タンパク質ダイエットとは?効果ある?正しいやり方・成功のポイントなど詳しく解説
痩せたいからといって、過度な食事制限をすると、かえって太りやすくなることもあるってご存じですか? とくにタンパク質が不足すると、リバウンドしたり、老け込んで見えたりと、せっかくのダイエットも逆効果になりかねません。そこで、気になるタンパク質ダイエットについて、効果や正しいやり方、成功のポイントなどを詳しく解説します。
タンパク質ダイエットとは?
ダイエットは、ただ食事の量を減らせばよいというわけではありません。健康のためには、五大栄養素(炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル)をバランスよく摂ることが大切です。なかでも、タンパク質はダイエットをするうえでも重要になります。タンパク質をしっかり摂取しながら行うダイエットを「タンパク質ダイエット」と言います。
タンパク質ダイエットって効果あるの?痩せるしくみは?
五大栄養素のはたらきを車にたとえると、「炭水化物」「脂質」はガソリン、「ビタミン」「ミネラル」はオイル・潤滑油、そして「タンパク質」は車のボディになります。筋肉や骨、肌や血管だけでなく、脳の神経細胞や免疫細胞もタンパク質でできています。それほど重要なタンパク質ですが、なかでもダイエットと大きく関係するのが「筋肉」です。
筋肉は30歳を過ぎると、年に1%ずつ減っていくと言われています。若いころとくらべて、食べる量は増えていないのに太ってきた…というのは、この筋肉の減少が原因と考えられます。なぜなら、筋肉が減ると基礎代謝が下がります。基礎代謝とは、呼吸をしたり、心臓を動かしたり、じっとしているときでも消費されるエネルギーのことです。つまり、基礎代謝が高いほど消費エネルギーも多くなり、太りにくくなるのです。基礎代謝の量は筋肉の量に比例するため、タンパク質をしっかり摂って「筋肉をつける」ことがダイエットのカギになります。
タンパク質ダイエットのメリット4つ
① 脂肪になりにくい
脂質や糖質は余分に摂取すると、体内に脂肪として蓄積されます。それに対し、タンパク質は、一部は脂肪として蓄積されるものの、ほとんどがエネルギーとして消費され、余った分は尿中に排出されます。そのため、他の栄養素とくらべて脂肪になりにくいと考えられています。
② 消費カロリーが増える
食べ物を消化・吸収するときのエネルギー消費を「食事誘発性熱産生(DIT)」と言います。タンパク質を摂ったときにDITにより消費されるエネルギーは、糖質や脂質よりもはるかに多く、摂取したエネルギーの約30%にものぼると言われています。つまり、タンパク質を摂るほど脂肪を燃焼しやすくなるのです。
③ リバウンドしにくい
極端な食事制限をすると、リバウンドしやすくなります。それは、体重が減っても筋肉も一緒に落ちてしまい、基礎代謝が下がるからです。ダイエット中でも筋肉のもとになるタンパク質をしっかり摂ることで、筋肉の減少=基礎代謝の低下を防ぎ、リバウンドしづらい体をつくることができます。
④ キレイにやせられる
タンパク質は筋肉だけでなく、肌や髪などの材料にもなります。そのため、タンパク質が不足すると、肌はシワシワ・髪はパサパサなど、老け込んだ印象を与えかねません。ダイエット中でもタンパク質の摂取が欠かせないのは、肌や髪のハリを保ちつつキレイにやせるうえでも必要なことなのです。
タンパク質ダイエットの正しいやり方
このように、ダイエットには欠かせないタンパク質ですが、ただやみくもに摂ればいいというわけではありません。やり方を間違えると、効果が出にくいばかりか、カロリーオーバーで逆に太ってしまうかもしれません。そうならないために、つぎのことに注意して行いましょう。
タンパク質の1日の摂取目安を知る
基礎代謝を高めるためにも、筋肉をしっかりつけようとすると、体重1キログラムあたり1.5グラムのタンパク質が必要です。体重60キログラムの人であれば、90グラムのタンパク質摂取が目安になります。
※心臓病や糖尿病で腎機能が低下している人は、タンパク質の摂取量が制限される場合があります。その場合は、医師の指示に従ってください。
タンパク質はまとめて摂取せず、分けて摂る
タンパク質は体内にためておくことができません。そのため、1日3食、朝・昼・晩、毎食均等に摂る必要があります。朝食を抜いて、昼は炭水化物中心、タンパク質は夜にまとめて摂るという人もいるようですが、それはダイエットにもよくありません。体内のタンパク質が不足すると、筋肉を分解してエネルギーをつくろうとするので筋肉の減少を招くのです。とくに睡眠中は新たなタンパク質が補給されないので、朝のタンパク質摂取はとても大切になります。朝食でもしっかりタンパク質を摂るようにしましょう。
運動もあわせて行う
せっかくタンパク質を摂っても、運動をしないと、その効果もなかなか発揮できません。とくに筋肉をつけるには、筋力トレーニング(筋トレ)が必要です。なぜなら、筋トレをすると筋肉に傷がつきます。その傷をタンパク質が修復することで、筋肉が増強されるからです。つまり、筋トレとタンパク質摂取をセットで行うことが、タンパク質ダイエットの効果を最大限に発揮することになるのです。
また必要なタンパク質量を摂ろうとすると、カロリーオーバーになることも考えられます。筋トレのあとにプロテインを飲むと、カロリーを抑えながらタンパク質をしっかり摂取できるのでおすすめです。
タンパク質が含まれる食べ物は?
