女性ホルモンのせいかも? -40~80代以降も-女性ホルモンとの上手な付き合い方【医師監修】
それ、女性ホルモンのせいかも?
2022年3月、厚生労働省が初めて「更年期症状」に関する意識調査を行いました。見えてきたのは50代女性の約4割が「更年期障害の可能性がある」にもかかわらず、8~9割のほとんどの人が受診していないという事実。
「更年期症状ってほてりやイライラでしょ?」そう思う方も多いですが、女性ホルモンの変化がひきおこすトラブルは実にさまざま。「更年期」だけの話ではありません。女性ホルモンについて正しく知り、上手に付き合っていきましょう!
お話いただいたのは・・・
女性のための統合ヘルスクリニック イーク表参道 副院長 高尾 美穂先生
産婦人科専門医。女性のための統合ヘルスクリニックイーク表参道副院長。医学博士。婦人科スポーツドクター。
東京慈恵会医科大学大学院修了。「全ての女性によりよい未来を」をモットーに、婦人科診察を通して女性の健康をサポートするほか、テレビや雑誌、イベント等でも精力的に啓発活動を行う。親しみやすいキャラクターと優しくわかりやすい解説が大人気。プロアスリートのメディカル・メンタルサポート、女性アスリートに向けた、医学的知識の提供などにも積極的に参加。日本スポーツ協会においては、スポーツドクターの養成に携わっている。著書に『いちばん親切な更年期の教科書 閉経完全マニュアル』など。
40代から始まる不調・・・原因は?
40代を迎える頃から、カラダや心に表れる原因不明の不調に悩む女性は多いもの。女性の40代は、女性ホルモンの乱れや加齢などの身体的な変化とともに、環境の変化が起こりやすい時期であることが、不調を引き起こす大きな要因となっています。
表れる症状は肩こり、腰痛、不眠、イライラ、うつ状態、ホットフラッシュ、冷え……など多岐にわたり、個人差も多いので、女性ホルモンの変化からくる不調だと気づきにくいのです。
女性ホルモンに変化が表れるのはいつ?どんなことが起きる?
まずは、更年期について正しく理解しましょう。更年期とは、卵巣が機能しなくなる閉経前後5年間ずつ、合計10年間を指します。この期間、卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンの分泌が不安定になり、減少していきます。
どうなったら閉経?
月経が12ヵ月間ないと、閉経したとみなします。更年期がいつ始まったのかは、閉経したときから逆算するので、閉経しないと、更年期がいつ始まったのかわかりません。
月経が順調にある年代において、女性の体はお肌、髪の毛、血管、骨、自律神経、筋肉などいたるところでエストロゲンによって守られています。しかし、閉経が近づくにつれてエストロゲンの分泌量が減っていき、脂質異常症、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病が目立ってきます。骨密度も急激に低下します。骨粗しょう症のリスクが高まるのも、閉経後の特徴です。また、筋肉量も維持しにくくなります。
女性ホルモンの変化が表れる時期のおもな不調・悩んでいる症状
女性ホルモンは女性の一生に影響を及ぼします。エストロゲンが減少していく期間=更年期は、いずれエストロゲンなしで過ごすカラダに慣れるための準備期間ともいえます。そして卵巣機能が完全に終了してエストロゲンのサポートが受けられなくなってからも人生は数十年続きます。自分の努力や日々の積み重ねがご自身の健康に直接的に反映される時期に突入するのです。
不調の種類は200以上
症状には個人差がありますが、閉経が近づくとさまざまな症状が一気に押し寄せ、心やカラダにさまざまな不調が表れます。
おもな不調
運動器系
コラーゲンが維持できなくなり骨量が低下するため、骨がもろくなります。また関節の動きが悪くなり痛みが出たり、手指にこわばりを感じたりします。
血管運動神経系
自律神経が乱れて体温調整がうまくできなくなり症状があらわれます。
精神神経系
自律神経系の乱れやメラトニンの減少により、不眠症になったり気持ちが落ち込みやすくなったり、攻撃的になったりします。
消化器系
自律神経の乱れや加齢などから、食欲不振や胃もたれ、胃痛、排便トラブルなど胃腸に不調をきたします。
皮膚・分泌計
コラーゲンを維持できなくなり、全身が乾燥します。そのため皮膚がかゆくなったり、傷がつきやすくなったりします。
泌尿器・生殖器系
月経周期や月経量の変化が、もっともわかりやすいサインです。膣粘膜が弱くなって炎症が起こると性交渉がつらい、骨盤底筋が弱くなって尿漏れが起こる、子宮などの内臓が下がる骨盤臓器脱など、さまざまな不調が起こります。
40代から始まり80代以降も症状が!
