妻がトレーニングして痩せて来ようが、この頃痩せたとか、きれいになったとか、気付いても言わない。
 しかし他人は他人だからか、カーブス近くのレストランへ入いれば、店員さんのお兄さんが、たまたま化粧していたからかもしれないが、「どうしたんですか、今日はきれいじゃないですか。」なんて言ってくれたり、知り合いが「この頃きれいになりましたね。」と言ってくれる。


 体重も落ちたが、それより丈夫になった。肩凝りは、始めて一ヵ月で効果が出始め、カチンカチンに固くて痛くなり、揚句頭痛までしていたのに、頭痛はなくなり、首や肩が楽になって軽くなった。そして三ヵ月経った頃は、肩凝りのことは忘れるくらいになった。
 続けていると、周囲にも支えられていると実感した。入会した当初は、いかにも『老けたおばあさん』といった感じがした方が杖をついて来ていたのが、杖をつかなくても良くなり、髪形もショートボブの可愛い感じにされて、肌もツヤツヤして血色も良く、若返ったのを見て来ていると、こちらもつい嬉しくなるし、励みになり、私も頑張ろうという気が起きる。
 失礼だが、デブデブに太ってお肉がタプタプしていた方が、先日久しぶりにお見かけすると、かなりシェイプされて、腹回りがしまって来て、かなり細くなられ、せいぜい、ちょっと小太りな方くらいにまでなられているので、思わず細くなりましたねと、声をかけてしまった。本人もかなり頑張られたのだろう。
 そういう方を見ていると、まだ体重が以前よりは減ったとはいえ、まだまだ足の為には良いと言えるくらいにはなっていないので、私なんて努力が足りない、と更なる頑張りを見せないとと思ってしまう。
 カーブストレーニングで、最大に感じたのは、血流がよくなることだ。肩凝りも、冷えるのも、血流が悪いからで、カーブスへ行くようになり、全身に血液が手や足の指の先の末端の血管までよく流れるようになったのか、冬でも手足の指が暖かいし、以前のように冷たく凍りついたようには、ならなくなった。
 いつか雪の日に、なんと七分丈のズボンに素足で、下に短い靴下をはいているだけの格好になり、人から「寒くないですか?」と驚かれたが、不思議と寒くないのだ。以前では考えられないことだ。


 自分でもカーブスを続けていて良かったと実感した。息子も娘も、いつかは結婚して、特に娘は大学二年生になる。あと二年して卒業すれば社会人だ。可愛い子なので、就職すれば、いい人が見つかるのも早いかもしれず、じきにお嫁に行ってしまうかもしれない。自分が出産後に実感したが、産後実家へ帰り、隨分と母の世話になって助かった。
 また、息子が小さい頃は、保育園のお迎えやら、何かと手伝ってもらうことはあり、結婚しても実家の母の世話になることは結構あったりするので、いくつになっても、お母さんは元気でいないと、と痛感した。
 娘は働き者で、今も大学近くの喫茶店でアルバイトしているが、欠勤もなく、遅刻早退もなく、本当に真面目に一生懸命頑張る子なので、多分に結婚後も仕事を続けて、出産しても産休後はまた働き出しそうだ。
 そんな頑張る娘の為にも、何かと子供の面倒を、もしも見ないとならない時は、いつでもおばあちゃんが力になれるようにと、ぜひ足腰も丈夫で健康でいたい。
 また、息子は何やら晩婚そうだが、将来嫁をもらうかもしれず、もし結婚して子供が出来たら、私も嫁には協力するつもりで、息子は自営業なので、今は自宅と、友人のしている店の中の場所を借りて商いをしているが、将来的には自分の店を持ちたいようなので、そうなったら嫁も店へ出るかもしれず、お義母さんの私は、ぜひ子供の世話などで、やれることはさせてもらうつもりでいるので、これまた元気でいないとならない。ロコモなどになっている場合じゃない。老いてますます達者でいないと。


 嫁や息子からはいつも「お母さんが元気でパワフルだから、こちらも安心していられるよ。」と思われたい。
 また、娘にはぜひ、「将来自分も、お母さんのような元気で頑張る母になりたい」と思われるようになりたい。
 子供達にとっても、家庭の中で明るく希望の星に思えるような、精神的支えになれる肝っ玉母さんを目指して、今日もトレーニングに励む。


 主人は長年のヘビースモーカーがたたり、すでに肺気腫になっている。ただ今検査結果待ちで、じきに痰を採取しての検査の結果がわかるが、もしもあまり良い状態でなく、病状が進むようで働けなくなったり、とかく療養生活を送るようなら、私が長年働いてくれた主人に代わりに今度は働いて、家計を少しでも助けたいし、主人の面倒も見たい。
 男尊女卑な体質な上に我儘な人だが、そんな主人がさすがに私を頼りにしてくれるようになっても、主人にとってもまた、精神的な希望の星的存在に見えるように、私こそ弱々しくなってなんていられない。老けこんでもいられない。


 友人や知り合いが、私を見て、私もカーブスへ通いたいと言ってくれて、入会してくれた人が、何人かいた。やはり元気のいい人というのは、回りへも希望へ繋ぐものがあるらしい。
 よく人が、「人は一人では生きれない、一人で生きてるんじゃない」と言うが、いろんな人に支えられたり、また支えになったりして、どっこい今日に生きていると思うと、どんな方の存在も、自分の中で、何かの存在感になっており、また私も同じと思うと、私のような者でもありがたい。
更なる明日へと、今日もカーブスの扉を開ける。