「今日も元気、ありがたい」
マシンを動かしながら、いつもそう思う。
私がカーブスと出会ったのは、九年前。日ごとに増加する体重に悩み、「やせるため」に入会しました。
その当時、三人の子どもたちを含め七人家族の家事と図書館の仕事にと、忙しく走り回っていました。それでも、週三回を目標にし、仕事帰りにカーブスに通いました。痩せて少しきれいになった自分を想像しながら。
通い始めて半年くらいたった時、
「最近、若くなったね」
と、友だちに言われました。目標とする体重には到達していないし、まさかと思いながら鏡を見ました。背筋がピーン。悩みだった猫背が知らぬ間に治っていたのです。姿勢一つでこんなに違うなんて、驚きでした。
改めて周りを見れば、母よりも年上の方が背筋を伸ばし、生き生きとマシンを動かしています。なんと若々しく、素敵なんだろう。よし、母もカーブスに誘おう。そう思った矢先に、母に胃がんが見つかりました。
母は、手術後、他の病気も併発し、四ヶ月の入院を余儀なくされました。当時七十四歳の母は、ゲートボールや旅行を楽しみ、周りの人達のお世話に駆け回る誰よりも元気な人でした。でも、退院時は、体重十五キロ減で、手足は骨だけのようになり、杖がなければ歩けなくなっていました。体力も著しく落ち、ほとんど寝て過ごすようになってしまいました。もっと早くカーブスに誘い、筋肉を付けさせておけば、この状態を防ぐことができていたのかもと後悔をしました。
母の看護も加わり、私はより忙しくなったけれど、筋肉の大切さ、体力維持の難しさを知ったことで、以前より多くカーブスに通うようになりました。とにかく「体力をつけなければ」その思いで、マシンも速く動かすように努めました。
五年がたち、抗がん剤投与が終わり、母は少しずつ元気になりました。よくがんばったね、と、家族みんなでお祝いをした二ヶ月後、私の肺がんがみつかりました。
がんの宣告を受けた日のことは、今でもしっかりと覚えています。
午前中、中学生と地元の作家さんの対話式講演会で司会をしました。そして、午後一番に病院で、検査の結果を聞きました。よく、「ショックで頭が真っ白になる」と、言われるけれど、真っ白ではなくって、無になったといったほうがぴったりきます。でも、私は、なぜかその足でカーブスに向かったのです。
いつもの元気なコーチのあいさつに迎えられ、仲間達の生き生きとしたワーク姿を見て、私もいつものように・・・・・・。でも、出来なかった。一周でリタイヤ。
次の日から、精密検査を幾つもして、手術日、入院日が決まりました。がんの発覚から入院まで三週間。私は、週三日、今まで通りカーブスに通いました。マシンを動かしていると、不安や恐怖を忘れられたからです。それに、母のようになってはいけない、手術に耐えうる体力を維持しなければという気持ちも大きかったのです。
「待っているからね。」コーチにそう送り出され、しばらくのお休みをいただきました。
手術の後、私は、五ヶ月間家に籠りました。買い物も年老いた両親や、主人にお願いして。抗がん剤による免疫力の低下が著しく、外に出るのが怖かった。加えて、息切れ。声がれ、脱毛などがあり、ずっと気持ちが落ち込んだままだったのです。一日のほとんどの時間をリビングのソファーに寝転がって過ごしていました。
手術から六ヶ月後、職場の方々の配慮によって週二回の仕事復帰をすることになりました。すると、以前とは、全く違う自分がそこにいました。背中や肩が凝り、長く座っていられないし、少し歩くと息が切れる。体力の著しい低下を感じました。家では、周りに甘え続け、家事もまともにできませんでした。このままじゃだめだな、なんとかしなきゃ、気持ちだけは強くそう思っていたのです。
そんなとき、コーチから電話をいただきました。
「大丈夫だよ。少しずつ始めよう」
重くて思うように動かなかったマシン。ステップボードでは、ステップを踏めず、深呼吸をして息を整えていました。それでも、そこに戻れたことがうれしかったです。
あれから二年が経ちます。闘病中、元気になったらやろうという目標を三つ掲げていました。いっぱい旅行に行く。子どもたちにブックトークをする。お世話になった人達に恩返しをする。元気になって絶対にこの三つを実行する、そう何度も何度も自分に言い聞かせていました。
だから、そのために仕事を辞めました。そして、そのために、カーブスに通い続けています。目標は、現在、少しずつ実行しています。
先日、友だちに「カーブスにどうして通っているの?」と聞かれました。
「やせるため。体力をつけるため。健康維持のため。私がカーブスに通っている理由は、たくさんあるけれど、でも、一番は、心が元気になれるから。明日の私のために通っているんだよ」
私は、胸を張ってそう答えました。今では、その友だちもメンバーさん。
まだ、時々不安の波がやって来ます。そんな時は、カーブスに向かいます。
そこには、たくさんの笑顔があります。さぁ、私も、笑顔で頑張ろう。