女性ホルモンに関係する不調と表れやすい年代
更年期症状がとくに強く表れるのは、閉経をはさんだ前後3~4年の間とされています。
- 45歳位
閉経までの移行期。女性ホルモンの分泌量が急減し、自律神経のバランスが崩れ、さまざまな不調に見舞われる。 - 50歳前後
多くの人が閉経を迎える。閉経前後2年間は女性ホルモンの急減による変化に体が追いつかず、不調がピークに。 - 55歳くらい
閉経後。女性ホルモンの急激な減少による不安定さからは解放されるが、骨量低下、生活習慣病のリスクが高まるなど、女性ホルモン不足が原因のトラブルが次々と起こる。
つらい症状、コツは上手なお付き合い
女性ホルモンの変化にともなって長く続く不調・・・どうしたらいい?
女性ホルモンが減ってきたら、まずは運動の継続を!
日本人女性の平均寿命は87.45歳。更年期の50歳頃からは30年以上の人生が続きます。最期まで自分で自分の身のまわりのことができ、人生をよりよいものにするためにも、前向きに過ごせる取り組みをはじめましょう。
女性ホルモンの力を得られなくなってからは、生活習慣を整えることが不調の解消や健康を維持するための最大のポイントとなります。バランスの良い食事、良質な睡眠、適度な運動が、女性ホルモンの変化による症状の重さに大きくかかわってきます。
運動はとくに腰痛などの慢性痛や、肩こりなどの症状に効果的です。それ以外にも、発汗やほてりのような原因がよくわからないと思われる女性の悩みも、運動で軽減できることがわかっています。
運動するときは筋トレと有酸素運動、ストレッチなどを組み合わせるのがよいでしょう。運動の強度は「にこにこペース」。お隣の人と会話ができるくらいの強度が望ましいとされています。
そして一番大切なのは、楽しく続けられる運動であること。好きな運動だと続けられますが、「運動しなきゃ」という心境ではなかなか続きません。楽しみながらにこにこペースでできる運動を続けていきましょう。運動を継続することで夜もしっかり休め、次の日も元気に前向きに過ごせる、よい循環がうまれます。
がまんせず病院での治療も前向きに検討を
月経周期が乱れ「女性ホルモンの変化のせいかな」と思う不調があったら、まずは婦人科に相談。女性ホルモンの変化による不調は、治療によって対処することもできます。婦人科での治療には、足りなくなった女性ホルモン(エストロゲン)を補うホルモン補充療法(HRT)や、体質にあわせて処方する漢方治療などがあります。
骨盤底にかかわる泌尿器のトラブルは泌尿器科で主に扱われますが、昨今、横断的に治療する取り組みも進み、女性泌尿器科など女性に特化して治療する診療科も登場しています。
また、女性ホルモンの変化による症状と似た症状でも、他の病気が隠れている可能性もありますし、医師と話すだけでも、気持ちがラクになることもあるので、体調不良で困ったら困りっぱなしにしないこと。私たち女性は不調を感じてもついついがまんしがちです。「そのうちよくなるだろう」「つらいのは自分だけじゃないはず」などと無理を重ねると悪化してしまうこともあります。
まずは気軽に、検査を受けるだけでもいいので相談してみてください。
高尾先生からメッセージ
運動は、ご自身の人生への最大のギフトです。
いいことしかない!
運動をしっかり続けて、自分らしい人生を過ごしましょう。
- 監修:女性のための統合ヘルスクリニック イーク表参道 副院長 医学博士 高尾 美穂先生
- 出典:カーブスマガジンvol.61
まとめ
女性ホルモン(エストロゲン)の変化にともなう不調はなんと200種類以上。40代から始まり、80代以降も症状が表れる人もいます。とくに更年期や閉経後は、女性ホルモンのサポートが得られなくなっていくので、日々の積み重ねが健康に直結してしまうのです。
そうしたつらい症状と上手につきあうには「適度な運動」が大切です。楽しみながらにこにこペースで運動を続けることで、生活習慣を整え、女性ホルモンの変化にともなう不調と上手に付き合っていきましょう。
「にこにこペース」でできる運動を体験してみませんか?
更年期や、女性ホルモンの変化に伴う不調を感じたら、まずは運動を取り入れてみましょう!腰痛などの慢性痛、肩こり、発汗やほてりのようなお悩みも、運動で軽減されることがわかっています。
カーブスの運動プログラムは、あなたに合わせたペースで運動ができるマシンと、プロのコーチのサポートがあるので、どんな運動をしたらよいのか不安な方でも大丈夫です。
<おすすめポイント>
カーブスの運動の継続率は97.7%。
楽しみながら運動を続けることで、不調の解消や健康維持につながります。全国に約2000店舗もあるから、あなたの家の近くにもきっと見つかるはず。ぜひ、試してみてくださいね。
成果が出る!続く!女性だけの30分フィットネス カーブス
●予約不要・・・自分の生活に合わせて好きな時間に行ける
●1回30分・・・来てから帰るまで30分!無理のない運動だから続けやすい
●プロのコーチ・・・あなたに合わせたサポートだから効果が出る