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低血圧の改善に運動は効果的?おすすめの運動や日常生活の中での注意点を解説【医師監修】

目次

監修: 太田総合病院 内科医/スポーツドクター 島本透子先生
循環器疾患、生活習慣病患者の治療を専門とする。著作に『女性のための本気ダイエット』(旬報社)

高血圧が生活習慣病の一種で、重篤な病気を引き起こすリスクの高い状態であることはよく知られていますが、一方、低血圧だとどんな問題があるのかはあまり知られていません。
健康診断で血圧が低いと言われたけれども、どう改善したらよいのだろうと思われている方も多いのではないでしょうか。ここでは、低血圧について詳しく見ていきたいと思います。

そもそも低血圧とは?

まずは、血圧とは何かから確認していきましょう。血圧とは、心臓から血液が全身に送り出されるときに、血液の壁に与える圧力のことです。最高血圧(上の血圧)とは、心臓が縮んで血液を押し出した瞬間に血管にかかる一番強い圧力のこと。そして最低血圧(下の血圧)とは、心臓が縮んだあと、広がるときに血管にかかる一番弱い圧力のことを言います。一般的に、最高血圧が100mmHgに満たない場合を低血圧と呼びます。ただし、最高血圧が100㎜Hg以下でも健康な人も多いので、症状がない場合は心配ありません。

低血圧は、原因によって5つに分類されます。

① 本態性低血圧

本態性低血圧とは、低血圧の原因となる病気がないにも関わらず、慢性的に血圧が低い状態のことを言います。

② 起立性低血圧(立ち上がった時に起こるパターン)

寝た状態から体を起こしたり、座った状態から立ち上がったりするときめまいを感じるもので、脳に届く血圧調整が間に合わないことで起こります。起き上がったり、立ち上がったりするとき、心臓と頭の高さが変わるので自律神経が即座に血圧をちょうどよく上昇させて脳へ届く血圧を保ちます。運動不足や加齢による神経反応の衰え、血管の硬化や脱水により血圧の調整が機能しないことで生じます。
この症状が起こりやすい方は、ゆっくり動いたり、立ち上がったりした後に一呼吸、くらくらが落ち着くのを待つことで安全に過ごせます。

③ 神経調節性失神(立ったままで起こるパターン)

朝礼で立っていて気分が悪くなって倒れるパターンです。電車でじっと立っているとき、椅子にじっとすわっているときに起こるのも同じです。じっとしていると体の血液は下半身にたまります。心臓に戻ってくる少なめの血液を回転させているので「自転車操業中だから頑張り続ける」のが通常の反応ですが、何らかの原因で自律神経が「心臓が楽に動いていて調子がよいのでもう頑張らなくてオッケー」という反応をすることで血圧が下がります。
気分が悪いと感じたらすぐ、しゃがむなど頭の位置を下げるようにしましょう。また、空腹時に起こりやすいため、朝食を必ずとることをおすすめします。重症の場合は治療が必要なこともあるので、お困りの場合は循環器科へ相談してください。

④ 二次性低血圧

二次性低血圧とは、糖尿病や腎臓病、心疾患などの病気や薬が原因で血圧が下がる症状です。

⑤ 食事性低血圧

食事性低血圧とは、食後30分~1時間後くらいに、急に血圧が下がる症状です。食後は食べたものを消化吸収するために血液が消化器官に集中します。そのため全身への血流が減少して、一時的に血圧が下がるのが主な原因です。

低血圧の症状は?

低血圧によって起こる症状として多いのは、めまいや立ちくらみです。そのほかに、頭痛や全身のだるさ、動悸などが挙げられます。症状がひどければ、失神することもあり得ます。失神して転倒することによって、打撲や骨折などにつながるケースがありますので気をつけたいところです。
逆に、慢性的に血圧が低い状態でも、めまいや立ちくらみなどの症状がない場合には心配ありません。

低血圧の改善に運動は効果的

低血圧を改善するには、日常生活を見直すのが有効です。日常生活の見直しの中でも特に、適度な運動を習慣にすることをおすすめします。運動することで血流をよくすることができるとともに、心肺機能も鍛えられるので血圧の安定につながります。また、血圧をコントロールする自律神経も、運動することで整えられます。また、寝不足も自律神経を乱す原因になるので睡眠も大切です。寝不足だからもっと寝るようにしようとしても、意識だけで睡眠を改善するのは難しいことが多いでしょう。日中に適度な運動をすることで夜ぐっすりと寝られるようになるので、睡眠の改善のためにも運動は有効です。

