数年前、腰に違和感というのか軽い腰痛のような症状が出て、近くのスポーツ整形外科を受診しました。若いイケメンの理学療法士さんがいろいろなチェックをしてくれた結果、私の骨盤は少し右側が腰高で、左側より前に突き出ているような歪みがあると言われ、車や機械のメンテナンスのように人間は部品を交換することはできないから、長く人間をやっていたら当然、体にはいろいろな症状が起きても仕方ないなぁと理解したように思います。
骨盤の形を矯正するいくつかのメニューを元に、週一回20分ぐらいのリハビリを数回した後、下半身中心の簡単な筋肉トレーニングのメニューをこなして、3ケ月ぐらいの通院で腰痛は完全になくなりました。この後も自宅でこのトレーニングは続けて下さいと言われたことと、筋肉トレーニングの終わり頃に言われた言葉「筋肉がないですね」は、その後ずっと私の中で気になっていることでした。ウォーキングをし体の健康維持のこともそれなりに注意していたし、珍しく腰痛が出たものの、同年代の中では足腰は丈夫な方だと自負していたからです。
そんなことを気にしていた頃、カーブスに半年ほど先に入会していた妹からこのジムに誘われました。トレーニング内容は、簡単な12種類のマシンの1つを30秒間トレーニングして、横のボードで30秒間のクールダウンという手順で、12のマシンを2巡した後ストレッチをしてトータル30分間という短かさ、女性だけのジムというのも気楽で迷うことなくすぐ入会しました。どちらかというと直感で動いてしまう私にはグッドタイミング「思い立ったが吉日」だったと思います。
カーブスでは会員のほとんどが私と同じ高齢者です。平均寿命が伸びている現代、死ぬまで健康でいたいという健康志向の考え方は浸透しています。健康維持のためには筋肉を鍛えることが必須で、何もしないと筋肉量が減る一方の私たち世代でも、トレーニングによって維持できることを知りました。このジムに通っている人たちは勇気を持って一歩踏み出した人だと思います。
私には30歳で3人目の息子を出産した直後から出だした、その都度騙し騙し付き合ってきた関節の痛みがありました。たまに出るこの症状は、最初肩などの関節を動かすとチッという小さな引きつるような痛みがあり、それが徐々に疼いきて腫れて寝返りができなかったり、着替えができにくかったりといった具合が、2、3日すると徐々に痛みが取れてきてまたいつもの状態に戻るということの繰り返しで、時には3年ぐらいそんな症状が出なかったことや、子育て真っ最中ということや、病院嫌いということもあり検診に行くことはありませんでした。しかし60歳になった頃体のあちこちにあまりにも痛みが頻繁に出るようになって、検査した結果「関節リウマチ」だと判明しました。定期的に通院して血液検査を検尿でチェックを続けながら、処方して頂いた2種類の薬が私の症状に適合したのか、服用するようになって痛みが激減しました。この持病のことを話してもほとんどの人が信じないくらい、症状は軽く外見上は健康な人と変わりません。
私はピアノを専門にしていて今もコンサートで弾くことが時々あります。この病気はストレスも関係していて、コンサートの本番になると気が張っているのか何なのか症状が出ず、終わると安堵するからかどこかに痛みが出ます。通院するようになって小康状態にはなりましたが、1ケ月に1度ぐらいは肩や手首だったり、指の関節が痛んだりして家事に不便を感じることもありました。
週に2回か3回のペースで通っているカーブスのトレーニングは3年が過ぎました。
人によっては始めて数ヶ月で体の変化を体感する人もいるようですが、私の場合は「石の上にも三年」「継続は力なり」の諺の通り、2年過ぎる頃まで不定期に出ていた痛みが、現在は忘れていたように数ヶ月に一度ぐらい軽く出る程度になりました。検診ではリウマチ因子の数値だけははっきり出るので寛解することはないのですが、それ以外の項目は全て正常値を維持していて、体も締まって軽く行動的な日々が送れるようになっています。
そして、カーブスでは常にトレーニングと並行して理想的な食事のことも指導してくれます。私たちの年代になると次第に野菜中心で量も少ない食事になってきますが、筋肉を作るには、良質なタンパク質を一定量摂取することがとても重要なのだとコーチから常々言われています。
「タンパク質」とはギリシャ語で「最も大切なもの」という意味があるそうで、脂肪を燃焼してくれる筋肉を作る文字通り重要な栄養素です。私自身はこの頃肉や魚や牛乳、また納豆などの豆類をできるだけ摂るようにしようと意識しています。カーブスで勧められたプロテインを飲んで補いながらトレーニングしているおかげで、自宅でも外出先でも、トントントンと軽やかに階段を上れることを友人に自慢しています。
こんな風に自分の生活の一部にもなっているカーブス通いの3年の間には、主人が70歳を迎える直前病気で急逝し、その後しばらくジムに行けない日々もありました。この時何度かコーチから頂いた連絡は、ともすれば萎えたり怠けそうになる日常の自分を動かしてくれました。コーチのいつも明るく元気な対応や励ましと、トレーニングによる体の変化と健康維持ができていることが、運動がそれほど好きでない私が続けられている理由だと思います。
そうして日々の生活が落ち着いてきた昨年、送られてきた旅行サイトのメールマガジンの中に「女性限定・おひとり様」の海外旅行ツアーをみつけました。海外旅行はこれまで主人と一緒に行った経験はありましたが、意を決してひとりで12月「北ドイツ・クリスマスマーケットの旅」に参加してきました。
17名のおひとり様ばかりの参加者の内、私世代の60歳ぐらいから70歳ぐらいと、最高齢はスイミングとランニングで体を鍛えてきたというもうすぐ80歳という方もいて、高齢者が半数と40歳前後の若い方が半数というツアーでした。参加者のほとんどは何度も海外旅行に行って慣れている人たちです。
初日デュッセルドルフのホテルでは着くやいなや、添乗員さんが翌日朝の集合時間や諸々の注意事項を早口で説明するのを聞いていて、一瞬みんなについていけるだろうかと不安がよぎりましたが、次第にこのリズムにも慣れてきて、私と同じ歳の同じくおひとり様初体験の方と友達になったり、若い人達と情報交換もできて、楽しく開放的な時間を共有することができました。体の血流が良くなったことは間違いなく脳の活性にも繋がっていると思います。
トレーニング成果のチェック項目の中に『前向きになれた』というのがあります。
「思い立ったが吉日 北ドイツの旅」で、『私も捨てたものじゃない』という自信が持てたことが大きな収穫でした。日々の中で、何かまだ挑戦できることがあるんじゃないかと思う瞬間もあって、私は今もカーブスを続けているのです。
佳作
「思い立ったが吉日 そして挑戦」
カーブスって
どんな運動?