熱中症予防のカギは体内の「筋肉量」【医師監修】
医師に聞く、“暑さに負けない体づくり”のコツとは
熱中症の予防法として水分補給が有効であることはよく知られていますが、実は、中高年層の熱中症予防のカギは「筋肉量」にあります。平年以上に高い気温が予測される今夏、中高年層は、加齢による筋肉量の低下と、コロナ禍での行動制限による筋肉量の低下により、さらに注意が必要です。太田総合病院内科医、順天堂大学循環器内科非常勤講師、健康スポーツ医 島本透子医師に、熱中症と筋肉の関係について解説いただきました。
カーブスでは、涼しい室内でしっかり筋トレをしていただける環境を整え、「暑さに負けない体づくり」を推奨しています。
熱中症を引き起こす状態とは
人間の身体は、平常時は体温が上がっても汗や皮膚温度が上昇することで体温が外へ逃げる仕組みとなっており、体温調節が自然と行われます。しかし、暑さや体調不良、睡眠不足などの条件が重なると体温の上昇と調整機能のバランスが崩れ、脱水症状を起こし、どんどん身体に熱が溜まってしまいます。
特に中高年層は暑さに対する感覚機能が衰えて暑さを感じにくくなり、体温の調節機能も低下します。すると、体内に熱が溜まりやすくなり、そんなに暑さを感じていなくても、気づかないうちに脱水症状を引き起こす可能性が高まるため注意が必要です。
筋肉は水分の貯蔵庫!
成人の体の約6割は水分で、加齢とともに水分量は少なくなっていきます※1。加齢に伴って筋肉量が減るのが原因です。筋肉のなかには約8割の水分が貯蔵されており、筋肉に蓄えられた水分は、脱水症状や熱中症と深く関係します。汗をかくと血管内の水分が失われます。そのままでは血液の量が減り濃縮されてしまいますが、筋肉に十分な水分があればすぐに血管内の水分は補充されます。筋肉の量が少ないと補給できる水分が不足しやすいため、脱水症状がおこりやすく、重症になりやすくなります。
(※1)環境省「高齢者の熱中症対策」https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/pr/20230530_leaflet_for_elderly.pdf
筋肉は血流を上げ、体を冷却する
筋肉には、水分を貯蔵する役割のほかに、体の末端の血液を心臓に戻すポンプの役割があります。血流がよくなると、体温を調節する力が高まり、体の熱を外に逃がすことができます。一方で、筋肉量が少ないと、心臓に血液を戻す働きが低下するため、熱を体に溜めやすくなり、脱水症状や熱中症を引き起こしやすくなります。
コロナ禍で人々の身体活動量が低下し、筋肉量が落ちている
コロナ禍の自粛生活により、体を動かす機会が減った人が増えました。コロナ前とコロナ禍での高齢者の身体活動量を比較した調査では、コロナ前に比べ身体活動量が約3割減少していることが明らかになりました※2。一般的に動かないでいると、2週間で約3.7年分相当の筋肉が失われる可能性があります※3。
(※2)健康二次被害防止コンソーシアム「いきすぎたステイホームが生活習慣病をつくる」
https://kenko-nijihigai.com/?page_id=166
(※3)健康な高齢者が2週間、家であまり動かないでいると脚の筋肉量が3.7%減少。60~80歳の日本人は平均で1年に約1%ずつ脚の筋肉が減っていくことから、約3.7年分に相当。
“暑さに負けない体づくり”のコツとは
日常生活での活動量が減っている方こそ体重の増減に関わらず、筋トレを意識的に行うことが重要です。筋トレをする上で特に意識したい部位が全身のなかで筋肉量の最も多い下半身です。太ももやおしりの筋肉は大きいので水分を貯蔵するスペースとして重要です。正しい筋トレで成果がでやすい部位でもあるので熱中症対策に効果的だといえます。筋トレを実施する際も熱中症にならないよう、適切な温度・湿度を保った涼しい環境下で適度に水分補給をしながら無理のない範囲で筋トレを継続的に行い、“暑さに負けない体”をつくっていきましょう。
島本透子医師 プロフィール
1988年札幌医科大学卒業、太田総合病院内科医、順天堂大学循環器内科非常勤講師、健康スポーツ医。循環器疾患のほか高脂血症、糖尿病、肥満などの生活習慣病治療を専門とする。著書に「中高年からのステップアップ講座 からだの中から痩せられる女性のための本気ダイエット」(旬報社)
適切な温度・湿度のなかで筋トレを!
筋肉をつけるにも、屋外で行う運動は、脱水症状や熱中症を引き起こす可能性が高く危険です。
カーブスでは、適切な温度・湿度を保った涼しい環境下で、自分のペースに合わせた正しい運動習慣を身に付けることが可能です。
女性だけの30分フィットネス カーブスは、全国に1,954店舗を展開し、40歳代~70歳代を中心に約78.7万人(2022年11月末日現在)の会員をサポートしています。
カーブス独自のトレーニングは、30秒の「筋力トレーニング」と30秒の「有酸素運動」を交互に実施し、最後に「ストレッチ」を行い、1回30分で健康づくりに必要なすべてのトレーニングが終了します。また、カーブスのマシンは、体力や筋力に合わせて動かす速さや負荷を調節できる油圧式のため、お一人おひとりに合わせた最適な負荷で全身を鍛えられます。
カーブスは、大学・専門研究機関との共同研究により様々なエビデンスを保有しています。
カーブスで行っているサーキットトレーニングは、ダイエットや健康改善など、メタボ解消と転倒防止に必要な脚力のパワーアップによる介護予防対策※4、高齢者の記憶などの広範囲な認知機能の改善※5などに効果的なことが実証されています。また、30分のサーキットトレーニングをたった1回実施するだけでも、認知機能(抑制能力)と活力が即時に向上する※5ことが明らかになっています。
(※4) 国立健康・栄養研究所との共同研究 https://www.curves.co.jp/medical/health/
(※5) 東北大学加齢医学研究所との共同研究 https://www.curves.co.jp/medical/aging/