低血圧の方におすすめの運動

低血圧の改善のために取り組みたいのは、血液の循環をよくする適度な運動です。血液の循環をよくする運動の種類を詳しくご紹介していきます。

筋トレ

おすすめの運動としてひとつ目に挙げられるのは筋トレです。特に下半身の筋肉は第2の心臓と呼ばれるように、足に滞っている血液を心臓の方へ押し戻す大切な働きをしています。脚の筋肉が衰えているとうまく血液を戻せないため、寝ている状態から急に立ち上がった時などに起立性低血圧の症状が起こりやすくなります。筋トレをして筋肉を鍛えることで、血液の循環がよくなり、低血圧の症状の改善につながります。

有酸素運動

屋外で有酸素運動(ランニング)をする女性

次に挙げられるのは、ウォーキングや足踏みなどに代表される有酸素運動です。有酸素運動も、運動中に血液の循環が促されます。また、心肺機能を強化する効果があるため、血液を循環させる機能が改善します。

ストレッチ

屋内で上半身のストレッチを行う女性(胸、両腕、両肩の柔軟運動)

3つ目はストレッチです。ストレッチ中にも、血液の循環が促されます。また、ストレッチをして筋肉をゆるめると、呼吸が深くなって体がリラックス状態になり、睡眠の質を高めることができます。しっかり睡眠がとれると自律神経が整うので、血圧の安定にもつながります。

急に運動を中止すると低血圧が起きることもあるので注意

激しい運動を急にやめると、血圧が下がって気分が悪くなるリスクがあります。
運動中は脚の筋肉が心臓へ血液をもどすポンプの役目をして血液が効率よく循環しています。急に足を止めてしまうと下肢から戻る血流が滞り、心臓から打ち出す血液が不足するので急激に血圧が下がります。激しい運動の際は徐々に強度を下げるクールダウンが必要です。急に運動をやめた場合はウォーキングやストレッチなどの軽い運動を続けて行いましょう

運動以外にできる低血圧の改善方法

運動以外にも、食事や睡眠などで日常生活の改善に取り組むことが低血圧の改善につながります。詳しくご紹介していきます。

水分をとる

低血圧の方は、意識をして水分をとるようにしましょう。摂取する水分の量が少ないと、体内の水分の量も減ります。体内の水分が減ると、血液の量も減るので血圧も下がります。特に夏は、汗として体内の水分と塩分が排出されやすいので、血圧が下がりやすい傾向にあるので要注意です。のどの渇きを感じる前に、こまめに少しずつ水分補給をしましょう。食べ物から摂取する水分とは別に、1日1~1.5リットルの水を飲むのが目安です。

早寝早起き

朝目覚めよく起床し、日光を浴びる女性

前述したように、睡眠不足になると血圧をコントロールする自律神経が乱れるので、しっかり睡眠をとるようにしていただきたいと思います。日中に運動をすることに加え、早寝早起きの習慣が睡眠の質向上に役立ちます。朝早く起き、朝陽を浴びて体内時計を整えることで、その約15時間後に自然と睡眠ホルモンが分泌されるようになります。

食事に気を付ける

ダイエットなどにも効果的な、バランスの良い食事(和食の定食)(動物性たんぱく質・植物性たんぱく質・炭水化物・脂質などが整っている食事)

規則正しくバランスのよい食生活は、低血圧の改善につながります。中でも、血液や筋肉の材料となるたんぱく質は積極的にとりたい栄養素です。肉や魚、乳製品、卵などを意識して取り入れましょう。なお、低血圧によって朝が弱いという方もいらっしゃると思います。体がすっきりしないので朝食を抜くということもあるかもしれません。ですが、必要な栄養素が足りないと、体調がすぐれない状態が続いてしまいます。何か少しでも口に入れるようにしましょう。

湯船につかる

お風呂で湯船につかり、体を温め血流を促している女性

入浴して体を温めることで血液循環が促されるので、シャワーで済ませずに湯船につかるとよいでしょう。ただし、食事性低血圧の傾向がある方や高齢の方は、食事のすぐ後の入浴は避けた方が無難です。

急に立ち上がらない

急に立ち上がると、起立性低血圧が起こり、めまいやふらつきを感じやすくなります。ゆっくり体を起こすこと、ゆっくり立ち上がることを意識しましょう

まとめ

低血圧についてお分かりいただけたでしょうか。低血圧で体がだるい、めまいやふらつきが怖いからと家でじっとしていても、低血圧の改善はできないばかりか、体全体が弱ってますます体調不良をまねいてしまいます。適度で安全な運動に取り組んで、うまく血圧を調整できる体づくりができれば、毎日の生活の質が上がり、やりたいことへの挑戦意欲もわいてくるでしょう。ぜひ、運動を取り入れていただきたいと思います。

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低血圧改善のための方法を色々とご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。低血圧改善のために運動してみようかなと思われた方もいらっしゃると思います。とはいえ、激しすぎない適度な運動とはどのくらいだろうとか、運動後の血圧低下を防ぐためのクールダウンやストレッチをどのようにやったらいいのだろうと迷うことも多いと思います。そんな時には、プロのコーチがいる運動施設を利用するのもおすすめです。
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