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自律神経が乱れると、痩せにくく 太りやすい体質に【医師監修】

目次

「身体が怠い」「眠れない」「気分が落ち込む」といった心身の悩みを感じ、心も身体もなんとなく重くなりやすいということはありませんか?特に春など、生活が変わる節目に起こりやすい傾向があります。この「ダルオモ」症状、実は自律神経の乱れが原因になっていることが多く、痩せにくさ、太りやすさとも関係してきます。
医師・医学博士の根来秀行先生に自律神経の乱れと痩せにくさとの関係、「ダルオモ」解消術についてお話を伺いました。

                                                                                                      

根来秀行(ねごろひでゆき)先生
医師・医学博士。ハーバード大学、ソルボンヌ大学医学部客員教授。内科学・腎臓病学・抗加齢医学などを専門とし、最先端の研究で国際的に活躍中。

「ダルオモ」の原因、自律神経とは?

 自律神経は全身に張り巡らされている神経の一つで、内臓の動きや血管、呼吸など全身の生理的な動きを無意識のうちにコントロールしています。自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2種類があり、互いにバランスを取りながら心身を調節しています。

交感神経とは

 交感神経は車に例えるとアクセル。主に昼間にエネルギーを使って活動する時や緊張した時に高まります。集中力を高めて筋肉がよく働くように血を脳や筋肉に集める働きを持ちます。

副交感神経とは

「副交感神経」は車に例えるとブレーキ。主に夕方から夜間にかけて、睡眠時に高まります。身体の隅々まで血液を行き渡らせることで栄養素や酸素、ホルモン、免疫細胞を運び、身体を修復する働きを持ちます。

 交感神経と副交感神経は、その時の状況に応じて切り替わり、一方が優位に働くと一方が下がるといったシーソーのような関係です、両方がバランスよく働くことでよい体調を維持できます。バランスが乱れ、機能が低下すると「ダルオモ」になったり、体調を崩したりします。

なぜ自律神経が乱れるの?

季節や環境の変化

 職場環境や新しい人間関係、生活リズムなどといった環境の変化によるストレスを受けると交感神経が高くなりやすくなります。また気候の変化や朝晩の寒暖差がある季節は、体が気温に対応するために自律神経自体が疲れてしまい、自律神経が乱れがちになります。

加齢

 また、一般的に加齢に伴って交感神経が高まりやすく、副交感神経を高めることが難しくなるといわれており、睡眠の質が下がりやすくなります。

自律神経が乱れると痩せにくくなるのはなぜ?

 自律神経の働きの低下は、心身の不調だけではありません。実は、痩せづらく太りやすい体質にもつながります。自律神経が乱れるとなぜ痩せづらくなるのでしょうか。

脂肪をためやすくなる

 質の良い睡眠をとっていれば起きる3~4時間前から「コルチゾール」というホルモンが適量分泌されます。ところが、自律神経が乱れて睡眠の質が悪くなると、コルチゾールの分泌が不安定になります。多く出ると血糖値が上がり太りやすくなり、逆に少ないと脂肪が分解されず、蓄積されてしまいます。また、自律神経の働きが低下すると、体内時計が乱れやすくなり、脂肪をため込む「BMAL1(ビーマルワン)」というたんぱく質が不自然に増加します。本来、夜22時以降に働くはずのBMAL1が日中に働くことで、日中に食べたものの脂肪がたまりやすくなり太る可能性が高まります。

満腹中枢が鈍くなる

 自律神経の働きが低下すると、脳にある満腹中枢が満腹感を感じられなくなり、必要以上に食べてしまうことで、痩せづらく太りやすい体質になってしまいます。

朝ごはんが取りにくくなり、カロリーをため込む

自律神経の働きが低下すると、目覚めも悪くなります。朝しっかり起きられないと体が朝食を受け入れにくくなります。朝食を抜くと体が終日カロリーをため込む体質になってしまうので、太りやすくなります。

実践!ダルオモ解消!自律神経を整えるコツ3選

昼に筋トレと有酸素運動を行って自律神経を整える

 自律神経のバランスを整える第一のポイントは適切な運動です。
昼の時間帯に筋トレと有酸素運動を交互に行うと、交感神経が健康的に高くなり、夜になったときに副交感神経の働きが高まりやすくなります。自律神経を整えるには、昼に交感神経を高め、夜に副交感神経が高くなるというメリハリが大切です。筋トレと有酸素運動で交感神経を高めることから始めてみるとよいでしょう。

効果的な呼吸法で副交感神経を高める

 低下しがちな副交感神経を高めるために、是非実践していただきたいのが「4・4・8呼吸法」です。
腹式呼吸で、息を4秒吸って、4秒止めて、8秒ゆっくりと吐きます。息を吐くときは横隔膜をゆるめるイメージでゆっくりとするのがコツです。この呼吸法を1日数回繰り返すだけで副交感神経がぐっと高まります。

<4・4・8呼吸法>
➀楽な姿勢でおへその上あたりに手を当て、鼻から軽く息を吐きます。
 息を吸うより吐くことに意識を向けます。
➁まず、秒間かけておなかを膨らませながら、鼻から息を吸います。
➂息を止めて4秒数えます。
➃8秒かけておなかがゆっくりとへこむように鼻から息を吐きます。

質の良い睡眠で自律神経を整える

 副交感神経は夜眠っている間に体を修復して体調を整えるため、自律神経のバランスを整えるには、質の良い睡眠が欠かせません。質の良い睡眠をとるには、寝る数時間前からリラックスして過ごすことがポイントです。

 3つのコツを上手に生活習慣に取り入れて、自律神経を整えて心身ともにダルオモを解消しましょう。

<監修 根来秀行(ねごろ ひでゆき)先生 プロフィール>
医師、医学博士。ハーバード大学医学部客員教授、ソルボンヌ大学医学部客員教授、奈良県立医科大学医学部客員教授、信州大学特任教授、高野山大学客員教授、事業構想大学院大学理事・教授。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたり、最先端の臨床、研究、医学教育の分野で国際的に活躍中。『ハーバード大学&ソルボンヌ大学 Dr.根来が教えるストレスリセット呼吸術』(KADOKAWA)『老化は予防できる、治療できる』(ワニ・プラス)などベストセラー著書多数。2024年春に、自律神経に関する最新刊をPHP研究所から出版予定。

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