もう、かなり前のことですが、趣味の書の展覧会に友人と二人で見に行った時のことです。都内の人混みの多い交差点で、突然振り出した大粒の雨に、「走りましょう!」とワタシ。「走れないわよ。」と友人は道路わきで素早く右手を上げて、タクシーを止めました。そこから、二人タクシーに乗り最寄り駅まで行くことに。
五十にもう少しのワタシと八十半ばの友人。考えるまでもなく無理を強いているワタシ。
その友人であるKさんとワタシが初めて会ったのは、十余年前新たに入れて頂いた書のグループで。先輩!
その頃闘病中のワタシの実母がしばらくして亡くなり、気分的にも落ち込んでいた頃お稽古でお話を重ねていくうちに、ワタシだけかも知れませんが、妙に気が合い徐々に親しくさせて頂けるようになりました。
書以外でも、たまにご一緒頂き友だち付き合いをさせていただいたのです。低音の美声が好み、勿論イケメンも!グリーンのクリームソーダ、荒れる海の波が大好き!という。
そのKさんが90代になろうかという頃に、「私ね、嫁とカーブスに行っているの。」とおっしゃる。お稽古の時のささやきに、「えっ!?」とワタシ。彼女は「大したことしている訳ではないの。ちょっと動かしてね。今くらいで居られたらいいと思って。」「まあ!」とワタシ。ワタシの周りの友知人らが軒並みカーブス仲間となり、汗している噂を耳にするも、まだいい!と、スルーしていた頃でした。
先のタクシーの続きがある。最寄駅までの間、車内で年の離れた二人連れが気になったのか?運転手さんが「お嫁さんですか?」「イイエ!」と即答のワタシ。「娘さん?」再び即「イエ!」車内の空気を変える如くの穏やかなKさんの「トシの離れたオトモダチ」の返事。「お仲がよろしいんですね。」と運転手さん。「ハイ」とKさん。
車を降りて少し休みましょう!とお茶することにした席で、Kさんがポツリ。「娘って言われてそんなに嫌だった?」ワタシはひたすら無礼を詫びたのは言うまでもありません。Kさんはにっこり笑ってましたが。
そんなで我儘なワタシに半分呆れながら合わせて下さる、親よりも一回りちょっと上の年の離れた友人に居心地の良いお付き合いをたくさんしていただきました。
そのKさんが、昨年のクリスマスに突然亡くなり、前日まで普通にされての報でした。ご家族の方々には悲しみ多いとは思いますが、にこやかなお顔からワタシにはああなりたいと思える人生の終い方の様に思えました。
Kさんの「カーブス行っているのよ。」の言葉に少し後押しされた感もあり、別の友人の紹介で彼女の存命中に始めたカーブスも一年半を過ぎました。
今は雑用に追われつつも、せっせと汗を流す日々です。
ワタシも末永く趣味にカーブスにと頑張ってみようと思います。
佳作
「「トシの離れたオトモダチ」へ」
カーブスって
どんな運動?