タンパク質は、「動物性タンパク質」と「植物性タンパク質」に大別されます。それぞれ、つぎのような特徴があります。
<動物性タンパク質>
体に必要なアミノ酸(必須アミノ酸)の含有量が植物性タンパク質とくらべて多く、筋肉の材料になる良質なタンパク質を効率よく摂取できる。
含まれる食品 … 肉・魚介・卵・乳製品
<植物性タンパク質>
動物性タンパク質とくらべて必須アミノ酸は多くないが、脂質が少なく、脂肪燃焼効果が高い。
含まれる食品 … 大豆、豆腐、豆製品、穀物など
動物性・植物性もそれぞれに、タンパク質以外の栄養素も豊富に含んでいます。上手に組み合わせて、バランスのよい食事を心がけましょう。
タンパク質ダイエットにおすすめのメニュー!
朝食におすすめのメニュー
筋肉をつくるうえで、朝のタンパク質摂取はとても重要です。あまり食欲がわかないときでも、しっかりタンパク質が摂れる、お手軽なキッシュをご紹介します。
【管理栄養士監修】春巻きの皮でラクラクキッシュ風
調理時間の目安:15分
たんぱく食材:鮭、牛乳、卵、チーズ
1人分カロリー:約310kcal
1人分塩分:2.9g
<材料>2人分
鮭 1切れ
たまねぎ 1/4個
ブロッコリー 4房
ミニトマト 4個
春巻きの皮 4枚
[A]牛乳 60ml
[A]卵 2個
[A]パルメザンチーズ 小さじ2
オリーブオイル 小さじ2
塩 1つまみ
こしょう 少々
<作り方>
➊鮭はそぎ切り、たまねぎは1cmの角切り、ブロッコリーは小房に分け、オリーブオイル、塩、こしょうで軽く炒める。
➋耐熱皿に、アルミホイルをしいて、底の部分に油(分量外)をぬり、そのうえに、春巻きの皮を交差させる。皿からはみでた春巻きの皮は内側に折り込み、ヘタを取ったミニトマト、➊を置いて[A]を混ぜ合わせた卵液を流し入れる。
➌温めたトースターで約10分加熱、竹串をさして卵液が付かなかったら出来上がり。
昼食におすすめのメニュー
丼ものや麺類など単品で済ませがちな昼食ですが、必要なタンパク質は朝食・夕食と変わりません。麺類でも豚肉と納豆でタンパク質もしっかり摂れる、おそばをご紹介します。
【栄養士監修】豚しゃぶのぶっかけそば
調理時間の目安:15分
たんぱく食材:豚もも肉、納豆
1人分カロリー:約500kcal
1人分塩分:2.9g
<材料>2人分
豚ももしゃぶしゃぶ用 120g
乾そば 160g
ニラ(4~5cm幅に切る) 1束
ひきわり納豆 2パック(80g)
[A]めんつゆ(3倍濃縮) 大さじ2と1/2
[A]水 大さじ2と1/2
[A]オリーブ油 大さじ1
[A]みょうが(小口切り) 2個
<作り方>
➊たっぷりの熱湯でそばを袋の表示時間どおりにゆでる。ゆであがり30秒前にニラを加え、一緒にすくってざるに上げる。冷水で洗い、水けをしぼる。
➋➊の湯を3カップほど残して豚肉を弱火でゆでて、ざるに上げる。
➌器に➊、➋を入れて、納豆とAを混ぜてかけ、みょうがを添える。
納豆にオリーブオイルを加えることで、腸内環境にもプラスの効果が!
夕食におすすめのメニュー
夕食ではしっかりタンパク質が摂れていても、カロリー過多になっていることも少なくありません。調理法を工夫してカロリーを抑えた、からあげをご紹介します。
【管理栄養士監修】揚げない鶏からあげ
調理時間の目安:10分
たんぱく食材:鶏もも肉
1人分カロリー:約220kcal
1人分塩分:1.8g
<材料>2人分
鶏もも肉(皮なし) 1枚(250g)
[A]酒・みりん・しょうゆ 各大さじ1/2
[A]にんにく・しょうが(すりおろし) 各小さじ1/2
片栗粉 大さじ1
サラダ油 大さじ1/2
大根おろし 1/6本(150g)
小ねぎ(小口切り) 1本(5g)
ポン酢しょうゆ 大さじ1~2
<作り方>
➊鶏肉を一口大に切り[A]につけて10分以上置く。
➋耐熱容器の上にクッキングシートをのせてその上に周りにまんべんなく片栗粉をつけた鶏肉をのせ、上からサラダ油をかけ、スプーンの背で全体にならす。600Wの電子レンジで6分ほど加熱する。
➌➋に大根おろしと小ねぎをまぶし、上からポン酢しょうゆをかける。
大根おろしは消化を促してくれます。たっぷりからませて食べてくださいね!
