人生についてとか、健康について考えるなどほとんど無縁の生活でも、計画通りのリズムの中で毎日を過ごしていた。コロナ禍で、カーブス休会の憂目を見たが、再開でまたカーブスへ通い出し、会員の皆さんとの笑い顔に会えて元気を喜びあって、トレーニングを始めたある日、右足大腿四頭筋にガバッとうい痛みを感じた。
えっ、何これ?初めてだった。そして数分後、今度は足の肉が剥がされるような激痛が走った。肉離れとはこういうものかとその時思った。壮絶を絶する痛さとはこういうのだろうと思った。そのくらい毎日を元気に過ごしていた筈だったが、来ましたね。八十を超えた私に試練がやって来た。気持ちの悪い脂汗が滲み、顔の引きつるのが分かった。
しかし、なんということだ、二十分もすると痛みが遠のいた。足は張った様な感じが残っていた。その日はマシーンをいつも通り動かして自転車で帰って来た。あの痛みは何だったのだろう。そう、自転車を漕げたのが不思議であった。
痛くなったり治ったり、そんな繰り返しが二、三日続いた。カーブスでいざサークルの中に入ろうとした時にギクッと来る。それも右足だけ。私の利き足である。太腿からその頃には膝に痛みが来るようになっていた。何故か分からない痛みに整形外科を受診する。
暫く前に勤務していた病院の整形外科であったが、薬剤室にいて、在職中も元気の良いので通っていたので、今では部長になったY医師が顔を見るなり、問診票を見ながら、「痛みはどんな風ですか。」と聞く。
まったく不思議で転倒したわけでも、どこかへ打ちつけたわけでもなく、ある日突然に、肉が骨から無理に剥がされるような激痛で、それでも右の足だけで、一日ずっと続くという痛みではないこと、ここ一、二日は膝にピリピリくるようになって、手持の湿布を貼ってみたりしているが、突然に来る痛みに閉口していると話す。
それでも自転車を漕ぐのはなんともないというと、「ホウ、そうですか。」といい、まずはレントゲンを撮る。骨は正常である、腰も大丈夫だという。自分で自負するつもりはないが、骨に異常が起きたなどとは考えもつかない。ハッキリとした診断は出ず、おまけにそんな診察の最中に、いつもの痛みは起きないのである。
取り敢えず痛み止めの薬を処方され、その後の診察の予約を入れて帰る。軽い運動なら行っていいという。二週間が過ぎて、薬が効いたのか激しい痛みは起きないが、少し時間が空くとピリッとくる。
次の診察時に医師に話すと、「今日はMRIを撮ります。」と告げられた。まな板の鯉である。暗い筒の中へ体が吸い込まれ、かすかにカチャカチャという機械の音を聞きながら、どうか悪い結果で無いように祈る思いであった。
結果は、背骨のまっすぐな骨が、腰のところで神経にピリッと触れ合った瞬間に電流のようにそれが痛みとなって、太腿や膝に起きるというのである。要は手術でその神経を離すこととそこ迄聞いて、「チョッと待ってください。それで確実に一生神経がピリッと走らなくなるんですか。」と聞く。
医師は確実に断言出来ないという。年を重ねた体に油を注ぐのはいいが、もしも結果が良くなければ、左の足も痛み出すのではないか。私は医師と相談した。薬の服用で治まる痛みだもの、自覚して薬をきちんと飲むからと約束し、そのかわりに、しばらくは激しい運動はストップ。カーブスもしばらく休むようにと。私にとって生活がくるってしまう程のショックだった。
もう来院しなくていいといわれ、気がつけばカーブスを八か月も休んでいた。その間、カーブスのコーチと何回か連絡を取って、来月復帰しますというと、「待ってまーす」と明るい声。Tシャツやカーブスウェアにアイロンをかけ、その待ち遠しさはなかった。あいかわらず時々ピリピリやって来る痛みも、きっと自分に対する一生の友になるのだと思うことにした。
私が足への激痛を知り、手術の有無に悩み、それでも薬でどうにかなる程の、いやがまんできる生活が出来るようになった。約一年近いカーブスの休み中、まるっきり体を動かさずにいたわけではない。
ありがたい助け船があったのだ。まず本当に頼りになったのが、年四回発行のカーブスマガジンであった。改めてじっくり読む。確かスロートレの事がどこかに書いてあった筈。新聞だったかなとなどと思いつつ引っぱり出す。ありました。
いつもいつも、私の気性がそうするのか、マガジンに赤ペンのチェックを入れる。覚えたつもりで線を引くが、改めて読み返して、カーブスマガジンの立派さ、ありがたさに感激した。体が痛む時の筋トレも、今では教室の壁に貼ってある。筋肉の大切さを今ではいやという程わかったつもりであったが、マガジンをじっくり読み返してみて、これ全部私の為に書いてあると思った。凄いと思った。
前々から尊敬して読ませていただいた心理カウンセラーの衛藤信之先生の文、筋肉に心の筋肉があるという。心の筋肉とは、忍耐力であると書かれています。その為、心の筋肉で心の筋トレで、真の人間・大人を目指す。
この頃は、一読したくらいでは難しい衛藤先生の筆ですが、これって、カーブスマガジンってすごい哲学書です。いろいろな事を追及して教えてくれる、私の参考書・羅針盤です。サラリと読んで片づけてしまう、なんとももったいない。今さらながら反省です。
少し地区の高齢者の方達とラジオ体操をしたり、時にお茶を飲んだり、カラオケで楽しんだりの時間を過ごしています。
いろいろな性格の大人の集まりです。気難しい人も居ます。騒々しいのに耐えられないおばあちゃまもいらっしゃいます。カーブスの会員の中にも人との対話が嫌いという方もいらっしゃいます。心の筋トレで、時に嫁・姑の件も、友との件も、やがては真の大人になるなんて、こんな勉強もさせてもらえるマガジンです。
タンパク質の大切さも、耳に、いや失礼、毎月の目標に上げられております。カーブスを事情で辞めてしまったKさんが、もう数年も過ぎたのに、カーブスで学んだタンパク質の大切さを今も固く心にかけていてくれます。
私は休会中、ラジオ体操は続けていました。ありがたい十階建ての団地の階段を登り下りしました。数年続けているスクエアダンスにも、ジャズ風カントリーダンスにも、大きな声を出して皆と歌うコーラスにも、休むことなく通いました。
痛い時程自分の体に負荷をかけ、きちんとしたカリキュラムに真剣に取り組む。こう話すと、そのとおりですと答えてくれたのはMコーチでした。でも各々性格も違うし、体の作りも違う。その時々の考えも、年齢を重ねていくうちには環境も違ってくるかもしれぬ。
一人で暮らして数年になる。もう若くはない年齢でもダラダラしたくはない、と思っているのに、カーブスマガジンから沢山の良い事を学んでいるのに、自分で自分を許してしまう。少しぐらいの体の故障にビクビクしないで、いらっしゃいましたとデンと構えて迎えてやればいい。
マガジンの中の沢山の会員の笑い顔、専門的に教えてくれる記事、エッセー等本当にありがたい楽しい参考書です。明日の私の為に、これからトレーニングに出かけます。せっかく付けた筋肉、落としたくないので。