「介護保険に入っていますか?」「ヘルパーさんを頼むことはできますか?」
私が通っている病院の医師からの、診察時の言葉です。私は思わず「それは誰のことですか?」と聞き返しました。「もちろん、あなたのことです」と言われました。日に日に筋力が落ち、日常生活に支障をきたしていることは確かでした。でも、このままでは介護が必要なほど哀えてしまうという医師の言葉は、当時51歳の私にはとてもショックでした。
私が発病したのは46歳のとき。職場の健康診断で肝臓の病気がみつかりました。肝臓は"沈黙の臓器"と言われるように、私もまったく自覚症状がなく、健康でタフなところが取り柄と自負し、一生懸命働いていましたので、びっくりしました。
病気が見つかってからも、通院しながら仕事を続けていましたが、5年前に悪化し、医師から「仕事は無理」と言われ退職しました。
私の病気は難病であり、薬は長期にわたって飲み続けなければならず、さまざまな副作用の出る薬であることも説明を受けました。
確かにいろいろな副作用が出ましたが、一番困ったのは、薬を飲みはじめてから5年目に出た「筋力が落ちる」という副作用でした。体に力が入りにくくなったな・・・とは感じていましたが、和式トイレで立ち上がることができず、「これはおかしい」と思ったのが始まりでした。日ごとに筋力が落ちていくのがわかり、階段の上り下りは手すりなしではできず息切れがし、買い物はカートを支えにしないと歩けない、買い物カゴも洗濯カゴも重くて持てない、流し台の前に立っている姿勢が維持できない、フライパンが重くて洗えない、料理した鍋をテーブルに置く力が出ない・・・。日常生活も家事もできず、主治医に相談しました。ほかの病気でないことを確認するため、いろいろな検査をしてもらった結果、やはり薬の副作用であることが判明しました。そして、冒頭の医師からの言葉でした。
子どもは4人います。当時、一番下の子は大学受験を控え、長女の結婚も決まっていました。これから、まだまだがんばらないといけないのに、介護生活なんて考えられない。でも、実際は80歳の義母に家事を手伝ってもらっている状態・・・。こんなに弱ってしまった自分が悔しくて、情けなくて、これからの私はどうなってしまうのだろうと、とても不安でした。
そんなとき、目にしたのが、新聞に折り込まれていたカーブスの無料体験のちらし。『体力回復』という文字が目に入り、すがるような気持ちで電話しました。応対してくださったコーチは、とても親身に話をきいてくださり、即、体験を受けることになりました。
カーブスのドアを開けての第一印象は"なんてたくさんの人!!""みなさんとても楽しそう""とても元気に体を動かしておられる"ということでした。体験でひととおりのマシンを回りましたが、何ひとつ動かすことはできませんでした。ストレッチも、支えがなければ立つことすらできませんでした。自覚はしていたものの、ここまで体力が低下していることを実感し、すぐに入会を決めました。マシンは動かせなくても、とにかく通うことを目標にしました。
入会翌日、ドアを開けると「尚子さん、こんにちは!」というコーチの元気な声。どのコーチも、どうしてこんなにすぐに名前を覚えてくださるんだろうとびっくりしました。一つひとつのマシンを、私のできる範囲でアドバイスしていただき、どのコーチにも元気に声をかけていただき、そのひと言、ひと言がとても励みになり、気持ちも前向きに明るくなりました。
何週間か過ぎた頃、マシンも少しずつ動かせるようになり、ほとんどのマシンが動かせるようになった頃には、日常生活もずいぶん楽になり、いつのまにか家事の苦労もなくなっていました。
主治医に筋トレを始めることを伝えたときに「副作用なので、どこまで効果が出るものか・・・」と言われました。私はそのとき、薬と筋トレの一騎打ちだなと思い「負けないぞ」と思いました。そして今、自分の成果を振り返り、筋トレのすごさを実感しています。現状に屈せず、自ら事を起こすことの大切さも知りました。
残念ながら、病気は良くなったり悪くなったりで、入退院を繰り返しています。入院して一時退会すると復帰時にはマシンは動かずゼロからのスタートです。これを何度も繰り返しましたが、私には、筋トレを続けていたら必ず筋力がつくという自信ができました。私の病気の治療に薬は必要なものです。この薬を飲み続ける限り、副作用が出ると思います。病気と上手に付き合い、筋トレを続け、人に迷惑をかけない生活ができたらと思っています。昨年11月には、初孫もできました。孫を抱いて守りをしたいという楽しみもできました。じつは今も入院中です。一時退会するたびに、私にとっていかに筋トレが大切なものであるかを実感します。
筋トレを始めた直後、『筋トレ祭』として壁一面に貼られた『筋トレは女性を救う』という言葉に私はどれだけ勇気づけられ、励まされたことでしょう。ふと目にした一枚の広告がご縁で、筋トレが私の人生を救ってくれました。筋トレを続ける限り、介護保険もヘルパーさんも必要ないと思っています。副作用に負けず、筋トレを続けていこうと思います。まさに『筋トレは私を救う』のひと言です。
そして、もうひとつのうれしい出会いがありました。いつも明るく、生き生きとしておられるメンバーの72歳のSさん。Sさんは、いつも私にプラスの言葉をかけてくださり、Sさんの顔を見るだけで元気が出ます。話を聞けば2000回を達成されたとのこと。私の憧れの女性です。そのSさんに、今回、入院手術のために一時退会することを伝えると、お手紙をいただきました。その手紙には、Sさんも、何年か前に大病をされ、くじけそうになられたこと、そして筋トレで自分を取り戻されたこと、私の復帰を心待ちにしてくださること等書かれていました。このような方と出会えたことをうれしく思っています。20年後、私もSさんのように、人に元気を与えられるような、背すじが伸びたハツラツとした女性になっていたいと思います。
私の成果を自分のことのように喜んでくださるコーチのみなさん。その明るい笑顔に迎えられるとそれだけで元気が出ます。コーチとの出会い、Sさんのようなメンバーさんとの出会い、そして私を救ってくれた『筋トレ』との出会
い・・・。どれも今の私にはなくてはならないものです。コーチやメンバーさんに会えるのを楽しみに、一時退会後少しでも早く筋力が戻るように、病室でストレッチに励んでいる私です。
グランプリ
「『筋トレは女性を救う』『筋トレは私を救う』」
カーブスって
どんな運動?