おやつ・間食におすすめのメニュー
ダイエットに間食はNGかというと、必ずしもそうではありません。食事の時間が空いて空腹時間が長くなると、食後の血糖値が上がりやすく、ダイエットにとってもマイナスになります。間食をするなら、食事と食事の間の適切な時間に、できるだけ低カロリーで栄養価が高いものを摂るようにしましょう。プロテインを間食として摂るのもおすすめです。
コンビニを活用して、タンパク質ダイエットをするなら
最近ではコンビニでも、タンパク質を打ち出した商品を目にすることが多くなりました。代表的なものに「サラダチキン」があります。それ以外にも、「タンパク質が摂れる〇〇」などシリーズで販売されているものもあるようです。商品には、タンパク質量やカロリーの数値も記載されている場合が多いので、参考にして選ぶとよいでしょう。
タンパク質ダイエットを成功させるポイントは?
栄養バランスに気をつける
タンパク質が大切だからと言って、そればかり食べるのはよくありません。健康のためには、さまざまな栄養素をバランスよく摂ることが大切です。また同じタンパク食材でも動物性と植物性では、含まれている栄養素が異なります。動物性タンパク質が筋肉を合成する力が強い、必須アミノ酸を多く含むのに対し、植物性タンパク質にはビタミンやミネラル、食物繊維が豊富です。どちらもバランスよく摂るようにしましょう。
カロリーオーバーにならないようにする
筋肉をつけるうえでは、植物性タンパク質より動物性タンパク質のほうが効率がよいと言えます。しかし、動物性タンパク質にはカロリーが高いものも少なくありません。とくに脂身のついた肉などは脂質が高いので摂り過ぎないようにしましょう。また、ご飯などの糖質も過剰に摂るとカロリーオーバーになりやすいので気をつけたほうがよいでしょう。脂質や糖質を抑えながら効率よくタンパク質を摂取できるプロテインもあるので活用するのもおすすめです。
食事だけでなく、運動も一緒に行う
摂取カロリーが消費カロリーを上回ると、体重は増えていきます。かといって、食事の量を減らしたのでは、栄養が足りないばかりか、筋肉の減少を招き、かえって太りやすい体になりかねません。ダイエットを成功させるためには、体に必要な栄養をバランスよく摂りながら消費カロリーを増やしていくことが大切です。それには、運動が欠かせません。
運動をして筋肉が増えれば、基礎代謝が高まり、痩せやすい体になります。なかでも、筋肉を増やすためには、筋トレが必要です。タンパク質を意識した食事+筋トレがダイエット成功の最大のポイントになるのです。
タンパク質ダイエット中におすすめのエクササイズ・運動
どのくらいの頻度でエクササイズ・運動をしたらいい?
筋トレは、1日おきに行うのがおすすめです。なぜなら、筋トレをすると、筋肉のなかの筋繊維に細かい傷がつきます。その傷ついた筋繊維を修復するときに、筋肉は強く大きくなります。つまり、筋肉は休んでいる間に育つのです。筋トレをした次の日は、1日お休みをして、また筋トレを行う。これを繰り返すことで筋肉は効果的についていきます。
筋トレには道具を使うものもありますが、ここでは道具の必要ない自重筋トレのうち、初心者向けのものをご紹介します。
太ももの筋トレ
①肩幅より少し広く足を開き、足先は外側に向けます。両手は横に伸ばしましょう。
②息を吐きながら5秒かけてゆっくりしゃがみます。
③息を吸いながら5秒かけてゆっくり立ち上がります
②~③を10回繰り返します。
体の中心の筋肉を意識しながら行いましょう。
※腰痛の方は、ひざを伸ばしきらず、ゆるめて立ちましょう。痛みを感じる直前で動きを止めましょう(浅くてもOKです)。
おなか周りの筋トレ
①足を肩幅に開き、手は腰にあてます。
②息を吐きながら5秒かけてゆっくり腰を回します。
③息を吐きながら5秒かけてゆっくり腰を反対側に回します。
②と③を、それぞれ10回ずつ交互に繰り返します。
おなかの前側と横側の筋肉を意識しながら行いましょう。
上半身全部ではなく腰だけを動かすのがポイントです。
※腰痛の方は、ひざを伸ばしきらずゆるめて立ち、大きく回さずに小さく回すようにしましょう。
「タンパク質ダイエットとは?効果ある?正しいやり方・成功のポイントなど詳しく解説」まとめ
痩せたいからと言って、極端な食事制限をするのは逆効果。筋肉が落ちて、かえって脂肪がつきやすい体になってしまいます。タンパク質ダイエットをするなら、筋トレとセットで行うことが大切です。正しい方法で、今度こそダイエットを成功させませんか?
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