自転車で10分の所に銭湯があります。
その日、痛む膝を引きずりながら脱衣所のロッカーの前に立ちました。
――膝が痛いのですか?全く見知らぬ女性が帰り支度をしながら声を掛けてきました。
――ずい分あちこちの医者へ行ってるのですが、若くないし...仲々良くなりません――
――ちょっと待って!貴方に是非教えたい所があるの。あっ、誰かボールペン。そうだフロントで借りるわ。メンバーズカードを持ってるから電話番号を書くから行ってみて。膝の痛い人や杖をついた人も来ているの。筋トレジム、カーブスです――
その女性は笑顔を残し出て行きました。


――ふうん...筋トレ...カーブス?――お風呂に入りながら半信半疑でした。
でも、その女性の爽やかさが妙に印象に残り、翌日電話をしたのです。
 聞けば私の家から自転車で20分、知っている場所でした。早速訪ねました。
「目から鱗でした」大勢の女性が賑やかに溌溂とマシンを動かしてランニングをしながら誰もが笑顔なのです。
 責任者から筋肉の大切さ、必ず筋肉は鍛えられると力説をされ、心が動きました。
 昭和41年から和菓子製造販売として創業をしました。朝四時起床、夜十時閉店、働き通しの23歳でした。


年末は28日から大晦日まで徹夜で餅をつき、配達に走り廻りました。
16年前、夫が腎臓ガンに倒れ和菓子店をやめ、当時まだめづらしいC.V.S.転身しました。コンビニは働けど働けどの業態で大変でした。
何人ものパートさんを使い、ただ忙しいだけでした。夫の入退院、人工透析と私の心身が疲労し切ってパニック障害で二度も救急車に乗りました。
パートさん達から「プールへ」「ジャズダンスへ」と誘われましたが、給料を払うのは私達です。自分の楽しみは全部後回しでした。この年齢で何んの趣味もありません。当時から膝が痛みましたが40代、50代は痛み止めや注射で治ったのです。
二〇〇九年七月、43年間の店を閉店しました。空っぽの店に私の心も空っぽになり、思い掛けないうつを病み、一年半布団に入り七キロやせました。
ある事がきっかけでうつから立ち直れましたが、身体は疲労をし切って今度は忘れていた膝痛が起き、ひどくなるばかりで医者巡りの日々となりました。
思えばこの身を愛おしむこともなく生きてしまいました。後悔をしています。


 カーブスのメンバーの方達を見てハッとしました。私はいったい何をしていたのだろう...。今からでも遅くはない!!今度こそ自分の身を大切にしようと心から思ったのです。行けなかった所、行きたい所へ、きっと行こうと切に思ったら迷わず入会をしました。その帰り説明はできませんが涙が止まりませんでした。まだ二ヶ月ですが筋トレ、カーブスを生涯の友としようと思っています。そして自分を変えたいと思います。長い時間が掛かると思いますが、頑張ろうと自分に言い聞かせています。勿論その紹介して下さった女性に銭湯で会い、御礼を言いましたらとっても喜んでくれました。

カーブスさん!宜しくお願いします。