10歳の誕生日を迎えた頃...勉強そっちのけで遊んでいました。毎日が楽しくて楽しくてしあわせいっぱいでした。
20歳の誕生日...何となく通り過ぎて行きました。成人式の日、高校時代の先輩が「飲みに連れて行ったるわ」大人デビューに誘って下さいました。
30歳の誕生日を迎えて間もない頃、"人生が変わる"というウワサを聞いて耳にピアスの穴をあけてみました。特に変化はなかったですが、母がとてもうらやましがっていたのを記憶しています。
40歳で初めて健康診断を受けました。結果が届くのをドキドキしながら待ちました。
50歳を迎えた時、最初に思い浮かんだのが『半世紀』という言葉でした。
10歳ごとの節目をそれなりに過ごしてきて50歳は特別大きな節目なんだと強く感じました。
やりたいこと、行ってみたい場所、とにかくいろんなことを考えました。
そして...
『母さんは 百歳まで生きる!!』
息子たちに宣言しました。笑い飛ばされると覚悟していたのに
「じゃあ母さんは今、人生の折り返し地点やな」
と意外な言葉が返ってきました。さらに息子は「長生きするんやったら健康で元気に長生きしてや」という激励とも脅し(?)ともつかないような言葉を口にしたのです。
「そんなんあたりまえやで」と言いながら心の中では「いらんこと言わんといたらよかった」後悔の念がふつふつと湧き上がっていました。
実家の母が亡くなり、ひとりになった父の様子を見に行くたびに、息を切らしながら駅の階段を上り下りしている私が、どうやったら百歳まで生き延びるんやろか? 我ながら無茶な決断をしたものだと呆れてしまいました。しかし、もう後へは引けません。
「母さんはあんたらにうそをついたことはないやろ」
といつも偉そうなことを言いながら子育てしてきた手前
「あんなんうそやで。冗談やからな」
では済まされません。少なくとも努力はしなければ...と、その時思い出したのが『カーブス』でした。
親しい友人から「女性だけの体操教室に通い始めてん」という話を聞いていたのを思い出し、詳しいことをたずねてみようと思いました。
「いつでも自分の都合のいい時に行って30分だけ体を動かしてくればいいし、女性だけやから気分的にすごくラクやで」
そう言われたものの、正直、そんな都合のいい話ほんまにあるの?っていう気持ちでした。あれこれ理屈を並べたててなかなか一歩が踏み出せないでいる状態が続いていたある日、新聞の折り込み広告の中に新しくカーブスがオープンするというチラシを見つけました。場所も家から自転車で10分足らず、しかも途中にはちょくちょく利用しているスーパーが...これはもう行くしかないやろ!という気持ちでダイヤルを回しました。スタッフの方から説明を受け、体験を経て、あれよあれよという間にメンバーになっていました。
特にこだわりがあったわけではありませんが、家族を送り出して洗濯を済ませたらちょうどいい時間になるということもあって、気がつくと毎回朝一番にオープンを待ちながら通うのが習慣になっていました。
回を重ねて通うごとにスタッフの皆さんと言葉を交わす機会が増え、またメンバーさん達とも少しずつうちとけていくことができました。
「若いのになんで来てはるの?」
と聞かれるたびに
「実家の父が88歳と高齢で様子を見に行くための体力が必要なんです」
と説明していました。なんだか恥ずかしくて「百歳まで生きるためです」とは言えませんでした。親しく言葉を交わすメンバーさんが増えてくると
「私の母も入院してて毎週電車に乗って病院に通ってるねんよ」
という同世代のメンバーさんや
「私も10年間親の世話をしてきて今やっと解放されてんよ」という年配のメンバーさんもいることがわかりました。
世の中には年老いた親の世話をしている人がたくさんいるんだとわかっていても時々、心が悲鳴をあげそうになることがあります。そして、やり場のないイライラした気持ちはついつい家族に向けてしまいます。
ある日、ワークアウトが終わって帰り支度をしていると、「明日も来るん?」とメンバーさんから声をかけられました。
「明日は父のところで用事があるので休みます」と答えると
「あんな、大変やろうけど親の世話をして家に帰ってきても子供の前では絶対に『大変やった』って言うたらあかんねんで。『お母さんが行ったらおじいちゃんものすごく喜んでくれてん。よかったわ』って言うといて誰もおれへんとこで『ハア~っ』ってため息つくねんで」
と言われました。
そして「無理せんと来れる時に来ような。自分のペースで来たらええやんな」と言って下さいました。
体力をつけるために通い始めたカーブスで心を癒され、そして鍛えられる。考えてもみなかったことでした。
「今日は終わったらお茶行こか」
「明日も来るん?」
「今度お好み焼き食べに連れて行ったるわ」
気がつけば年齢の枠を超えたメンバーさん達との"アフターカーブス"を楽しんでいる自分がいました。
体を鍛えること、心を癒すこと、人生を楽しむこと、そして息子たちとの約束を果たすこと。たくさんの目標を掲げ半世紀後の自分を想像しながらカーブスに通い続けることができればいいなと思います。
今年89歳の誕生日を迎えた父は週に一度デイサービスでリハビリに通い始めました。一日体験の日、付き添って行ってびっくりです。リ ハビリ室に置いてあるマシンがカーブスで私が使用しているマシンとほとんど同じような内容のものだったのです。力の入れ具合こそ違うものの、鍛える体の部分は年齢に関係なく同じなんだとその時初めて気づきました。
私にカーブスの存在を教えてくれた友人に
いつもていねいに細かい指導をして下さるスタッフの方々に
アフターカーブスで楽しませて下さるお姉さまメンバーの皆さんに
父よりうんと若くしてカーブスと出会えたことに
そして、私の『百歳宣言』を真剣に受け止めてくれた息子たちに
・ ・・心から ありがとう・・・
私の人生の折り返し地点はカーブスのスタート地点です。
今やっと踏み出せた一歩が百歳まで届きますように...